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裏切り?

「今ね、すごいねねかさんの悪口いながら出てくる人がいてさビックリしちゃって来ちゃった。どうしたの?」

やめてほしい。ただの迷惑だよ。今ようやく心を決めたってのにそういうことされると甘えたくなっちゃうじゃん。でももういいの、大丈夫だから。

「ううん、何でもないよ。大丈夫だから。ねっ。」

「全然大丈夫そうには見えないよ!そんな暗い顔して、下向いて、何かあったんでしょ?話聞くよ。」

「いや、マジで本当に大丈夫だから辞めて…」

うざい。そう、うざい。自分から嫌わないといけないよね。私が勝手に嫌いになるから勝手に避けてくれたらそれでいい。

「分かった。じゃぁ真鍋くん呼んでくるから待ってて!」

「えっ、ちょっ待って!」

私の断りを受け入れる前に出ていってしまった。まるで飼い主に会いに行く大型犬のように跳ねていた。透はこの時間ならまだ校庭でバスケをしてるかな。透は中2の頃まではバスケ部に入っていたが顧問と喧嘩したらしく急に辞めた。ってことになってるけど私は嘘だと思う。透は優しいからチームメートのことを思ってそんなイミワカなことはしない。きっと私の事だろう。私が特にすることもなく毎日早急に帰って、透の部活終わりまでまってそこからゲームを始めてるから私に合わせたんだ。でも、バスケは好きらしくたまに放課後、体育館じゃなく校庭のリングで友達とプレーしている。別に嘘ついてまで私に合わせなくていいのに…バスケしたいならすればいいじゃん。自分のことより人を優先するって少しおかしくない?嘘つかれたんだよね。透にとって私は媚を売る相手だったんだな。私だけは透の真実を教えてくれる存在だって思ってたんだけどな…裏切られたみたい。春の夕方の少し冷たい風が窓から吹いて私の心を満たしていく。この教室には私だけ。

「ねねかっ!大丈夫だった!?」

「……」コクン

「隣、いくね?」

「……」

「ごめんね、大切な時にすぐそばにいてあげられなくて。ゆっくりでいいからさ、何があったか話してみてよ。絶対力になれるとは言えないけど、気は楽になると思うからさ、」

……

……

「…と、透は何でそんなに優しいの?…」

「…?…ねねかが思ってるほど俺はそんなに優しくないよ。全然人の悪口とかその場の流れで言っちゃうし、普通に人を道具として利用するし、感情的に物事は判断しないでメリット、デメリットの合理的に判断するよ。」

「そんなんじゃない。と、透はいつも笑ってて、空気を壊さないように嫌なことでも引き受けて、みんなを気にしてて、それで…それで…」

「いや、それは違うよ。あはは、そんなのはただの見栄みたいなもんだよ。本当の俺はそんなんじゃないって、ねねかは知ってるでしょ?ゲームしてる時の俺。あれが多分本当な俺だと思ってるよ。自分勝手で上手くいかなかったら怒って、でもゲームを辞めれなくて、そんな人なんだと思うよ。学校であんなに気を使ってるのはねねかがいるからだよ?自分でねねかが嫌な気持ちをしないような空気を作ってるの。まぁ、そんな上手くいかなかったけど…」

「私ね、透の優しさに漬け込んでたの。依存ってやつだと思う。なのに透のことを信じてなかった。今日透のことが好きな人が来て、もう近づくなって言われたの。私は透が振るために私を使ったんだと思っちゃった。友達になれると思ってたんだけど全然そんなことなくて、自意識過剰だったみたい。それで少しケンカっぽいことになっちゃって、でもでもその子は悪くないの。私が空気読まないでいたからいけないの。もっと、もっと気を使ってたらあんなことにならなかったのに。どうして何だろう…あの子どう思ってんだろう。やっぱり気持ち悪いよね、こんなことしてさ。さっき気にかけてくれた子にも悪いことしたな。きっと嫌われちゃったんじゃない。普通にしとけばよかった。どうしよう、どうしよう、」

「ごめんね。」

「えっ、ちょっ何してんの?辞めてよ。」

抱きつかれた。初めてのことだ、夕方の淡い光がカーテンを染め、教室を埋め尽くす。温かい。悪くない感じ…癖になりそう。

「ごめんね。ねねか。俺はねねかには知って欲しくなかったんだ。こんな空気を読んで、嘘ついて、ヘラヘラしてないと何にもできない俺を知って欲しくなかったし、そんな事しないと友達なんてできないっていう事実を知って欲しくなかったし、俺も受け入れたくなかったの。ごめんね。ねねかのことを思ってやってたんだ。ねねかを裏切ることなんてしないよ。ずっと、ずーっと、ねねかの側にいるから。…かわいいっ」

胸が熱い、目も熱い、涙がでてくる。涙…何年ぶりだろう。こんなにも嬉しいことで涙を流すのは久しぶりだ。嗚咽が出てくる。涙が止まらない。

「ごっ、ごめん。ずぐどめるがら。はしたないよね。」

「いいよ。全然胸ならいくらでもかすよ。いっぱい泣いて。それでいいから。話してくれてありがとう。」

……っっ……っ

「この学校の空気は終わってるよ。すぐみんな嫌われないように嘘をついて、その嘘を守るために嘘をついて、嘘がバレたらみんなでそいつをシカトしたりして。気色悪い。そんな中に自分がいるのが一番許せない。ねねかは何もしなくていいからさ。こんな気持ちになって欲しくないから。」

この教室には私と透だけ。

読了お疲れ様です。夏休みに入ったというのにYouTube shortばっかり見て全然進みません。すみません。でもこれからは頑張りますので気長にお待ちください。

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