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龍の翼-11
龍二(翼)は昔を思い出しながらアイドルのポスターで囲まれた部屋で腹筋と腕立て伏せを繰り返していた。
(親父は大丈夫か?)
龍二は翼のPCを開き、どすこい娘の壁紙を瞬時に切り替え、何度も見た記事をディスプレイに映す。
【極東一家直系若頭、銃殺】
自分の死を報道する記事。
【跡目抗争の代償か?】
まさにその通りだった。
自分は、四代目に襲名した竹内へ反目を企てた山崎一派【一水会】に殺された。
組が分裂した状況で、先手を打った一水会が、本家の要職への暗殺が続いている。
自分のほかにも一水会に殺られた組員も多いはずである。
今のところは、竹内は無事であるが、抗争に発展しているからには、心配は募る。
(剛のアニキがついているから大丈夫だと思うが…。)
兄弟の盃を交わした竹内剛も兄にも劣らず極東一家随一のイケイケ武闘派である。ひとまずPCを乱暴に強制終了してベッドに横たわる。
様々な考えが頭をめぐる中、
「翼!ごはんだよ!」
と、女の声。
(ばあさんか…。)
龍二は二階からダイニングに降り、食卓に着く。
龍二は翼の祖母である美佐子の料理を気に入っている。
(このみそ汁…毎日美味い。)
美佐子の料理に舌鼓を打ちながら、新たな人生に必死に向き合っていた。




