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君に花束を贈る

作者: 宵待 黒


君が死んで明日で三年が経つ。

病気による別れだった。もともと、体の強くない君だったけど、最後の一年程衰弱していく君を見ている事しかできない日々は今でも夢に出る。

それと同じくらい、君との楽しい思い出も夢に出てくる。

夏に浜辺で夕日の沈む海を見たこと。秋に果物狩りで楽しそうに笑っていたこと。

冬の帰り道、寒くないように手をつないでいたこと。春に桜を見ながらピクニックをしたこと。

どれも、大切な思い出で忘れられることのない宝物。

どうか、今日の夢が幸せなものでありますように。


朝になり、街に出かける。

予約していた、白いカーネーションの花を受け取る。

君が言う通り花言葉を調べないでいたけど、毎年行く花屋の子が教えてくれたよ。

白いカーネーションの花言葉は「私の愛は生きています」。

君との約束だから、今日一日は、命日の今日は、君のために。


気が付くと、時計の針は12時を回っていた。

食事を摂ることも忘れて、一日中花瓶と向かい合っていたからかどこか力が入らない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

君が死んで今日で四年が経つ。


朝になり、街に出かける。

予約していた、カキツバタの花を受け取る。

君との約束を守って、この花の花言葉を調べたよ。

カキツバタの花言葉は「幸せはあなたのもの」。

君との約束だから、今日一日は、命日の今日は、君のために。


気が付くと、時計の針は12時を回っていた。

食事を摂ることも忘れて、一日中花瓶と向かい合っていたからかどこか力が入らない。

携帯に連絡が入る。花屋の子からだった。

花屋の子とは、去年から話すことが増えた。メッセージの内容は心配してくれているようだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

君が死んで今日で五年が経つ。


朝になり、街に出かける。

予約していた、初雪草の花を受け取る。

君との約束を守り、今年はこの花を買おうと決めた。

「いつか、前を向けるようになった時にはこの花を買って」という君の最後の言葉を思い出す。

花瓶に飾った初雪草を眺めながら、花屋の子に教えてもらった花言葉を思い出す。

初雪草の花言葉は「祝福」。

君との約束だから、今日一日は、命日の今日は、君のために。


気が付くと、時計の針は12時を回っていた。

食事を摂ることも忘れて、一日中花瓶と向かい合っていたからかどこか力が入らない。


ドアをノックする音が聞こえる、どうやら彼女が心配しに来てくれたようだ。

あれから花屋の子と仲良くなり、恋仲になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

君が死んで今日で六年が経つ。


君と初めてデートに来た海にやってきた。

両手にシオンの花束を抱えて。

君と約束していた、今一番君に渡したい花を選んだ。

今年、彼女と結婚することに決めた。

相手方の親御さんに挨拶もした。


来年からは、花を買うことはないと思う。

というより、買おうとしたら君にも、彼女にも怒られそうだからね。

それでも、今この瞬間は、夕日が溶け出したような空と、淡い海の前で君に花を贈る。

花言葉だけを調べて書いたので、花の旬の季節感とか滅茶苦茶ですが、ご容赦を

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