登録
「さてと、、ここがギルドかな?」
商人のおっちゃんと別れてまっすぐ進んだ道の先に、大きく人が集まる建物があった。
屈強な男たち、、だけでなく、思っていたより女性の姿も見てとれた。
まぁ、間違いなくここだろう。
そう思いながら建物の中へと入っていく。
「へぇ、なかなか広いな」
建物が多き分、中も広かった。
入って左側が食堂のようになっている、おそらく食事の提供もしているのだろう。
中央には受付のような場所になっていて、女性が数名、探索者と話している。右側は、、なんだろう?広いが作業台の様な物が置いてあるだけだ。
そのまま中央の受付へと足をすすめる。
「いっらっしゃいませ。ご用件をお伺いいたします。」
「探索者になりたい、登録を頼む」
「承知いたしました、ではこちらにお名前と登録料をお願いします、、その下の欄は任意になりますので記入されなくても結構でございます」
渡された紙を見てみる。
名前・
使用武器・
戦闘スタイル・
集団戦闘の経験・
「ちなみにお名前の方も好きなお名前で登録して結構でございます」
「いいのか?」
「はい。ここではお名前などは重要ではございません。強さや生き残る術がすべてになります、まぁかと言って変な名前にする方はほとんどいらっしゃいませんが、、、」
「そりゃそうだな」
「、、、ごく稀にいらっしゃいますが、一度登録するとお名前の変更ができません。後悔なさる方も過去にはいらっしゃいましたね」
「ははは、無難な名前にしておくよ」
まぁ偽名を使う必要もないしな。
ついでに聞いておこう。
「おねーさん、名前の下の項目は書かなくてもいいの?」
「大丈夫です。しかし、戦い方や、使用する武器などが分かれば、他の方とパーティを組みやすいかと思われます」
「あーなるほど、そういうことか」
確かに複数人で探索した方が安全性が上がるもんな、、、その分、分配関係なんかでもめやすくもあるが。
「んー、、とりあえず名前の登録だけでいいかな」
「かしこまりました。まぁ強い方ならば自然と注目されるので、戦い方などは遅いか速いかの違いになりますね」
「注目されるように頑張るよ」
そう言いながら、登録用紙に名前だけを書き、登録料と一緒におねーさんへと渡す。
「トーリ様ですね。少々お待ちください、、、、はい、こちらが探索者カードとバッチになります」
「探索者カード?バッチ?」
丈夫そうな鉄色のカードとバッチを手渡される、カードにはトーリと名前だけ記載が、、、バッチには1本の剣がかたどられていた。
「はい、カードは迷宮での魔物の討伐数や、依頼の達成率、その他実績がデータとして記録されます。また、報奨金や魔石の買い取り金額、お支払についてもそのカードが有れば簡単に手続きができます」
なるほど、それは便利だな。
そう思いながら手元のカードを撫でる。
「バッチに関しては、探索者の証になりますので、どこか見える場所につけてください。この迷宮都市セレスティアでは探索者の他に、一般の方も生活しています。緊急時の際に見分けがつくようにしております」
「緊急時?」
「そうですね、、、過去には魔物の魔石を狙った大規模な盗賊たちの襲撃、あとはダンジョンから魔物が地上にあふれ出てきたこともあったそうです」
「魔物が地上にでるのか!?」
盗賊はともかく、魔物が地上に出るのは非常にまずいんじゃないだろうか、、、
「、、、はい、もう100年以上前の話になるようですが、多大なる人的被害が出たそうです」
「それは、、地上に出た魔物はどうなったんだ?」
「その後は殲滅されたようですが、、申し訳ございません、長くなってしまうのでここは割愛させていただきます。早く知りたい場合には、あのカウンターで呑んでいる男性に聞いてみてください。その手の話には詳しいので、、酒の一杯でも奢れば話してくれると思います」
女性の視線を追うと、食堂のカウンターで1人、ジョッキを傾けているおっさんがいた。
まぁ、あとで聞いてみるか、、、
「分かった。迷宮に入るにはもう手続きはいいのか?」
「はい、結構です。迷宮の入り口に門番がいますので、カードを見せてください。それで入れます」
「分かった。ありがとう」
「いってらっしゃいませ。探索から戻られましたらまた私のお声掛けください」
そう言われ、軽く手をあげた。
よし、無事に登録もできたし早速、迷宮探索に行ってみようか!