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2匹の雑役艇物語

船体等を海軍に見せた時は高速性は目を見張るが安定性や旋回性に問題があり。

自動給炭機も言うほど自動ではないので参考程度で図面を起こした。

改良すれば後付けの自動給炭機として売れるだろう。

大砲は陸軍にも見せたが。

4インチ砲は標準的な性能で、3インチ23口径で一昔前の対空砲で見向きもしなかった。(気球迎撃用の対空砲)

どうやら陸軍では40口径以上の速射砲を開発中だという話だ。

つまりどこも買わなかった、全部で500門も在るのに…。(魚雷発射管は400門)

屑鉄にする前に色々な所に売り込んだが。

興味を示したのは南洋庁だった。

海軍から南方の委任統治区を引き継いで新しく発足した南洋庁は警備部を持っており。

ある程度武装した小型船舶に興味を示したのだ。

取敢えず2隻が早々に巡視貨客船として改造し引き渡された。

ボイラー2つを取り外し魚雷発射管を撤去して大砲も4インチ砲1門となり。

撤去したボイラーの空間は船室と荷室&デリックを取付けた。

当初の任務は測量と無人島探検、灯台設置が主で。

娑婆では景気が悪く、軍を退役した水兵や陸兵が多く応募に応じた。

早速、未知の海域の測量や無人島上陸の危険な任務を難なく熟し。

引き渡したアメリカ製元駆逐艦は居住性が良く船員からも評判がいい。

自動給炭機での少人数での運用も可能である。(ボイラーと主兵器の数が減っているので定員は半分以下。)

使い辛い烹炊所には蒸気大釜を一つ増設し。

アメリカ製の電気オーブンと鍋が在る為、搭乗員の減少も合わさり問題は起きなかった。

稼働率の良い事から、乗客、島民からも期待されており。

郵便輸送業務兼務で船の中に郵便局があり入植したばかりの離島でも電信が送れる。

元から装備されていたアメリカ製の無線機の性能が高いのが評判の良い理由の一つだ。

直ぐに次の年の予算で船舶の追加購入の打診が入った。

港に並んだ大量の動かない駆逐艦…。

早く之が目の前から消えてほしい物だ。



「と言う訳で、南洋庁としては警備船の購入予算の増額を外務省に打診したい。」

計画予算の冊子を睨む外務省の官吏。

「海軍さんに駆逐艦を出してもらう訳にはいかんのか?」

「海軍さんが顎で使われるのを良しとすれば…。」

「ふむ…。」

考える官吏に南洋庁の次官が畳み掛ける。

「海軍さんに灯台補給や資材運搬やってくれ…。とは言えんでしょう。臨時南洋群島防備隊が解散して軍は引いてしまった。いまいち入植者の応募も悪い。」

”南洋の島々には人喰い卜゛人や首狩り族が居る…。”

そんな噂が国内に蔓延り民間船でも傭船を嫌がる。

何処に暗礁があるか判らない無人島への接岸、調査も進まない。

南洋の未知の島々への入植自体に忌避感がある様子だ。

「無人島への上陸調査も水路の確認も新たな灯台の設置も…。やる事が一杯あるんです。その内に外国船への臨検取締りや遭難者捜索も出てきます。今ならよい中古の船が手に入るんです!」

「だからと言って外務省下に軍艦持ったらいかんでしょう。」

「なら…。海軍さんに来てくれるようにお願いしてください。いや…。昨今は海軍辞めた水兵さんも多い。”南洋庁護衛艦隊!無人島への斬り込み隊募集!”絶対船が在れば集まります。」

「無茶なこと言わんで下さい…。」

「予備役に入った士官も多いそうです。船さえあれば乗ってくれるでしょう。」

「いや、無茶苦茶だ!内務省と軍の仕事だ。」

「内務省では外国船への立ち入りは出来ません!外務省でも漁船への取締りは不可能!密輸を防ぐこともできません。」

「海軍しかできない。国際法上は海軍士官しかできない仕事だ。」

「ならば作ってください。海上保安艦隊いや…。アメリカのコーストガード艦隊を。」

「コーストガード?沿岸警備隊?」

「元々はアメリカの税収と取締りの艦隊で…水路の安全や最近は遭難者捜索もやっているそうです。兎に角!政府は南洋入植者を守り安心させる姿勢を示してください!そうしないと入植者が増えないです!」

「うーん、コレは…。我々では話が収まらないぞ。」


1925年(大正14年)海軍は特設根拠地隊の一部業務を内務省に移管して新たに新設された海上保安庁に当らせた。

海軍の現役、退役した多くの士官が内務省に移動して保安隊員の募集を行った。

播磨造船所は大急ぎで駆逐艦を改造して牡蛎を落とし、船体を真っ白に塗装して順次引き渡された。

鈴木商店は大儲けは出来なかったが、政府の各省庁のお偉方に。

内務省や南洋庁、海軍への顔を繋げる事に成功して…。

南洋経済への進出を果たした。

鈴木商店傘下の日本トロールは漁獲量のピークが過ぎた大陸付近でのトロール漁業から南洋での各種遠洋漁業へ切替わり。

投資の回収は順調だ。

但し未だ不良在庫もある。

売れなかった物が在るのだ。

陸に雨ざらしに並んだ漏水する水管ボイラーや整然と並べられた魚雷発射管。

砲口を下に向けた総数、400門の3インチと4インチ砲とか…。

(´・ω・`)いろいろ名前を考えたが…。(海上保安庁が一番しっくりくるわ。)

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― 新着の感想 ―
[一言] 大型艦か潜水艦だったらアイスクリームチェーンが始められたのだらうが……。
[気になる点] >2匹の雑役艇 スパゲッティ(掃海索)のシーンは別のヤツだったか。
[気になる点] 何隻か史実ではコーストガードに籍を置くはずの鑑も居ただろう。 まさか、ジャパン·コーストガードに籍を置くとは。
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