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今回少し長いかもしれないです

由乃が微の家に二度目の宿泊をした日から、数週間。

微は、修学旅行先へは飛行機で向かうため空港へ来ていた。


(寒い...)


微は巻いているマフラーに顔を埋めながら、ポケットに手を突っ込んで空港を歩いた。

割と集合時間ギリギリの癖に、まったく走ろうともしない。


集合場所に着くと、流に手招きされて呼ばれた。


「時間ギリギリだぞ和泉」

「すみません」

「ちゃんと起きれなかったのか?」

「電車が遅延しまして」

「今日はどの線も平常運転だそうだ」

「........」

「荷物は?」

「必要なものはあっちに全部送った」

「そうか」


出席を確認した後、まだ少しだけ時間があるとのこと。微は朝ごはんを食べてなかったので空港内にあるコンビニで暖かい飲み物とおにぎりを買いに行った。


すると、ちょうど商品を選んでいる由乃に遭遇した。

由乃は微に気付いて、ニコッと笑った。


「おはよう微」

「ああ。...お前も手ぶらで来たのか?」


由乃は荷物を一つも持っていなかった。

キャリーバッグなどの大きい荷物は既にホテルの方へ送られているので、手ぶらで来ている者は少なくなかった。


「まさか、荷物は友達に預けてるわ」

「あそ」

「微はどうしてここに?」

「飯食ってなくて腹減ったから、買いに来た」

「そう」


そう言ってから、由乃は自分の買いたいものを買って、店から出て行ってしまった。

いつもなら微が買い終わるのを待ったり、微の横に当たり前のように立っているのに、今日はなぜか...いや、今日どころか最近、微の側をうろちょろしなくなった。


(ま、俺としてはありがたい限りだが...)


微達は集合の時間となり、飛行機へと乗り込んだ。

由乃は微の前の席に座っているので、話しかけようと思えば話しかけられたのだが、何故か喋りかけては来なかった。


「和泉」

「んぁ?」

「菓子食うか?」

「え...いやいい」

「そっか」


微は横にいたクラスメイトがお菓子を差し出して来たが、それを断って音楽プレーヤーで周りの音を遮断して眠りについた。




しばらくして、微は体を揺すられ起こされた。


「んぅ...?」

「起きろ微。もう着いたぞ」

「流...。あれ?あ、もう着いたのか...」

「牧田がお前の前の席にいたから、起こすと思っていたが...」

「あー...。最近俺のとこには来なくなったな」


流と微は二人で飛行機を降りて、集合場所へと向かいながら話をした。


「喧嘩でもしたか?」

「してない」

「怒らせる様な事を言ったのか?」

「覚えしかないが、もしそうなら今に始まった事じゃない」

「じゃあ何故なんだろうな?」

「別に仲直りしようとかそんなこと考えてないからな」


微と流は集合場所に行くと、各自自分の場所へと帰った。


色々クラスで回るために、空港からはバスの移動となった。

バスの席は由乃も微もまったく違う場所に座っているので微は窓際に座り、流れる風景を車窓からただボーっと眺めていた。


「なぁなぁ和泉!」

「あ?」

「この修学旅行で、誰と誰がくっ付くと思うよ?」

「何だそれ」

「修学旅行っつったら、朝から夜までずっとクラスのやつと一緒だろ?学校とは違う面を見て、可愛いと思ってなかった奴が気になり始めたするんだって!」

「あっそ」

「あっそ。ってお前...、興味ねぇの?そういうの」

「無いな。誰がくっ付こうがどうだって良い」

「つまんねぇな〜和泉く〜ん」


聞き耳を立ててみると、誰が誰に告白なんて話も若干聞こえては来るが、微にとってはどうでも良い事だった。


(学校とは違う面。なんてつい最近見てるしな...)


微は由乃が泊まりに来た事を思い出した。

ついでにあの日見た由乃の裸も。


「はぁ...」

「どした?ため息ついて」

「別に、俺もまだまだガキだな...」

「はぁ?今思うことか?」


微は必死に顔が赤くならない様に徹したおかげで、バレることはなかった。

お城やら、観光名所である大きな水族館をクラス全体で回った後、陽が傾き始めた夕方ごろ、宿泊場所のホテルに着いた。


(やっと着いた...)


微は自分の部屋へと荷物を持って行くと、早々にベッドの上へに倒れこんだ。


(他の奴は...他の部屋に行ったか)


廊下から騒がしい声がするので、恐らくホテルに着いた途端他の部屋に行って遊んでいるのだろう。


「喉乾いた...」


微は一人でそう呟いて、ホテルを歩き回って自動販売機を探した。


(お茶で良いや)


微は冷たいお茶のボタンを押して、下から飲み物を取り出した。

そこでふと横をみると、由乃がいた。


「何だお前か」

「ええ、私も買いたいんだけど」

「悪い」


由乃はやけに冷たく微にそう言った。

いつもならここで雑談が始まるはずなのだが、由乃は淡々とジュースを買って立ち去っていった。


(何だあいつ...)


微はさして興味もなさそうに自分の部屋へと帰っていった。

部屋のベッドで横たわっていると、流から連絡があった。


「もしもし?」

『微、今日は私の部屋で寝るのか?』

「そのつもり。何だ?ダメになったか?」

『いや、ただの確認だ。何だったら、牧田も連れて来ても構わんぞ』

「呼ばん」


微は流の提案を一蹴して電話を切った。

微は由乃について色々考えるのが嫌になり、お風呂の時間になるまで寝ることにした。


「和泉...和泉!」

「っ!」

「起きろ〜風呂の時間だぞ〜」

「あ、ああ...。先行ってくれ、すぐ行くから」

「おう」


微は着替えやら何やらを持って、お風呂場へと向かった。

お風呂場はなかなかに大きかった。

二クラスずつ入るが、それでもガラガラに見えるくらいに大きかった。


「ふぅーーーー!!!」

(うるさいな...)


微は騒いで湯船に飛び込んでいるクラスメイトたちを見て嫌になり、露天風呂の方に入りに行った。

分かりにくい場所にあったので、他の奴は誰も入ってこなかった。

その為、とても静かに湯船に浸かることができた。


「ふぅ...。これだけは来た甲斐があったな...」


微は一人でそう呟いた。

流からの話によると、なんでも微たちの宿泊したホテルは、ロケーションと風呂には他のサービスの倍、(こだわ)っているらしい。


(あ〜気持ちいい〜)


微はそうやってリラックスしていると、ガラッと小窓が開いた様な音がした。


「あれっ!?これ男湯じゃない?」

「あっ!ホントだ!」


女湯の方角にある壁の一部に鍵の付いていない小窓が付いていた。女子の声はそこから聞こえ、そして開けて覗いてきた女子が微に気付いた。


「わぁっ!!和泉くん!!」

「あ?」

「わぁっ!!こっち見ないでっ!今裸だから!」

「当たり前だろ、俺だって裸だ」


微は小窓の方をチラッと見たら、また興味なさげに夜空を仰ぎ見た。

あまりにも落ち着いていたので、女子も一周回って普通に話しかけて来た。


「ね、ねぇ和泉くん」

「何だ」

「露天風呂にいるの和泉くんだけ?他の男子は?」

「全員中にいる。露天風呂があるって知らないんだろうな」

「そうなの?でも和泉くんで良かったかも...。牧田さんいるし」

「あいつがいるから何だ」

「だって彼女でしょ?」


微はその言葉にイラっとした。

何故だか分からないが、妙に腹が立った。


「お前らのそういう、訳分からねぇ妄想に...」

「ちょっ...和泉くん何でこっち来るの!?」


微は堪忍袋の尾が切れたのか、小窓付近にいる女子の顔を鷲掴みにして、怒りを爆発させた。


「俺とあいつを巻き込むんじゃねぇよ...!」

「いだだだだだだだっ!」

「俺はお前らみたいに、『恋』してねぇと死んじまうような軟弱者じゃあねぇんだよ!!」

「微、離しなさい」


微が女子の顔を万力のように鷲掴みにしていると、由乃の白く綺麗な腕が微の腕をそっと掴んだ。


「っ!...お前」

「大丈夫?ごめんなさいね。中に入ってなさい」

「うぅ...痛い...」


女子を露天風呂から出させると、由乃は小窓の前に座った。


「微、痴漢よ」

「うるさい。と、言いたいところだが実際そうだった。すまん」

「私に謝ってどうするの?後でちゃんとあの子の所に謝りに行きなさい」

「...分かった」


由乃はもはや裸を隠すことも無く、微の目を真っ直ぐに見てきた。

微は反省している様で、妙に静かだった。


「どうしてあんなに怒っていたの?理由くらいは聞いてあげる」

「言わない」

「言わなきゃあの子へのあなたのフォローは一切しないわよ。学校で痴漢野郎と言われても文句は言えないわね」

「ちっ...!」


微はまたイライラしつつも、小窓に寄りかかりながら話し始めた。


「というか、お前の方こそ何か怒ってるんじゃないのか」

「私?」

「ここ最近俺のとこに来ないし。避ける様な態度も何回か見た」

「...そうかしら?」

「何に怒ってようがどうだっていいが、俺に怒ってるなら理由くらい聞かせろ」

「別に怒っては無いわよ。それとも、微は私が怒っていると、何か都合が悪いの?」

「別に、ただ胸糞悪いだけだ。喉に魚の骨が刺さった様な感覚だ」


微は例えを用いてそう言った。

お互い顔は見えず、話し続ける。


「まずは、微があの子にあそこまで怒った理由を教えて頂戴。いつもの微なら、あんな子は放っておくでしょう?」

「知った様な口を利くな」

「知ってるから言ってるの。で?どうして?」


由乃がもう一度問うと、微は面倒そうにしながらも答え始めた。


「...たしかに、いつもの俺ならあんな奴無視してた。でも、お前と付き合っているかと言われて、凄くイライラした」

「嫌われたものね...」

「付き合っていると思われてたことにも確かにイラついたが、それだけじゃなかった気がする」

「どういうこと?」

「俺の事を知らないくせに、知った様に言われたのが腹が立ったのかもな」


微はワシャワシャと頭を掻いて、立ち上がった。


「お前が何に怒ってるかは、この際どうでも良いが。言いたいことがあるなら言え」

「...分かったわ」


由乃も立ち上がって、二人はお風呂から上がった。

続きます

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