猫の恩返し-11
美佐子の盾のように加藤組の前で立ちふさぐジョージ。
態勢を低く構え全身の毛を逆立たせ、尻尾はまっすぐに空へと伸びている。
「邪魔だこの野郎!!」
若い組員がジョージめがけて蹴りを出す。
ジョージは俊敏な動きでその足に乗り顔にダイブ。
男の下唇に噛みつき首をスクリューのように振り回してそのまま引きちぎる。
「いい加減にしろよ、コイツ!!」
それを引き剥がそうともう一人の組員がジョージの首根っこを掴む。
すぐさまジョージは引きちぎった下唇を吐き捨て、男の腕にしがみつきながら親指を力いっぱい噛んだ。
痛みで叫びをあげる男はジョージの右わき腹に強烈なパンチを入れる。
ミシッとあばら骨が軋む。しかしジョージは離さない。
首をブルブル振って親指を食いちぎったが、もう一発パンチをわき腹に浴びて吹き飛ばされる。
ジョージは血まみれの口元をペロリと舐めて態勢を整えた。
(わき腹が折れたニャ…。)
3人の男を戦闘不能に追いやったが、その代償は大きく皮下のあばら骨を損傷。
激痛が走り息苦しくなり呼吸が荒くなる。
「コラ、てめえら!!早くせえやボケ!!」
加藤の怒号が響き組員2人がかりでジョージに迫る。
(多勢と喧嘩するときは頭を叩くんだニャ!!)
ジョージは2人の間をすり抜け加藤に照準を合わせて飛び掛かる。
パン!!!!!
鳴り響く銃声。
加藤の手の拳銃がジョージの左前脚肩口に命中。そして左わき腹を貫通した。
その場にバタンと倒れるジョージ。
「ばあさん脅すためにチャカを持ってきたんだが、まさか猫撃つとはな。」
加藤が鼻で笑って言う。
(痛ぇ…!!クソ…めちゃめちゃ痛ぇじゃニャいか…!!)
うずくまり動けないジョージ。傷口から血があふれ出す。
そんなジョージの脚を割腹のいい組員が乱暴に持ち、壁に向かって投げつけた。
強烈な力で壁に叩きつけられたジョージの体に衝撃と激痛が走る。
「ジョーくん!!」
美佐子の悲痛な叫び。
銃声が轟く騒ぎなのに近所から顔を出す者はいない。
静かに巻き込まれぬように息を殺している。
「手間かけさせやがって。くそ、騒ぎすぎた。。サツ(警察)来る前に一旦引くゾ。」
加藤の号令で一斉に組員が動き出す。
(ちくしょう…体が動かないニャ…。)
ジョージは必死に痛む体を動かそうともがいていた。




