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 そして、船は「社会復帰訓練」の場所である韓国の釜山に着き……俺達は、バスに乗り換え、一見、どっかの企業の宿泊設備・食堂付きの研修施設らしき場所に案内された。

 今日は簡単なオリエンテーションと、あとは風呂に夕食だけで、本格的な「研修」は明日からのようだ。

 だが「オリエンテーション」の場に集った連中は……何かおかしいが、ある意味、船の中で予想した通りだ。

 身に(まと)ってる「雰囲気」みたいなモノが違う連中が一箇所に集められてる。その「雰囲気」は……大きく2種類有った。

「各自で受けてもらう研修は既に渡した書類に記載されています。ここは刑務所ではないので、時間を守れとか、サボるなとかの固い事は言いません」

 講師らしき女……どうやら、結構な力・腕前の同業者(魔法使い)らしいが……だからこそ、具体的に「どの位の力・腕前か?」を「魔法」的な方法で探ろうとするなんて「無礼」な真似はする訳にはいかない。そんな真似をすれば、相手に気付かれ……。

「そして、ここは高校や大学でもないので……『留年』は気にせずに、気長にやって下さい」

 つまり、講義や実習をサボるのは勝手だが、「単位を全部取る」まで、ここから出られると思うなよ、と。

「一部の方は御存知だと思いますが……ここでは、『正義の味方』『御当地ヒーロー』向けの訓練と、元犯罪者・元テロリスト・元『悪の組織』構成員の方々の社会復帰訓練が同時に行なわれています」

 出た。やっぱりそうか……。ここも「誰が看守で誰が囚人か、看守の側しか知らない刑務所」だ。

 だが……その時、ある気配が……。

「それと、精神操作能力者の方。うかつに能力を使わないように。講師は基本的に精神操作能力への抵抗訓練を受けていますし、受講者は毎日、カウンセリングを受けるので、誰かに『精神操作』を行なったら、すぐにバレますよ」

 あのおっさん……またやったのか……。

「ついつい『精神操作』を使ってしまう場合はカウンセラーに相談して下さい。能力行使依存症の可能性が有ります」

 ああ……たしかに、あのおっさん……その可能性が有るな……。安易に「精神操作」を使い過ぎてる。

「では、これから全員にGPSと発信機機能が有るマイクロ・マシン・タトゥーを印刷しますので、呼ばれた順番に隣の部屋に行って下さい」

 クソ……認識を改める必要が有るらしい。

 「悪」は自分達こそ「狡猾」で「現実的」だと思っている……いや、思い込んでいる。「思い上がり」も「悪」の本質の一部だからだ。

 だが、「正義」は……その逆だ……。理想にこそ忠誠を誓い、現実が間違っているなら、その間違った現実と妥協する事を拒んでいるからこそ……真に狡猾で現実的になる。

「それと、他の方が現在どこに居るかは……皆さんに渡した端末で確認出来ます」

 お……おい……くそ……。

 例えば、ここから逃げようとした場合……他の奴の居場所は端末で確認出来る。……しかし、その情報は本当に信用出来るのか?

 マズい……ここは……本当にマズい……。思ってたより遥かにマズい……。

 「正義の味方」どもは……ここに来た「悪党」どもを、本気で「善人」に改造するつもりだ。

 そして……俺達「悪党」どもに「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」と徹底的に教え込む気だ……。

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