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深淵の追跡者-7
「翼くん!!翼くん!!」
龍二が目を覚ますと、悠亜が心配そうに膝枕でのぞき込む。
強烈な男の拳で気を失った龍二。
周りには悠亜が呼んだと思われる警察が数人集まっていた。
ジンジンする頬をさすり、みぞおちに痛みを感じながら龍二はある確信に至る。
(あの男は俺を知ってる。榊原翼ではなく俺を狙ってきているんだ。)
そう、男の口からはっきりと氷室龍二という名前がでた。
この榊原翼の中身が、元竹内組の若頭であった自分だと理解したうえで、2日連続の強襲であったのだ。
(なにもんだアイツは!?)
さらに謎が深まる。
もちろん自分と同じで【この世】の者ではないのであろう。
これだけは今の龍二が理解できる事実である。
左目がまったく視界を不能させている。
男のストレートをもろに喰らったから、腫れ上がっているのだろう。
(次は、こうはいかんぞ馬鹿野郎…!!)
龍二は、警察に一生懸命に状況を説明する悠亜の健気な姿を見ながら、男への怒りを増大させていた。




