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犬に噛まれたは此方の気分だ

   『犬に噛まれたは此方の気分だ』


 啜り泣く声が部屋に満ちている。少女のあど気無さすら残る其れは彼女の程好く健康的に扇情的に成熟した肢体と対称的だった。寝台の上で豊満なボディラインをなぞる様に盛り上がったシーツが不定期に引攣けを起こしている。傍目には疑いの余地無く凌辱の憂き目に遭った少女と暴悪な加害者に見える事だろう。


 冗談ではない、捨て鉢の野良犬に嚙まれたは此方の気分だ。


 泣いている理由も私に有る訳では無かろうと見当が付いている。破瓜の疼痛か、裏切りの罪悪感か、その様な所だろう。繰り返すが無理強いに奪った花ではない、どころか自棄に捨てる物ではないと窘めすらしたのだ。だと言うに何故此方が斯様に気を巡らせねばならないのか、理不尽も極まれる。女は生娘が良いなどと宣う手合いの心情は金輪際理解しかねる。


 「…ごめん、ね」

 未だ止まぬ驟雨を良いだけ振らせながら絶え絶えに謝辞を述べてきた。胸中の毒を見透かされた様な感覚に座りの悪さは増す一方だ。


 「お願いしたの、ウチなのに」

 そう、重ねての自己弁護になるが飽く迄乞われての行為だったのだ。事の経緯を述べるには、数日を遡る必要が有った。

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