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日吉瑞希⑦

 午前十時、豊島園駅、現地集合。


 四字熟語のようだ。


 やっぱり人気のとしまえん。駅前から混んでいる。


 ファミリーが多いけれど、カップルで来ている人もいる。


 私達はどう見られるのだろうか。



「お待たせ」


「ふぁ! あ、こ、幸助。おはよう」

 考えていたら不意に幸助に声をかけられたので変な声が出てしまった。


「ふぁ? おはよう」


「そ、それじゃあチケット売り場に行こう!」


「うん、そうだね」



 二人で並んで歩く。


 二人でチケット売り場の方に「学生二名」と伝える。


 二人でひとつの案内マップを見る。


 二人で知らない間にアフリカ館がなくなっていることに驚く。


 やば、まだ十時十五分なのにこの楽しさ。帰る頃には死ぬんじゃないか? それくらい楽しい。


 まずはゆったりした模型列車から始めて、だんだんと激しくしていこうという話になった。


 模型列車は読んで字のごとく、機関車の乗り物で自然の中を走るだけのものだ。途中下車はできない。


 子供たちが目をキラキラさせていた。それを見て私たちは自然に笑顔になった。


 次はゲームセンターの屋上に設置されているブラワーエンジン。


 意外に激しくて驚いた。一周が短いとはいえ、三週もするとは思わなかった。


 その後はフリュームライドに乗った。これは丸太のボートで水路を進むアトラクション。


 これに乗るとわかっていたので、ハンカチを用意しておいた。最後の急降下で濡れるからだ。


 水に濡れた幸助にハンカチを渡すと「ありがとう」と言って笑ってくれた。女子力ポイントゲット。


 やっぱり遊園地は二人で来場したほうが、アトラクションに並んで座れるので楽しい。


 ここで早いけれどお昼ご飯にすることにした。


 としまえんのお昼は特筆することはない。私も幸助も無難なカレーを選択した。



「そうそう。あれからスイーツにハマっちゃって、ショコリキサー食べたよ」

 カレーを食べ終わる頃、幸助が話を始めた。


「そうなの? あれ美味しいよね!」


「やっぱり知ってるんだね」


「まあね。幸助がスイーツにはまるなんて思わなかったよ」


「瑞希のせいだよ」


「えへへ。ごめんね」



 私の影響でスイーツを好きになったのか。なんかうれしいな。


 トレイを返却口に戻しお店を出る。



「じゃあミステリーゾーンに行こうか?」

 幸助がいたずらな笑顔で言う。


「いや、嫌だ」


「だめ。行こう」



 え、エスなの?


 強引に連れていかれる私。


 ミステリーゾーンは簡単に言えば、乗り物で進むお化け屋敷。



「楽しみだね」

 幸助が言う。


「いや、全然」



 苦手なんだよ、お化け屋敷。メールで言ったじゃん。


 順番になり、仕方がないので乗り込む。最悪だ。


 終始、幸助の袖をつかんで目をつむっていた。


 目を閉じている分、お化けのうなる声が余計に怖かった。


 放心状態の私を今度は歩いて進むタイプのお化け屋敷に連れていく幸助。


 サディスティック!


 ここでも袖をつかんだまま目をつむり、幸助の案内で進んでいく。

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