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朝、三年の新しい教室へ向かうと、教室の前に人だかりが出来ていた。
(なんだ...?)
微はその人だかりを掻き分けて行くのが面倒だと感じ、回れ右をして何処かへ行こうとしたところで、由乃の顔がドアップで視界に入ってきた。
「っ!?」
「おはよ、微」
「近い...!」
微は近過ぎる由乃を遠ざけて、人集りの原因を由乃に聞いた。
「あれ何だ?」
「モデルの娘が転校して来たらしいわ。名前は...」
「マリア?」
「ああそうそう。...え?どうして微が知ってるの?」
「昨日会った。校内の案内させられたがな」
「へぇ、何で...ああ、先生の頼みね」
「まぁな」
由乃は微が自主的、もしくは他人の頼みでわざわざ校内の案内なんて役を買って出ない事を察して、流の頼みだとすぐに気付いた。
「多分だけど、私ちょうど微を待ってる時にそのマリアちゃんの弟に会ったわ」
「あそ」
微は本当に興味無さそうに答えた。由乃も微が自分の知らない間に女の人と会っていた事に対して言及する気もなかったので、恐らく二人の中に嫉妬という言葉は有り得ないのかもしれない。
「とりあえず入りましょ?そろそろ先生も来るし」
「あの中を行くのか...?」
「まさか、前のドアの方はそれほどでも無いし、そっちから入れるわ」
「ちっ...」
微たちは前のドアから教室に入っていった。
すると入った瞬間に微にど突いて来た者がいた。
「へーいっ!微〜!おっはよ〜!」
「うおっ...!!?」
「微!」
ど突かれた拍子に微はバランスを崩し倒れそうになったが、由乃に手を伸ばされ、それを取ってなんとか耐えた。
「あ、ごめん...。そこまで飛んでくとは思ってなかった」
「ちっ...」
「あなたがマリアちゃん?」
「そ、瀬戸 マリア。マリアで良いよ」
「私は牧田 由乃。由乃で良いわ」
「よろしく由乃」
マリアと由乃がコンタクトを取っている間に、微は自席へと座ってしまっていた。
すると、クラスの男子が微に耳打ちして来た。
「おい、和泉。お前マリアちゃんといつの間に友達になってたのか?」
「あ?なってない」
「でもさっき...」
「なってない...!」
微がそう言って睨むと、男子は怖気付いて何処かへ行ってしまった。
「随分と面倒そうな顔をしてるわね」
「害悪でしか無いな...」
「ふふふ」
「何がおかしい」
「いや、何となくだけど、微とマリアはとても仲良くなりそうな予感がするわ」
「絶対無い」
「どうかしら?賭ける?」
「良いだろう」
由乃と微はそんな話をして盛り上がっていると、授業が始まった。
お昼休み、微と由乃は弁当を持って中庭の方へ向かった。
「相変わらず誰も居ないのね、ここは」
「だから来てるんだ」
「へぇ〜二人ともいつもここで食べてんだ〜」
微と由乃の後ろでそう呟いたのは、マリアだった。
付いてきていた事に驚いて、二人は驚き一歩引いた。
「あはは!驚き方一緒〜」
「何故ここにお前がいる」
「だって私の友達微と由乃以外いないんだも〜ん」
「おい待て、由乃なら分かる。お前と俺は友達じゃない」
「え!?そうなの!?」
「大丈夫よ、微はツンデレだから」
「あ?」
「あ、そうなの?」
とりあえず落ち着いて三人はご飯を食べ始めた。
「二人はさ〜付き合ってんの?」
「........」
「付き合ってるわ」
「何故すぐ言う!」
「あ、やっぱ〜?」
マリアは予想通りといった顔をしてニヤニヤしていた。
由乃もマリアと一緒にニコニコしていたが、微は機嫌悪そうにしていた。
「そういえば、エリオが綺麗な先輩がいたって言ってたんだけど、それって由乃?」
「エリオくん?綺麗な先輩って言われてたのね。ありがと〜って言っておいて」
「やっぱ由乃のことか〜だよね〜由乃だと思ったもん」
「あら嬉しい。綺麗ですって微」
「あっそ」
「ちゃんと綺麗って言ってあげなよ〜」
「言うか」
微は弁当を食べ終わって片付けて、飲み物飲みながら桜を眺めていた。
由乃とマリアはまだ食べていて、微は由乃が食べ終わるのを待っていた。
「ねぇ、微って由乃にいつもそんな感じ?」
「そんな感じって?」
「ツーンって感じ」
「ああ、まぁいつもこんな感じよ。でも今はマリアがいるから」
「え!二人きりだとどんな感じ!?」
「余計なこと言うな」
「教えて教えて〜」
微が本当にイライラしてきたが、由乃は撫でめつつ喋っていった。
「最初はこれ以上にツンツンしてたわ」
「え、これ以上があんの?」
「そうよ。でも微優しいから、最後まで冷たく出来ないの」
「へぇ〜」
「もう教室帰る」
「あーん待って待って」
「微、風邪引いて学校休んだ時の話して良い?」
「ダメだっ!」
「え、何その取り乱し方、知りたい聞きたい!」
「絶対言うな!」
「じゃあここに居て?」
「ちっ...!」
微は結局由乃の隣のベンチに座った。
でも微が本気で嫌がっていたので、由乃はやめてさしあげた。




