婚約破棄を野次馬してたら押し出されてなんか言わなきゃいけない感じになったのでざまぁしてみた
「エリザベート、お前との婚約は、今ここで破棄する!」
俺がこの学園の卒業パーティに参加し王太子に挨拶をしようと列んでいるといきなり前でそんな声が聞こえた。
面白そうだと思ったから前の方へ近付いてみると周りの参加者も続々と近ずいてきた。もともと王太子に挨拶をしようとしていたため前の方で野次馬することが出来た。
「婚約を破棄とはどういうことでしょう?」
今前で話しているエリザベート様が声を上げる。
「お前がフィリスに嫌がらせをしたり言いがかりをつけた事は分かっている!」
「そのようなことをした覚えはありません!」
「ここにいるフィリスはお前に嫌がらせを受けたと言っているんだ。 そうだよなフィリス」
すると王太子の隣にいる女の人が答えた。
「はい。間違いありません」
「私はそのようなことをした覚えはありません!」
エリザベート様が声を上げるがその声を無視して王太子は続ける。
「お前のような自分のした事も認めない奴が私の婚約者だったとはお前は今すぐこの場から出ていけ!」
「そ、そんな」
エリザベート様が涙をうかべる。
はぁ、この王太子馬鹿なのか?そう思っていると後ろからドンと押された。それによりなんかエリザベート様の近くまで来てしまった。ヤバいと思って戻ろうとするが王太子より声をかけられた。
「なんだお前は何か言いたいことでもあるのか?」
はぁめんどくせー。言いたいことなんてないけど雰囲気的になんか言わないといけない感じがする。
「では質問させて頂きます。フィリス様が受けられた嫌がらせとはどのようなものでしょう?」
「なぜそのような事を聞く?」
「興味があるからです」
「いいだろうフィリス答えてやれ」
「はい。私が言われたのは王太子に近づくなやもっと身分差をわきまえ礼儀正しくしろと言われました」
「これでいいだろう下がれ」
「うーん? ちょっと待ってくださいそれの何が悪いんですか?」
そう聞くとフィリスがこたえる。
「だってこの学園では身分は関係なく過ごすようにと言われているのに」
「身分は関係なく過ごすようにと言われていても常識として目上の人には礼儀正しくすべきだと思いますが? それに王太子に近づくなというのも婚約者としては当然のことだと思いますが?」
そう問い詰めるとフィリスは焦ったように言った。
「ほ、他にも階段から突き落とされようとしたこともありますとても怖かったです」
ここがチャンスだと思い畳み掛ける。
「それはいつの事ですか? もちろんそんな想いをされたのですから分かりますよね」
「そ、それは、今月の13日です!」
「おや?それはおかしいですね。その日エリザベート様は家の用事で学園にいらっしゃらないはずなんですが?」
エリザベート様が「え?」と声を上げられる。
「間違えたわ14日よ!14日に私は突き落とされようとしたの」
勝った。
ここで情報を変えたことでこのフィリスという女の情報を周りの奴らは素直に信じなくなった。
「そうですかでは証拠はありますか?」
「そ、それは」
フィリスが何も喋れなくなると王太子がキレた。
「もういいだろう!フィリスがそうだと言っているのだからそうに決まっている!」
あーあこのままフィリスに騙された哀れな王太子のままだったらワンチャンあったのに。
「は? 何言ってんの?」
「え?」
王太子が呆けたような顔をしているが気にせず続ける。
「人を証拠もなく処罰を与えるということを冤罪という。冤罪を受けたものは身に覚えのないことで人生をめちゃくちゃにされる。冤罪とはどのような罪よりもやってはいけないことだ。」
「そもそも、このような場所で人の罪を指摘するというのはその証拠があるから言えるものだ。証拠もなくその人を追い詰めるのは人として最もやっては行けないことだ! そのようなことを国のトップに経つ予定の王太子が行うなど言語道断!」
周りの王太子やフィリス含めた全ての人が俺の迫力に飲み込まれている。
「やれやれ。王太子として情けない様子だな」
おっと、陛下と王妃殿下がお出ましだ。臣下としての最敬礼をする。
周りも遅れて礼をする。
「ち、父上どうしてここに?」
「うむ。もうそろそろ見切りをつけねばならんときが来そうだったからな。ずっとこの会場の様子は見させてもらっていた。」
「え?」
「それでお前がエリザベートと婚約破棄をしようとしているのは本当か?」
「は、はい私はエリザベートと婚約破棄をしこのフィリスと結婚したいと思っています。」
「そうかではお前がエリザベートと婚約破棄をしそのフィリスと結婚することを認めよう」
「ほ、本当ですか? やったなフィリス」
「は、はい。ありがとうございます」
すると王様がエリザベート様へ向かって言う。
「エリザベートさん今まで申し訳ない。この婚約破棄のことと今までの事も含めた礼は必ずさせて頂く」
「ち、父上なぜそのような事を」
「黙れ! エリザベートのひたむきな姿を見て、いつかは変わってくれると思っていたが、もはやお前に救いなどない。わしも王妃も決心がついた。お前を廃嫡する。連れて行け」
王様が兵に向かって命令する。
「君も助かった。私の代わりにビシッと言ってくれて」
王様が俺にも礼を言ってきた。
「いえいえ余計なことをしてすみません」
「いやいや目上の人間に対しあそこまで言えるのはすごいことだ。君の様子まるで昔の私を見ているようだ」
「あ、あの! 助けていただきありがとうございました!」
エリザベート様が俺に向けてお礼を言ってくる。
「いえ。男として当然のことをしたまでです」
「はっはっは。やはり君は昔の私そっくりだ」
その後少し話をしてこの場は解散となった。
そして数日後婚約破棄をされたがとても綺麗で性格もよい令嬢からのお見合いの話があったのだがそれはまた別の話。