深淵の追跡者-3
悠亜から解放され自宅の一歩手前でスーツを着た若い男に呼び止められる。
「キミ、ちょっといいかな?」
とりあえず頷く龍二。優しそうな印象の爽やか系の男だ。
男はニコッと笑ったかと思うと、いきなり拳を振り上げ龍二に殴りかかってきた。
とっさにガードした左手に激痛が走る。
(なんだコイツ!?)
白昼堂々と道の真ん中で喧嘩を吹っ掛ける男に龍二は戸惑っていた。
そんな龍二に男は強烈な左フックを仕掛ける。
今度は右手のガードに当たる。
いや、わざとガードした両腕を狙っているかのように思える。
二度の攻撃で5メートルほど吹き飛ばされた龍二の腕はすでに腫れ上がっている。
そして、一気に間合いを詰めまたもや強烈な一撃が龍二を襲った。
その衝撃で、龍二はさらに大きく吹き飛ばされた。
(くっ……このままではまずいな!!)
そう思った龍二は、何とか体勢を立て直すと、一旦距離を取ろうとする。
しかし 男は龍二の首元を掴むと、そのまま力任せに引き倒してきた。
その勢いのまま、馬乗りになった男は拳を振り下ろしてくる。
咄嵯に左腕を上げることでそれをガードするが、男の力は強く、何度も殴られるうちに段々と力が入らなくなっていく。
そしてついに、龍二の腕から完全に力が抜けた瞬間を見計らい、男が拳を大きく振りかぶった。
次の瞬間、渾身の右ストレートが飛んでくる。
必死になって腕を上げようとするのだが間に合わない。
だがそのストレートは龍二の鼻先でピタっと止まった。




