11.ハッピーエンドにいたるまでの道筋
結局話し合った結果、前世の記憶を以てしても今後のことはどうすることもできないという結論に至った。
「そう言えば、なっちゃんはなんであんな手紙送ってきたの?」
ポケットから奈津子からの手紙を取り出す。ちょっと皺になっている。クマが怪訝な顔をしたので、中の手紙を渡した。
「うわ、日本語じゃん。これ誰かに見られなかった?」
「見られてるよ、使用人に。あの感じだとお父様も見てるかな。」
「あ、だからエントランスにいたんだ。なんか威圧してきて感じ悪かった。」
奈津子も感じ良くはなかったけどなと思ったが黙っておく。クマが返してきた手紙をまた封筒にしまった。
「私、最初これが日本語だって気が付かなかったんだよね。普通に読めるから。そう言えばクマ君とかなっちゃんとの会話も途中から日本語になってたねいつの間にか。」
「え?誰にも聞かれたくないからわざと喋ってんのかと思ってた。」
「私も」奈津子が頷く。
「後付けです。」
地元の人と話してたら方言でちゃうとか、そんな感じです。
「で、なんでこんな脅迫文みたいな文なの?」
「みっちゃんが派手に振られたって聞いて。落ち込んでるかなと思って。」
質問に対する答えであってるんだろうか?
「ずっとタイミングは見計らってたんよ。で、思い出すならもう思い出してる時期かなと思って。学園卒業したら領地に引っ込むみたな話も聞いてたし、今しかないだろうと。でも面識ない私が普通に手紙出しても返事来なさそうだから、敢えての日本語の文章です。何も思い出してないなら・・・話すこと、ないし。」
奈津子が少し寂しそうに言った。そういえばこの子は20年待ってたのか。
「なんかゴメン」
神妙な気持ちで謝ると、奈津子はにこっと笑ってくれた。いつもの笑顔にホッとした。
「結局小さい疑問は解けたけど、大勢はなにもわかんなかったな。」
クマが座ったまま伸びをする。ちなみにテーブルの上は全て食べつくされていた。
奈津子がなげやりに言う。
「まあ現実なら仕方ないんじゃない? 別に自分が登場しない乙女ゲームがどうなったかも興味ないし。あ、ちなみに元祖ヒロインは生徒会長とくっつきました。」
「王道だね」
タイトル画面で一番大きく書かれていた人だ。そりゃそうだろうと頷く。
「じゃあ、一年三組の同窓会はこれで終了?」
クマがおどけた感じで言った。
「三組だったっけ?」私は首を傾げる。
「いや、三人しか集まってないことにツッコんで?」
「二人ともそこじゃない・・・とにかく、これからは前を向いて歩いてくしかないってことだろ?」
「熊田がカッコいいこと言おうとしてる。なんかムカつく。」
「なんでだよ! これ以上話し合っても仕方ないだろ。全員進路もバラバラなんだし。」
「そこは昔と一緒だね」
私が苦笑して言うと、二人とも苦笑した。寂しいけど、仕方ない。
「あ、でも熊田と私はある意味同じ公務員じゃん。結婚する?」
「なんでだよ」
「出世しそうな男は早めにツバつけとくに限るって、うちのばあちゃんが。」
私は興奮して割り込んだ。
「なっちゃん! 私も一昨日クマ君にプロポーズした!」
「え、なんで? 熊田だよ?」
「中川、言ってること滅茶苦茶だな・・・」
「ライバルだね! 私たち、これからクマ君を取り合う!?」
「お、いいね。ギャルゲー? ギャルゲーだったのこれ?」
二人で大笑いしてるとクマが疲れたように言った。
「もう百合ってことにして、お前らがくっつけよ・・・」




