猫の恩返し-10
榊原家の玄関前で美佐子が10人の極道を相手に戦っていた。
そのど真ん中で仁王立ちしているのが加藤組の組長にして一水会副会長の加藤茂雄である。
若い組員が美佐子を恫喝する。
「おいこらババア!!どう落とし前つけんだコラァ!!」
美佐子も応戦する。
「いったい何なんですか!?
突然あなたたちのような方々に押し入られて…!!
どういうつもりですか!?」
美佐子の精一杯の反撃に加藤が、
「なあ、ばあさん。
俺ら極道はな、取られた命はきっちり取り返す。
これが生きる道なんや。
お宅の坊のオイタが過ぎてうちのカシラ(若頭)を殺しよった。
そのケジメをつけに来とんのや。
報復ってのはな、まずそいつの縁者で前払いしてもろうて、本人には最後に命で償ってもらう。
それがうちら極道のケジメってもんなんや。
わしらも年寄りイジメたりしたくはないんやが、これはしょうがないんや。
ばあさん、悪いけどちょっと痛い目にあってもらうで。」
と詰め寄る。
まるで蛇に睨まれたような美佐子の足は震えていた。
しかし気丈の振る舞いは崩さない。
「あなたたちね、うちの翼を傷めつけたのは!!
私こそあなたたちを殺してやりたいわ!!」
力強く言い返す美佐子。
「なんじゃと、このくそババア!!」
若い組員が美佐子の肩を強く押す。
後方に飛ばされ尻もちをつく美佐子。
「ほな、上がらせてもらうで。」
中堅の組員が一歩踏み込んだ時、黒い影が目の前に飛びかかってきた。
ジョージが組員の顔に両手の爪を立ててしがみつき、右目に噛みついていた。
「うがーーーーーーーーーーーーー!!」
叫びもがき必死にジョージを引き剥がそうとするが、ジョージの小さいながら鋭い牙はガッシリと食い込んでそれを許さない。
膝をついた組員がジョージをやっと力づくで剥がした時には右目はえぐれ、その眼球をくわえるジョージがそれをぐしゃっと噛み潰す。
「ジョーくん!?」
美佐子が驚いた顔で叫ぶ。
(おい、コラ。てめぇらお母さんに乱暴したろ?
全員ぶっ殺すぞコラァ!!)
ジョージが最大の威嚇を見せる。
「シャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」
「なんやこの猫は?はよ始末せい。」
加藤が気だるそうに指示する。
(アニキと約束したんだニャ。家族を守るって。
伊賀組の特攻隊長を舐めんなよ、この野郎!!)
ジョージはより威嚇を強めた。




