表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/40

31

土曜日の夜、由乃はソファで間接照明の灯りを使って本を読んでいた。

すると3歳くらいの子供が、大きな画用紙を持って歩いてきた。


「かーしゃ」

「んー?どした?」

「おえかきした」

「お〜すごいすごい上手いじゃない」

「えへへ〜」


由乃がその女の子の頭を撫でてあげると、嬉しそうに笑った。


「かーしゃ、とーしゃは?」

「お父さんはもう少しで帰ってくるよ。さっき連絡があったから」

「れんらく...?」

「そ、八重(やえ)は良い子に待てるかな〜?」

「うん」


八重(やえ)というのはその女の子の名前だ。由乃が桜のソメイヨシノから名前を取ったという事で、八重も桜の八重桜から取ったらしい。


しばらく待って居ると、ガチャっという音が玄関の方からした。

八重が走って音のした玄関へと走っていった。


「とーしゃ、おかえり」

「ん、ただいま」


とーしゃ。つまり八重のお父さん、由乃の旦那はもちろん、微のことだった。

由乃が遅れて微を出迎えると、微は由乃の方に目を向けた。


「おかえり微」

「ああ」


八重を片手で抱きかかえ、空いている片方の手で荷物を持とうとしたが、由乃に持ってもらい、そのままリビングに向かった。


「とーしゃ、あのね、八重ね、おえかきしたの」

「そか」

「みて?」

「ち、近い近い...」


八重が早く微に見せてあげたくて微の顔に画用紙を押し付けるが、そのせいで全く絵が見えない。

微は一旦離して、じっくりと見てあげた。


「これ、俺たちか?」

「うん、とーしゃとかーしゃと八重」

「上手いんじゃないか?」

「しししっ」


微がそう褒めると、由乃がジェスチャーで頭を撫でてあげる様に促した。

微は八重の頭を撫でてあげると八重はもっと嬉しそうに笑った。


「微、ご飯は?食べてきたの?」

「まだ。悪い、連絡してなかったな」

「大丈夫よ、今日はカレーだから」

「そうか」


由乃がキッチンでカレーを温めていると、微が冷蔵庫の麦茶を飲みにやってきた。

ついでに八重はテレビのアニメに夢中で、二人を見ていない。


「........」

「ふふっ、相変わらず甘え下手ね」


麦茶を飲みながら、背中合わせで由乃に寄りかかった。空いている方の手は、由乃の手の小指を摘んでいた。


「疲れた?」

「ん...」

「お疲れ様、今日も頑張ったわね」

「ん...」


由乃は火を一旦止めて、微の方に振り返り両手を広げた。そして首を傾げながら、


「おいで?」


と、優しく微笑んだ。

微は一旦躊躇ったが、麦茶を置いて由乃の肩に顔を埋めた。

由乃は微の首に手を回し、八重にした様に頭を撫でてあげた。

微は抱き返しはしなかったが、少しだけ体重をかけていた。


「...少し、疲れた...かも」

「偉い偉い」

「...もういい」

「そう?」


由乃は数少ない微の甘えモードがすぐに終わった事に物足りなさを感じた。

だが、八重が二人に気付いてしまった。


「とーしゃとかーしゃ、らぶらぶ?」

「ら...!どこで覚えたそんな言葉...」

「あらあら、ふふふっ。八重もおいで」

「うん!」


八重は微と由乃の方へと小走りでやって来ると、由乃が抱き上げた。

そして、微の目の前に持ってきた。


「ほら、八重もお父さんをなでなでしてあげて?」

「...おい」

「とーしゃ、やえになでなでされるの...や?」

「...や...やじゃない...」


微の耳は赤くなっているのに由乃は笑いを堪えるのに必死だった。

微は八重が頭を撫でやすい位置まで持って来て好きにさせた。


「とーしゃのかみのけ、すき」

「...あそ」

「素直じゃないわね」


由乃はクスクスと笑った。

八重は小さなその手で、微の頭を撫でてあげた。微は八重を由乃から受け渡され、夕飯が用意されるまで八重と一緒にテレビを見て時間を潰した。


「はい、出来たわよ」

「ん」

「とーしゃ、ごはんたべてない?」

「ああ、今から」

「八重がたべさせたげる」

「いや、大丈夫」

「やらせてあげて、私もされたから」


微は小さくため息を吐いて、八重にスプーンを持たせて、自分は口を開けた。

八重は喜びながらスプーンにカレーを救い、微の口元に持ってきた。


「あーん」

「ん...」

「おいし?」

「ん、うまい」


口の中に入ったカレーはルーだけで、ご飯は全く掬えてなかったが、微は気を利かせてそう言った。

そのおかげで八重は嬉しそうだった。ついでに由乃は横でクスクスと笑って楽しそうだった。


微は風呂に入ってサッパリしたら、眠くなってきたので寝る事にした。

大人用ベッド二つ分に微と由乃が眠り、その間に八重がすっぽりと入り眠った。

八重は微の腕を枕に、由乃は伸ばされた微の手を握って安心したように眠る。微は結局最後まで起きていたが、その二人の寝顔を見ていたら、自然と眠ってしまった。

ちょっとだけ未来の話をしました。

如何でしたでしょうか?これから先、いくつかこういった話を書いていきたいと思っております。

これからもよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ