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小川麻衣⑥

「お待たせ」

 白地にピンクの花の模様をあしらった浴衣姿の瑞希が改札から出てきた。


「ううん。私も今着いたところ」



 本当は一人でお祭りに行きたかった。


 だけど、一昨日瑞希が一緒に行こと電話がきたので断れなかった。


 私が一緒に行かなくても瑞希は清瀬のお祭りに行くと言っていたので、変に嘘をついて鉢合わせたらこじらせると思ったからだ。


 幸助と二人で花火を見たいと思っていたけれど、叶わないかもしれない。


 でももしチャンスがあったら、その時は、瑞希、ごめん。私は幸助を優先する。友情より愛情だ。


 二人でバスに乗る。


 清瀬に来るのは初めてだ。今度は幸助に案内してもらいたい。


 車窓から清瀬の町並みを見る。


 田舎だ。バスが進めば進むほど田舎さが増してくる。



「ザ・田舎って感じだね」

 私は思ったことを瑞希に言った。


「ほんとだね。でも田舎は母音から始まるからジ・田舎だよ」

 瑞希が細かい訂正をしてくる。


「どっちでもいいよ」



 他の乗客が咳払いをした。


 私たちがうるさかったのか、漫才みたいになってしまったのが面白かったのか、田舎と馬鹿にしたと思われたのかは判断しかねる。


 瑞希と目を合わせてくすくすと笑って、静かにしていた。


 会場は賑やかだった。


 祭客の喧騒の中に太鼓の音が聞こえる。


 焼きそばのソースの焼けるにおい、焼き鳥の食欲をそそる煙が入り混じって漂っていた。


 瑞希が「ヨーヨー欲しくない?」と言ってきたけれど、私は全然興味がなかった。


 でも瑞希がどうしてもやりたそうなので、百円を払って、やってみた。


 その後はくじを引いたり、綿あめを食べたりして楽しく過ごせた。


 幸助に会いに来るためだけにお祭りに来ていたら、ここまで楽しめなかったかもしれない。


 花火を一緒に見られたかもしれないけれど、その時間までは一人で時間を持て余していたかだろう。


 最初は瑞希とお祭りに来るのが嫌だなとお思う面もあったけれど、今は心から楽しめている。


 感謝だな。


 とは思いつつ、幸助のいる屋台を目指す。


 お姉さんに会いたいという名目で、幸助がお手伝いをする屋台の場所を教えてもらっていた。


 ちょうど幸助の屋台の向かいの屋台で瑞希がスーパーボールを掬おうとしている。


 応援するふりをして、後ろを確認。


 幸助の姿は見えない。


 帰ってしまったのだろうか。



「あー掬えなかった!」


「お姉ちゃん残念だね」



 瑞希がスーパーボール掬いのおじさんと話をしているときだった。


 左側から上田と南が段ボールを持って歩いてきた。


 たぶんこれは幸助もいる。


 しっかりと確認すると、二人の後ろに幸助の姿が確認できた。

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