プロローグ
ガタンガタン、、、。
ある都市へと向かう街道を一台の馬車がゆっくりと走っていた。
向かう先は迷宮都市セレスティア。
その馬車はセレスティアへと向かう商人のものだった。
馬車を操る商人ともう一人、、、馬車の後ろに1人の青年が乗っていた。
「にーちゃん、そろそろ着くぞ」
「ん?あぁ、、、ふぁ~少し寝てたか」
商人のおっちゃんに声をかけられ起きる。
馬車の揺れが心地よく、いつの間にか眠っていたようだ。
「おっちゃん、ありがとな!乗せてもらって助かったよ」
「なに、いいってことよ。助けられたのはこっちも同じだしな~」
この都市へと向かっている途中、狼の群れに襲われていた商人のおっちゃんを助け、代わりに都市へ行く馬車に乗せてもらったのだ。
「にーちゃんもセレスティアで一旗あげようって口かぃ?まぁ腕っぷしをあるようだしなぁ、、、死なねーように気をつけてがんばんな!」
「まぁそんなとこ、がんばってみるよ」
喋っていると、そのうちセレスティアの城門を潜り都市内へと入る。
「はぁー、人が多いね~」
あまりの人の多さについ口にでてしまった。
「そりゃそうさ、迷宮から採れる植物や鉱石、魔物から採れる魔石、、、どれも地上では手に入らない貴重で高額なもんばかりだ。一攫千金狙いの腕自慢たちが各地から集まってんだからなぁ」
そう言われながら見渡してみると、武器を持ち防具を纏ったものや、明らかに一般人の体つきではない者たちが多い。
みんな、迷宮へと潜る者たちなのだろう。
「ほれ、こいつをもっていけ」
「ん?おっちゃん、これ、、、なんで」
商人のおっちゃんが渡してきたのは硬貨が入った袋だった、、、袋の大きさや重さからけっこう入っているのが分かる。
「助けてもらった礼だ。それと、これから頑張れよって激励も兼ねてな」
「、、、ありがと、おっちゃん。大切に使わせてもらうよ」
「いいってことよ。俺もセレスティアには良く来たりするし、滞在もする。見かけたときにでも声をかけてくれ」
「分かった」
そういって商人のおっちゃんと握手をする。
「とりあえず、【探索者ギルド】に行くといい。迷宮に潜るにはギルドの許可がいるし、魔石の買い取りなんかもギルドでやってくれる。」
「【探索者ギルド】?分かった。とりあえずそこに行ってみるよ」
「このまま真っ直ぐ行けばすぐ分かる。でかい建物だからな」
「ありがとう、んじゃまた機会があれば!」
「あぁ、元気でやれよ、にーちゃん」
商人のおっちゃんに軽く手を振り、ギルドに向かうことにした。