愛憎の守護神-9
龍二は教室に着くとドカッと椅子に座り頭を摩る。
(うまく顔には傷が残らないように頭部を中心に攻撃しやがる。)
少し頬に痛みがあるがとにかくタンコブだらけの頭が痛い。
悠亜にはこの件は強く口止めしてある。
これはもうこの世の人間の戦いではない。
魂を変えた自分と、得体の知れない人間の形をした何かの争いなのだ。
しばらく痛む頭を抱えていたら、
「おはよう、榊原君。」
と、話しかけてくる男が笑顔で傍に立っていた。
(誰だ?)
この体で学校に通い始めて、自分に話しかけてくる人間など初めてである。
しばらくポカンと男の顔を見ていた龍二の耳に、同級生の女生徒の声が聞こえてくる。
「あれ?松山先輩じゃない?」
その言葉に教室の女子が騒ぎ出す。
松山光太郎。
サッカー部のキャプテンにしてエースの修学館2年生。
進学校でありながら、全国準優勝までけん引した天才ストライカーである。
言うまでもなく、この高校一のモテ男である。
「突然悪いね。ちょっと話があるんだけど昼休みに学食一緒に食べないかい?」
松山の誘いに勢いで頷いてしまう龍二。
その爽やかさといったら今まで極道の厳つい男どもを見てきた龍二に新たな好感覚を与える。
松山は軽く手をあげ、
「じゃあ、またお昼に。」
と言って颯爽と去っていく。
松山が去ったあと、クラスの目が一斉に龍二に注がれる。
困った龍二はスマホで松山光太郎とググる。
(おお、アンダーの日本代表?すげえ選手じゃないか。)
その経歴をみて感心する龍二。
そんな男が自分に何の用事があるというのか?
龍二は一瞬、
(まさかこいつも?)
と、謎の男との関連を疑う。
龍二は昼になるのが怖く感じていた。




