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(スポーツドリンク、ゼリー、あと何か必要なものとかは...無いな)


微はスーパーで由乃の為の見舞い品を買っていた。

特に必要なものは見当たらないと判断して、微はレジに並んだ。


由乃の家は一度だけ教えられて以来来たことがないので、若干手探りでの捜索になる。

由乃に一応メールを打っておいてから返信が無いので恐らく今は寝ている。

電話で叩き起こして案内させても良いが、病人相手にそれは流石に酷いと感じた微は、自力で由乃の家を探した。


(確かここを...右?)


随分と手探りで由乃の家を目指すこと10分、ようやく由乃の家を探し当てた。


インターホンを押すと、すぐに由乃の親らしき人が出てきた。


「あら、えーっと...由乃のお友達?」

「まぁ...そんなとこです」

「あー彼氏!」

(何故深読みする...)


微は既に玄関先で疲れながら、家にあげて貰った。

そして由乃の部屋ではなく、リビングへと招かれた。


「今由乃寝てるのよ。見舞うなら意識あった方がいいでしょう?」

「はぁ...いえ、別にどちらでも」

「そう?ふふふ、由乃に彼氏かぁ...そんな話一切しないから知らなかったわ」

「そっすか」


微は由乃が親に彼氏がいる事を話していなかったことに少し驚いた。学校でも勘違い以外で広まってないので、友達にも言ってないみたいだ。

由乃なりに、微を慮っての事だろう。


「いつ付き合ったの?」

「修学旅行らへんですね」

「馴れ初めは?」

「委員会が一緒です」

「由乃のどこを好きになったの?」

「言いたくありません」

「どうして?」

「どうしてもです」


微はその質問だけは答えなかった。言うなら本人に伝えたいのか、ただ恥ずかしいだけなのかは分からない。


「そういえば名前知らなかったわね。私、朱里(じゅり)。朱里さんって呼んで」

「はぁ...えっと、微...、和泉 微です」

「微くん?へぇ、面白い名前ね」

「そうですね...」


微は正直もう帰りたかった。由乃に見舞いの品を届けたらすぐに帰ろうとしていたのに、朱里にだいぶ時間を割かれている。


すると、微の携帯が鳴った。画面を見ると、由乃からの電話だった。


「もしもし」

『もしもし?微?お見舞いに来てくれるの?』

「ああ...というかもう居るんだが...」

『え!?どこ?家の前?』

「いや、リビング」

『えっ!?』


終始驚きっぱなしの由乃が、上からドタドタと音を響かせながら降りて来た。


「わっ!本当にいる!」

「元気そうだな」

「由乃〜まだ熱下がってはないんだから、大人しくしてなさい。あと、微くんかっこいいわね」

「そうでしょう?」

(帰りたいな...)


微はもう遠い目をしている。由乃と朱里は微の話で少しだけ盛り上がっていた。

微と由乃は由乃は由乃の部屋に行って話すことにした。


「そうだ、これ」

「?。あ、良いのに...。ありがと」

「別に」

「というか、微が自分から見舞いに来るなんて思わなかったわ」

「別に...来なくても良かったがな」

「でも来てくれた」

「気まぐれだ...」


微はそっぽを向いてそう言ったが、由乃は嬉しくて頰が緩んだ。

由乃をベッドに横にさせながら、微と話をした。


「今日どうだった?」

「別に普通」

「そう?私がいなくて楽だったでしょう?」

「その言い方は普段が鬱陶しいと思われてると勘付いてる言い方だな」

「しょうがないじゃない、微と喋るの楽しいんだもの...」


由乃が頰を膨らましてそう言った。微は呆れた様にため息を吐いた。


「何が楽しいんだ...」

「え、言いましょうか?」

「いい、面倒」

「んー」


由乃は不満そうにしていたが、微は気にする素振りも見せなかった。

30分ほどして、微は荷物をまとめ始めた。


「え...帰っちゃうの?」

「もう用は無いしな」

「そう...」

「じゃあな」


微はそう言って立ち上がろうとすると、由乃に制服の裾を摘まれた。


「...離せ」

「........」

「おい」

「もちょっとだけ...」

「...嫌だ、帰る」


微は由乃の手を振り払って部屋のドアノブに手をかけた。


「やだぁ...」


由乃が苦しそうな鼻声でそう言った。

微は一つだけ小さくため息を吐いた後、また由乃の近くまで戻った。

そして由乃の手を取って、自分の口元まで持ってくると、由乃の手の甲にそっとキスをした。


「え...?」

「........」


突然の事で驚いて唖然としている由乃を尻目に、微は呟く様に言った。


「...今日、お前がいないせいでクラスの女子に話しかけられたし、久坂先輩に告白された...」

「え?本当?」

「もちろん断った。全部お前が俺の近くにいなかったせいだ」

「いや...関係な...」

「だからさっさと治せ。...待ってる」

「微...」


微は由乃の手をスルリと離し、「じゃあな」と一言添えて帰っていった。

由乃が止めるはもう無かったが、お陰で由乃の心臓はバクバクとうるさく、しばらく眠れそうになかった。


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