第1話
「頭どうかしましたか?」
私は私自身の頭に問いかける。
頭とは、脳でもあるし、心でもある。
言い換えれば、大工のようなものでもあり、自分という体の中の中枢機関、いわば社長といってもよいかもしれない。
「いやぁ、僕は可笑しいのだよ」
頭が答える。
顔はついていないがたぶん、声の調子から表情筋を緩めているのだろうと思う。
「何が可笑しいんですか?」
僕が答えを返す。
自分は自分という体というものではなく、文字としての僕が問いかけて、キャッチボールするようにできるのは、簡単だ。
だって、僕自身が考えついた着想だから、他者の思考や言論は介在しない、独自の固有思想。
「いやぁね、久々に笑った」
「久々何ですか?」
僕は驚いた。
そして、場違いな鐘の音の中にいることを知った。
僕が僕である瞬間はどこにもないということに、僕の中にいる何かと話していることに恐怖とは言い表すことができない、憂いを差す色が僕を包んだ。
「君は本は好きなのかい?」
頭は言った。
「まぁ、はい」
もともと、僕は本を読むのは好き,だが、本の虫なのかと言われるとそうでもない。
「しかし、僕は本の虫という程でもないし、少なくとも網の中の小説は読む気が失せます。」
「どうしてなのだ?」
頭は首をかしげて、僕に聞くのだ。
僕は彼に手紙を書くみたいに答える。
「紙は現実にあり、尚且つ自分で筆を書いている実感があるようにそれと等しく、私も読んでいると思うからです。」
「言い換えると?」
頭が聞いてきた、だが、僕は頭を横にふる。
そして、自身の理由を返信する。
「言い換えることができれば、それはレポートになるからです」
頭はそれでも首をかしげた。




