はじまり。100匹の駆逐艦
(´・ω・`)果たして完結するのかな…。(未完星人…。)
鈴木商店は世界大戦後の急速な需要低下と国際情勢に翻弄されていた。
そして1922年の仲春が明けての表明。
ワシントン条約会議の声明は金子直吉に衝撃を与えた。
新聞の内容を熟読して頭を抱える直吉…。
「播磨造船の仕事が10年間は無くなってしまう…。」
唯でさえ銀行からの借入金が…。
10億に迫っている、資本金の10倍だ!
「大丈夫だ!未だ行ける!!弱気は禁物だ。将来に金に成りそうなものを…。ヨシ!」
今はモノ余り!銭をモノに変えて…。
将来の為に資源を買うのだ!!
「今すぐ欧州支局と北米支社に電信だ。何でも安売りしている資材を買うんだ!運ぶ為の船ごと買っても良い。」
金ならまだある…。
金が無くても何とかなる。
借りれる。
物が在るのなら売り先を見つければいい。
物が無いよりマシだ。
商務長官であるハーバート・フーヴァーは自分のオフィスで書類を読みながら手を止めた。
机の上の電話を廻し(物理)次官を呼び出した。
ドアをノックして入ってくる次官に書類から目を離さず質問した。
「日本の商社に海軍の資産を売渡す…。これは問題は無いのか?」
「ああ。ウィックス級駆逐艦の話ですね。」
「日本海軍はこんなの買って如何する心算なのだ?」
「日本の商社です。傘下に造船と製鉄を持っている…。日本海軍は関係が無い様子です。」
「あくまで鉄くずとして…。買うつもりなのか?駆逐艦を?こんなに大量に?」
「船は…。砲金も鋼も炭素鋼も使って作っています。」
「それは解る、兵器として使われる事は無いのか?」
アメリカ製の大砲がアメリカに向けられるのは困る。
至極真っ当な意見だ。
「ええ。実はウィックス級駆逐艦は少々問題があり…。水兵達にも士官にも不人気です。」
言葉を選ぶ次官。
「あ?なんだと?」
「初期型のボイラーに問題が在るらしく…。現在は改良型のクレムソン級駆逐艦に取って代っています…。これも問題が在り船体の再設計が必要であると。」
つまり現在の合衆国海軍の主力駆逐艦は全て役立たずという話だ。
「ああ分かった!止めよう。この話は。」
就任した時、口頭で聞いた記憶を思い出した。
計画では160と初号艦の海軍の船で不具合が判明して、生産中止を決めたら殆どの計画船が建設中であった。
コレを不具合と認め生産中止を命令して代金を支払うと。
俺を商務長官に指名した大統領への議会での攻撃材料に成る。
として殆どが不具合を改良せず、そのまま就役した。
「ええ、我が合衆国の駆逐艦乗りの水兵は後10年は苦労することになります。」
世界大戦の大量の戦争物資が余っている。
だから民間に売却しているのだ。
「例え…。日本海軍が駆逐艦を兵器化しても、日本の水兵が我が水兵より苦境に陥るのか?」
「そうですね。現在配備中のクレムソン級駆逐艦も多くはドックを出たら、水兵が乗り込む事も無く予備役艦隊で河に係留されるでしょう。」
そうだ、全ては予算上の艦隊なのだ。
広大な川面に繋がれる灰色の艦隊たち…。
錆びて朽ちる前に目の前から消えてくれるのだ。
販売価格も問題ない。
国家予算に組み込まれ、書類上の負債は処理されたことになる。
損はしたが戦争の後始末だ、仕方がない。
恐らくこの金は飢えたドイツの子供達の食料になる。
間接的に日本も金を出す事になる。
書類にサインする。
「良かろう、之は日本に譲ってやろう。日本は今、大変な時期だ。」
コレは前の商務長官が残した汚れ仕事なのだ。
膨大な世界大戦の後始末の一つが目の前から消えた。
サインした書類を次官に渡す。
「はい。復興に多くの物資が必要な状況です。」
受け取る次官。
「我々は以前に鉄と船を交換し合った、彼等にとって分が悪い取引であった。我々が儲け過ぎていると思われると困る。敵愾心で日本は我が合衆国の宿敵に成るであろう。」
その時は未だ合衆国は中立で在った。
戦略物資である鉄鋼板を協商連合の一つであった日本への輸出を停止したのだ。
鋼板と完成品の船と交換する…。
日本にとっては屈辱であろう。
合衆国はその後、ドイツ帝国との戦いに参加している。
戦争は終わった。
戦友であり異教徒である日本人とは対等で在らねばならん。
「そうですね。日本で溶かされて…。失われた住居、橋や鉄道に生まれ変わるでしょう。」
頷く。
大きな地震が日本の首都を襲った。
「ああ、早く東京が復興する様に祈ってやろう。」
平和、堅実、質素、平等のクエーカー教徒としての力量が試される。
だが、私はその時、彼等を蔑んでいた。
何故なら、彼等はウィリアム・ハルゼーの言う様な”全く信用出来ない様な人々だと知った。”のだ。
私が知ったのは合衆国が散々、煮え湯を飲まされた後だった。
(´・ω・`)諸君!民間商船でも海軍士官が指揮して海軍旗を揚げれば軍艦だ!!
(´・ω・`)…。(戦闘艦は登録が必要です…。)でも書類上のはなしだから。




