陽炎も見えなくて。
空高く舞うこともない 緩やかな放物線
描く蜉蝣 祭りのあと――僅かに
散らした羽根や 糸屑のよう
夕焼けに照らされた 桟橋から
か細い四肢はさらさらと
はらはら舞い散る桜の花びらに その影として
生涯――
これ程までに悔しかったことはない
岩にこびりつくこと 幾数年
食み 捉えた得物の有り難みに触れて
生きた証を残そうとして 華々しく舞い踊る
少し疲れて 止まった先に温もりを覚えて――
パチンと鳴り
撒き散らかした その行方に
せせらぎを 余所に