愛憎の守護神-8
男にサブミッションを固めたい龍二。
しかし男は踏ん張り倒れない。
そして固めた右足で安定を取り、顔面目掛けてストレートを入れてくる。
何発も顔に強烈なパンチを浴びながら、龍二は体を左右に振りながら男を倒そうとする。
このままでは自分が先にやられてしまうと判断した龍二は体を反転させ後方から足首を締め上げる。
このまま倒せれば、相手のアキレス腱に右腕を巻きつける
しかし男は倒れない。
その時、男が背中から圧力を浴びて前のめりに倒れた。
悠亜が男に体当たりしてサポートアクションを起こしたのだ。
これで完全にアキレス腱固めの態勢に入った。
男の甲を軸にアキレス腱に体重を乗せる。
必死にもがく男が体を畝って脱出を試みるが、龍二の細い腕がしっかり掴んでそれを逃さない。
すると男はさっと体をひっくり返し逆に龍二の左足首を自分の脇に入れ、アキレス腱を固める。
そして一気に体をエビのように反らして完璧に決めた。
激痛で両手を固められた左足にある男の腕を引き剥がそうとするが、それが不可能だと諦めた龍二は、男の膝をタップして負けを認めた。
男はタップを確認するとすぐにアキレス腱を解放して立ち上げる。
龍二は痛む足首を抱えて、激痛と悔しさに押しつぶされていた。
「大丈夫、腱を少し伸ばした程度だよ。それにしても今日の攻めは良かったよ。でもまだまだ力が足りない。女の子の手助けが必要にならないようにがんばってくれたまえ。」
男はそういうと、悠亜がいるにもかかわらず黒い霧の中に姿を消した。
喧嘩で負け知らずの龍二が、この榊原翼のボディーでは勝てない日々。
悔しくて怒りが頂点に達するが、すぐに我に返る。
一番無力なのは榊原翼ではなく、氷室龍二、自分自身だと思い知らされたばかりであったからだ。
「翼くん!大丈夫?ていうか…あの人…消えたけどぉ!?」
心配そうに駆け寄る悠亜の顔は、目の前で消えた男の存在を疑っている。
「あの人って…悪魔?悪魔だよね?翼くん、悪魔に目を付けられちゃったのぉ?」
悠亜も様々な思いがグルグル回り真実が何か困惑している。
龍二はスマホを出し、
【大丈夫だ。さあ、学校に行こう】
と打ち、何もなかったかのようにびっこを引いて歩き始める。
「翼くん…。」
悠亜は困惑を整理できないまま龍二に肩を貸してゆっくり歩みを始めた。
(必ずアイツをぶっ殺してやる!!)
龍二はひとつの目標に向かって決意を固めていた。




