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ドラゴンと車のハーフを連れた竜騎士の物語

 ドラゴンカーセックスというものがある。


 これは本来、なんでも性的として規制される事に対して打ち上げられたカウンター的な皮肉であり、エロさの欠片も無い「ドラゴンと車がまぐわっている絵」というネタであった。

 悪ふざけの好きな趣味人たちは、これを「エロいなぁ」「このタイヤの曲線は煽情的ですね」「ドラゴン服着てないじゃん、18禁なのでは?」などと弄って遊んだ。


 しかし、それらのネタ交じりの言動が続くうちに、だんだん刷り込みという物が行われていく。

 冗談では無しに、「あれ、この車の喘ぎ声、ヤバいな。脳にクる」「ドラゴンの尻なんか見たくないと思ってたけどこれは参考になる」などと思い始める者が現れ始めた。

 もちろんそれはネタとして流されていたが、本気で興奮する者たちはだんだん増えていき、この特殊性癖が主流になる頃にはもう手遅れだった。


 そもそも、性的に見えるというのは絶対的な物ではない。時代と主に移り変わっていくものだ。体毛も下着も本来は性的な物では無いし、全裸ですら規制されていない時期もある。ドラゴンと車は興奮すると言い続ければ、実際に劣情をもよおす者は現れてくるものなのだ。


 本屋の、18歳未満立ち入り禁止の暖簾の奥にはドラゴンの図鑑が並び、コンビニのカーカタログは青少年への影響を考えて撤去され、PTAは通学路に駐車されている車を非難し、車と車の事故現場の写真を撮った小学校教師が猥褻だと非難されて卒業アルバムで車のデザイナーになりたいという夢を語っていた事をニュースで放送された。


 こうなってくると困るのは幻想世界である。


 唐突だが、神や妖精、竜という存在は実在する。ただし、この地球とは少しずれた異世界にいる。

 この異世界は地球に住む人々の夢や憧れが結晶化して実体を持った世界であった。

 過去形なのは、かつては信仰や憧憬から生まれた美しい世界だったのだが、最近は見る影もないからだ。


 かつて森の妖精と言われたエルフはエロフになり、ダークエルフは巨乳に。

 女騎士はオークに約束された敗北の戦いを挑み、森には触手が満ち溢れ、ありとあらゆる幻獣は性的に消費された。


 もちろん、ドラゴンもその例に漏れない。彼らは車に興奮する生き物として、幻想を上書きされたのだ。


 そんな世界であるのだから、竜騎士という存在も奇妙な事になる。



「今日も仕事頑張るか、エブリ!」


 バンは商業ギルドの運送部に就職が決まった新人である。

 まだ若葉マークではあるが、竜騎士免許(AT限定)を持っており、自前の竜を連れている。

 近年、竜はすっかりその姿を減らし姿を見なくなってきているが、バンの田舎ではまだ野生の竜を見る事も多かった。エブリは子供の頃に拾った竜の卵を大事に温めて孵した大切な家族だ。


「ぶぅ~ん!ぶぶーん!」


 鼻を鳴らしてバンにすり寄ってくるエブリに角砂糖と人参を与え、身体を綺麗に拭いてやるり、ワックスでピカピカに磨く。

 一人前の竜騎士は自分の食事よりも竜の世話を優先するものだと聞いてから、律儀に朝飯を抜いて竜の整備する事を日課としている。

 竜の成長はゆっくりだ。竜と車のハーフであるエブリは純粋な竜よりは成長が早いだろうが、まだまだ660CCの排気量で軽い。バンを載せて走る事は出来るが、あまりたくさんの荷物を載せると上りの坂道で息切れしてしまう。

 それでも、人間が担ぐよりはずっとたくさんの荷物を運べるし、脚で走るのとは比べ物にならないほど速い。

 バンを始めとした多くの竜騎士達の活躍は、海の無い王国に鮮魚や塩を安定して運べるほどの流通革命を起こしていた。


「昨日は再配達が多くて遅くまでかかっちゃったからな、今日は頑張って早く終わらせてガソリン満タンにしような!」

「ぶぶーん!」


 地球の性癖により歪められた幻想生物と竜騎士の新しい朝が始まる。








正気に戻っちゃったのでここで終わり。

なんだよ軽自動車のドラゴンって。ナンバー何色なんだよ?


この後エブリは人化して女の子になったり、ドラゴンの里に両親に会いに行ってお母さんの車紹介されたりするんだよ。

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