21.傘を回すのにうってつけの日
二話更新、一話目です
いつもの時間に起きて、朝食を食べた。食後の運動として庭を散歩する。今日は暑くなりそうだ。
私は日傘をくるくる回しながら呟いた。
「暇だ・・・」
奈津子がくるのは明後日。それまでなにもすることがない。街にも出たくないし、図書館にも行きたくない。刺繍もしたくないし、本を読む気分でもない。手紙も嫌だ。もっと言えば運動もしたくないし、勉強もしたくない。知らない人にも会いたくない。歌は下手だし楽器も弾けない。
「ないない尽くしにも程がある・・・」
日傘を回しながら庭を歩く。きちんと手入れされた庭は色とりどりの花が咲いていて見ていて楽しい。そうだ、楽しいことをしたい。
庭の東屋に座って考えてみた。楽しい事ってなんだろう。恋とか結婚とか仕事とか、楽しいのかな。でも前世の仕事は・・・
「楽しい時も、あったなぁ。」
働き始めた時は割と色々なことが楽しかった。パソコンを触りながら、座ったままでお金もらえるなんて面白いとか思っていた。頼まれごとをされるのも、人に頼られているようで嬉しかった。そんな時期もあった。
「領主の仕事って面白いかなぁ」
今領地で代行として働いている叔父の顔を思い浮かべる。正確には顔じゃなくて40前なのにすでに大分白くなっている髪型を思い浮かべた。顔は父に似ているはずだが父と比べると地味な人だ。たぶんオーラの問題だと思う。
私とシャルルはその叔父の元で領主としての仕事を学ぶ予定だった。今となっては私は一人で教わらなくてはいけない。父も叔父も母もまだまだ長生きしそうだし、その間に私にパートナーできる可能性にかけたいところだ。
「でも・・・」
でも前世を思い出した今の私なら、粛々と働くこともできるかもしれない。むしろここにいてこんなに暇なら、とっとと領地に移動して仕事を覚えるべきでは?
「これだ!」
私は大きくうなずくと立ち上がった。




