始まりの覚悟
「さようならー」
「「「さようなら〜」」」
そうやって今日も学校が終わった。俺は仲の良かった子を思い浮かべながら、帰る準備をしていた。
その子は小6の2学期に
「また、会おうね」
と約束をしていたが、いないだけで随分と寂しい。親の都合だからか仕方ないとは思うが、どうにもこの気持ちを抑えきれない。
そう思いながらも、普通に1人で家に帰った。
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「ただいまー」
返事は誰も来なかった。当たり前か、仕事が忙しくて家にほとんど居ないんだからな。
あくびがてできたので、一眠りする事にした。
起きると時間が予定より遅れて目が覚めてしまい、アラームをセットしなかった事を後悔しながらも、買い物に行く準備を始めた。
無事買い物を終えると違和感を感じだが、すぐに無くなった。
帰っている途中にまた違和感を感じる。気味が悪くなり走り出すが、違和感は抜けない。
いや、むしろ強くなっている。
家の付近まで走り続けると何も感じなくなり、
(大丈夫だろう。しかし何だったんだ、今のは...ッ)
腹にナイフが刺さっていた。痛いが、まだ耐え切れる。振り返ると、謎の男が立っていた。いや、浮いていた。
あり得ない。刺されていて混乱してまともな指示が出せていないだけか?
でも、1つだけ言える事はどちらにせよ、ヤバイ。このままじゃ殺される。
俺は急いで逃げ出すが。あいつは動かない。
(ラッキー。このまま動かないでくれよ。)
家に着いた。急いで入ろうとすると、
俺の体は燃えていた。
えっ、どうしてこうなっているんだ。そもそも何をしていた?あいつがやったのか?
何故何故何故何故何故何故
どうしても分からない分からない分からな...
段々と思考がまともじゃなくなっている。
遂に奴が話し出した。
「ごめんな。辛いよな。でも、あの方の命令でな。許せとは言わないが、せめて救いがあってくれ。」
そう言い、お祈りしているが、それが、彼に届く事は無かった。
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ここはどこだ。何があったんだっけ?確かアイツに殺されたんじゃ無かったけど?
それを思い出すと、苛立ちが抑えきれない。そもそも、何故殺されたんだし。
「やあ、霊君。狭間の世界へようこそ」
そう、どこからか声が聞こえた。俺はあちこち見回すがどこにも見えない。
「さっきの声の主はどこにいる。さっさと出てこい。」
俺は苛ついているせいか、強気になっていた。
「そんなに怒らなくても、いいよ。僕は味方だからね」
なだめるような言い方で俺の前に出てきた、人に驚きを隠せない。何故かって、人にしては大きすぎる。
そんな人にそんな事を言われては、何も言えなかった。
「では、僕の自己紹介をしよう。信じられないと思うけど僕は君達の神様の1人で、名前はと言いたいんだけど...あいにく名前は人には聞き取れないし、発音も出来ないから割愛するよ。一応男です。以上。何か質問があるならどうぞ。」
今のことが、信じられるわけがないがそれが真実なんだろう。だが、1つ疑問がある。
「じゃあいいか? 俺は何故殺されている筈なのに、生きている。まさか、もう既に死んでいる、とかはないよな」
「いや、そのまさかだよ。あの男に丸焼けにされていたよね。」
「じゃあ、ここはどこだ。何が、どうなっているんだ。」
「よし、じゃあ、落ち着きなよ。簡単にあの人に殺されてからについて話すよ。
君は殺され、魂が天界に行こうとしていたのが僕が無理矢理軌道を変更させた。それがここだね。この場所は、最初に言ったと思うけど、狭間の世界だ。天界と地獄の間にある入ったら出れなくなる空間。そして、ここで僕は君にしか出来ない事を頼もうとしている。ここまではいいかな?」
「ああ。」
「頼む事は、学園に通って真っ当に仲間と生きてくれることかな。これは後に僕がアイツを潰すのが有利になるからだ。これで、ひとまず話は終わりだ。」
質問は解決したが、今の説明では穴が多い。何故全てを説明しない。
「なるほど。だがそれは、俺が断らない事を見通しての話だよな。もし、俺が断ったらどうなるんだ。それで話が終わってしまう。」
「君が断る理由ないじゃないか。君は殺された筈なのにまた生活出来るのに何故断る必要がある。後、言い忘れていたけど、君に神からの餞別を渡す。代わりに君の記憶の一部を貰う。たぶん、君にとって大事な事だ。けど、それはその内思い出す時が来る。だから、君は強くてリスタート。僕は邪魔者が消える。winwinの関係じゃないか。断ってもいいけど、君はこれから何処にも行けずこの世界を漂うことになるよ。」
ふむ。それだけ聞くと俺にメリットが多すぎるが、断るデメリットが大きすぎる。どれだけ危ない事をしないといけなくてもこの話を断る理由がない。
「分かった。この話を受けよう。デメリットが大きすぎからな。」
「物分かりが良くていいね。では、僕は5つの贈り物をする。1つ 杖の材料 2つ 予言者 3つ $2€5☆→ 4つ →°%+><← 最後に魔法だ。使い方は全て教える。それをどう使うかは君次第さ。」
「おい待て。3つ目4つ目が意味わからないぞ。」
「いい名前が人間にわかる形で決まっていないからね。君が好きなように決めればいいよ。準備をするから少し待ってなよ。」
「しゃーねーな。分かったよ。もうこうなったらトコトンやるしかねえよ」
俺は少しだけ後悔をした。
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目が覚めたらソファで横になっていた。
なんだ寝ていただけか。今までの出来事は夢だったんだなと思い、立ち上がるとゴンッと鈍い音がなった。
謎の本が落ちていた。よく見ると見たことのない字で書かれている。まさかと思い本を開くと、そこには、
3月25日
ギルド試験(実技)中にモンスターに襲われ重体。防ぐためには仲間を作り見つけろ。
うわっいきなり重体かよ。
だが、誰かが書いたいたずらかもしれないと思い、神に習ったように魔法を唱えてみる。
ボフッと音がなり、人差し指からライターぐらい小さな炎が出てきた。
ハァ、今までの出来事は本当か。これからどうするかな。
俺は神に言われた事を思い出そうと考えた...
「では、これから僕が君にやってほしい事を話していこうと思う。主な目標としてはモンスターの討伐かな。これは、僕と敵対しているやつらが作ったものだからそれを徐々に潰してほしい。その一環として魔法学園に入学して欲しい。まぁ元々魔法使いに覚醒させちゃたから君は通うしかないんだけどね。」
「魔法学園って何だよ。」
「ああ、そうか君は知らないんだったよね。魔法学園とは魔法使いに覚醒した者が通う学校で最低6年間通う事になる。基本的に中学から高校までの勉強をし、更に魔法の勉強もする。他の詳しい事は、入学してから先生や友達に聞きなよ。けど、僕が入学して欲しいのは誰でも行ける国立魔法学園ではなく、東京私立魔法学園に通って欲しい。まぁ、そこは受験しなくちゃいけないから勉強頑張れ。教えてやるから。」
「俺あまり頭悪くないから大丈夫だと思うんだが。4教科以外もあるのか。」
「あっ、そうか。4教科十分合格ラインか。じゃあ、魔法学を学んで貰おう。」
「魔法学って何だ?」
「まぁそんなに慌てないで。簡単に言うと、魔法について学ぶ事だ。例え僕が教えたとしても、魔法学で十分な点は取れないだろう。だから...
「無理な話をお前がするわけがない、何かボーナス問題でもあるんだろう。」
「そうだよ。最悪その問題が解ければどんなに悪くても受かる自信がある。じゃあ、無駄話はそれまでにして受験勉強をしようか。」
魔法学の問題も頭に残っているので解ける気はするのだが、よくよく考えれば、アイツ神なんだから問題の答えを知っていたり、記憶に書き残したりできたんじゃね、と今更後悔をしている。
それよりも、予言書に書いてあったことが気になる。えーっと、3月25日だから今日は3月17日のはずだから後8日かか。なんかもう無理な気がする。
仕方がないから。東京私立魔法学校?だっけ。調べてみるか。
東京私立魔法学園だった。では、受験日は1次試験が3月21日にあると、近すぎるだろ。無理ゲーに近いな。どうやって志願を募っているんだろう。その日の7時30分から受付を開始し8時からテストを開始する。4教科は各40分に10分の休憩がある。魔法学は50分らしい。丁度12時に終わるのか。場所はこの学校で受けると書かれている。でも、肝心の内容が書かれていない。どうしたら受ける資格がもらえるのだろうが、下の方にスクロールしたら、デカデカと
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<「時間内までに来た魔法使いなら誰でもokですぅぅぅ」>
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ウゼェェ。これ書いた奴と絶対関わりたくない。
1次試験があるなんて、神の奴言っていたか。いや言っていない。あいつ言っていないことが他にもあるんじゃないか。1次試験があるなら最低でも2時試験はあるはずだが、何も伝わっていないぞ。
2次について書いてあるページを探したら、実際に魔法を唱えるようだ。初っ端から何も無しに唱えるのは難しいらしいから、試験用の杖がある。そこで、ある程度の才能がある場合のみ入学できる。
俺なんか、2次について何かやった記憶がないが大丈夫なんだろうか。もう無理な気がして来た。まぁ、受からなかったら、神に殺されると思うので、しっかりとテス勉をしようと思う。
だが、俺がこの学校行ってうまくいけるのだろうか。あの、ウザい文を書いたのは理事長(?)が書いたはずだし、神の奴もあんなにテキトーだし、いきなり俺は巻き込まれるし、なんか今日はついていないな。でも、神に生かされているわけだから、努力はしていかないと。憎きアイツも倒せるだろう。
その後、ひたすらテス勉&調べごとをしていたら、10時を過ぎていた。
そういえば、俺何時に復活したんだろう。夕食前に襲われたから6時ぐらいだろう。そんな事考えていたら、お腹が鳴ってしまった。まだ、夕食を食べていなかったなぁ。
カップ麺でいいかなと台所に向かうと、テーブルの上に謎に満ちた炒飯が置いてあった。ご丁寧に出来上がったばっかりの物を用意してある。そこには置き手紙が落ちていた。
「私の友人がご迷惑お掛けしました。」
丁寧に優しそうな字で書かれていた。
神の眷属が作ってくれたのだろうか。感謝しながら、1人で黙々と食べていた。
食べきってからは、必要最低限の事をしてから、寝室で今日の事を振り返ってはいるが、普段と違う事ばかりであまり捗らない。日記に書いた方がまとまりやすい気がしたし、どうせアイツに関わってしまったの で、まだめんどくさい事に巻き込まれそうなので今日から書く事にした。
俺は、机に向かい引き出しにある要らないノートに手を伸ばし、日記を書き始めた。
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「ふぅ、これで一仕事終えたかな。君はどう?彼に夕食を作ってあげた?」
「ええ、作りましたよ。貴方のせいで僕の苦手な料理を作らなくてはいけなくなりましたので。」
僕の後ろから、背中に羽根が燃えている少々小柄な女性が現れた。
「そうか。なら、良いんだが。しかし、彼は真面目だね。そう思わないかい。」
「僕の事については相変わらず無視ですね。あの位の少年にしては、真面目すぎると思いますが、彼、あの後何度も貴方に文句を言っていましたよ。貴方の説明がテキトーすぎるってね。」
「それは、仕方ない。僕は奴に封印されているから、人間と長くは話せなくてね。彼の為に色々とやったから、もう少ししたら眠りにつかなくてはいけない。彼の面倒を頼んだよ。」
「分かってますよ。わざわざ、貴方が彼の為に呪いと神威を掛けたのだから。」
「「次は、眠りが覚める時まで」」
そう言い、神は姿を消した。
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