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転生するならチートにしてくれ!─ご令嬢はシスコン兄貴─  作者: シギノロク
二章 十三歳、男友達ができました。
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25.奴隷商の隠れ家

※流血、残酷表現あります。

 それからは早かった。

 アントニスのコネを使って契約書に書かれていた業者の隠れ家をいくつか見つけ出すことに成功した。

 業者の隠れ家はとても巧妙に隠されていて、表では質屋や金貸しの姿をしていた。

 確かにここなら大金をやり取りしていてもおかしくない。


 俺たちと憲兵は見つけた業者を手分けして潰していくことにした。


 俺たちが割り当てられたのは質屋だった。

 まず、店にアントニスが客のふりをして入る。

 そして、俺とリゲルはその隙に店の裏口からこっそりと忍び込んで人身売買の証拠や子どもたちを探す。

 そういう作戦だった。

 

 勿論、裏口に二人の見張りがいたが、あっさりとリゲルが倒す。

 不意打ちだったので、叫ばれたり、反撃されることもない。

 ものすごく静かにやってくれた。

 リゲルが味方で良かったと本当に思った。


 もしも、敵だったら……

 ぶるっと体が震えた。

 そうだな。考えたくもない。


 店の中は思ったよりも広かった。

 俺は最初に入った部屋で色々探すが、なかなか証拠になりそうなものは見つからない。


 俺は部屋の中を見回す。

 部屋に不釣り合いなくらい立派な暖炉があった。

 違和感があった。

 確か、ゲームとかではこういうところが隠し扉になってたりするよな。

 とりあえず、暖炉の周りに何かないか探す。

 まあ、何もないわな。

 暖炉の中、床にも何もないみたいだ。


 最後に暖炉の奥を触ってみる。

 すると取手のような窪みがあった。

 まさかと思って横に動かしてみる。


 当たりだ。

 引き戸だったようで横に滑らせると簡単に扉が開く。

 大きな暖炉だったので、アントニスでも身体を屈めれば入れそうなくらいの大きさの入り口が出現する。

 どうやら奥は階段のようになっているらしい。

 地下に降りることができそうだ。

 俺は予想が当たって一人でにやにやと笑った。


「リゲル、地下に降りられるみたいですよ」

 そう言って振り返るが、部屋には誰もいなかった。

 俺が暖炉に気を取られている間に何処かに行ってしまったようだ。

 ちょっと目を離しただけなのに。


 仕方ない。

 今度はリゲルを探すことにした。

 全く何処に行ったのだろう。

 ここで敵に襲われても俺一人では倒せる気がしない。

 早く見つけなければ俺の身が危ない。


 廊下を歩いていると扉を見つけた。

 そのうちの一つから何かがぶつかるような大きな音がした。

 扉に近づき、耳を当てる。

 注意深く聞いてみると、中からうめき声が聞こえた。


 まさか、リゲルが誰かにやられたとかじゃないよな。


 俺は恐る恐る扉を開けると、顔を覗かせた。

 そこには三、四人ばかり男が転がっていた。

 服が破れ、血を流す者もいた。

 うめき声の主はどうやらコイツららしい。

 こんなことをやるのはリゲルしかいない。


 俺はリゲルを探し、視線を巡らす。

 すると、部屋の奥で剣を構え、転がる男を見下ろすリゲルがいた。


「ふざけてんのか?」

 リゲルは剣の切っ先を男に向けながら冷たく笑う。


「だから知らなかったんだって……」

 男は蒼白な顔で唇を震わせ、怯えるような瞳をリゲルに向けた。


「知ってるとか知らないとか関係ねえんだよ。奴隷ってのは禁止されているのは常識だろ?」

「だから、用心棒として雇われただけでそういうことをしてるなんて知らない……」

「へー、弱い用心棒っているんだな? 嘘吐いてんじゃねえよ」

 リゲルはぐいっと男に剣を近づけた。

 嗚呼、またやらかしてくれている。

 しかも口調まで粗暴になっている。これが本性か。


 俺は覚悟を決めて叫んだ。

「リゲル! ちょっとよろしいですか?」


「嗚呼、今行く」

 リゲルはいい笑顔をこちらに向ける。

 その後、すっと表情を消すと、男の鳩尾に蹴りを入れた。

 ぐぼっと鈍い音と涎を吐き出して男はお腹を抱えてうずくまった。


 俺の顔からさっと血の気が引いていくのが分かった。

 眩暈がする。

 俺は俯いて壁に寄り掛かった。


 やっぱり怖い!

 リゲルのことはいい奴だと思うし、理解したいのだが、どうしてもこういう血の匂いや音には慣れない。


「アルキオーネ、顔色が悪いけど、大丈夫?」

 リゲルは俺の顔を覗く。

 いつも通りのリゲルの顔がそこにはあった。


 俺はほっとした。

 顔が緩むのが分かった。


「ええ、ちょっと眩暈が。でも大丈夫」

「本当に?」


 リゲルが俺の左腕を掴む。

 リゲルは縋るような目つきで俺を見た。

 うっ。そんな子犬や子猫みたいな顔をされても困る。

 やめてくれ。


「本当に大丈夫ですから」

 俺はそっぽを向いてリゲルの腕を振り払おうとした。


 しかし、リゲルの力は強かった。

 簡単に振り解けない。

 それどころか、リゲルは更に強く腕を握った。


「痛い! 馬鹿!」

 思わず大きな声が出た。


 リゲルは驚いたように俺の腕から手を離した。


 この野郎。一応、俺だって体は女なんだ。

 もう少し気を遣えよ、馬鹿野郎。

 俺は腕を確認する。

 青あざになっていなければいいのだが。


「アルキオーネ様!?」

 ドタドタと騒がしく走る音がした。

 この声はアントニスだが、確か店の表を任せたはずではなかったか?


 俺は恐々と声のする方を見た。

 あの大きなお腹とモスグリーンの服は間違いなくアントニスだ。

 俺は頭が痛くなった。


 アントニスは俺たちの目の前まで走ってくると、肩で息をした。


「アントニス、何故貴方がここに?」

 俺は平静を装い、そう問う。


「嗚呼、最初は穏便に話していたんですけどね。向こうが俺が客でないことを見抜いたんですよ。で、なんか話が色々と面倒になったんで殴って黙らせようと思ったら、乱闘に。それで、表の連中は全員倒してここにきました」

 アントニスは力こぶをつくって俺たちに見せる。


 え、そうなるなら、最初から普通に三人で正面突破した方が早かったんじゃないか。

 そう思ったが、にこにこと笑うアントニスに俺は何も言えなくなる。


 俺は咳ばらいをした。

「まあ、予定とは違いますが、いいでしょう。地下へ降りる入口を見つけました。一緒に来てください」

 リゲルとアントニスに向かってそう言う。


 二人は頷いた。

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