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朝、目を覚ました由乃は、まず驚いた。

布団で寝ていたはずの微が、ベッドに寝ている由乃の胸の中で眠っていたからだ。恐らく夜中に起きて寝惚けていつもの様に自分のベッドに戻ったのだろう。


胸の中には微の寝顔があり、微はまだスースーと寝息を立てて寝ている。


(どうしましょう...これバレたら微怒るわよね...)


微を起こさないように手を引き抜こうとするが、由乃の腕は微の頭の下敷きになっている為引き抜こうとすると起こしてしまう可能性があった。


(こんな時にあれだけど...微の寝顔すごく可愛い...!)


微は猫のように小さく丸く体を畳んで寝ていて、両手を口元に持って来て寝ている。

いつもシワが寄っている眉間にそれは無く、綺麗な顔で眠っている。そう言うとまるで死んでいるかのように聞こえてしまうが、そうではないと一応言っておく。


「微...?」

「........zZ」


由乃の呼ぶ声に一切反応せず、微は気持ち良さそうに眠っている。

微はいつもジーっと顔を見つめられるのが苦手で、よく顔を逸らしてしまう。だからこうして至近距離でジッと見つめられる機会は少ない。

由乃はここぞとばかりに微の顔を凝視した。


(可愛い...。でも本当に起きないわね...)


微は朝に弱いのだが、特に起こされて怒る程寝起きは悪くない。しかも本格的な睡眠以外はほとんど浅い眠りらしい。


(ちょっと腕が痺れてきたわ...。起こそうか迷う)


微は相変わらず由乃の胸の中で眠り続けている。

いつもの微ならこんなに由乃に近付くことはないだろう。だがやはり限界も限界なので、由乃は微を起こす事にした。


「微、起きて?」

「ん...んぅ...?」


由乃は微の体を揺すって起こした。すると微は薄目を開けてトロンとした寝起きの顔で由乃を見上げた。

その顔が由乃にとってたまらなく可愛くて、思わず微の頬を撫でてしまった。


「おはよう微。朝よ」

「...っ!!」

「あ...」


覚醒した微はすぐに由乃と距離を取ったら、ベッドから落ちてしまった。

可愛かった微の顔は、いつもの仏頂面に戻り、何だったら由乃に怒りの表情を向けている。


「何で...あ...くそっ...!」


微は周りを見渡し、自分がベッドに入ってしまった事を察して手で顔を覆った。


「まぁ...いつもこっちで寝てるんだもの、間違ってもしょうがないわ」

「そういう問題じゃ...はぁ...悪かった」

「んーん、微は何も悪くないわ。それに...」

「...?」

「寝顔可愛かったわ。それでおあいこ」

「っ!ちっ...!」

「ふふふっ」


微はシャワーを浴びにお風呂場へ向かってしまった。

由乃はその間に朝ごはんを作る事にした。


「〜〜♪」


由乃は鼻歌を歌いながらサラダを作ったり、目玉焼きを焼いたりと順調に朝ごはんを作っていった。


すると、シャワーから上がって来た微が朝ごはんを作っている由乃に声をかけた。


「何だ、朝飯作ってるのか?」

「ええ、キッチン勝手に使っちゃダメだったかしら?」

「別に...。料理出来たんだな」

「そりゃまぁ人並みには出来るわ。もうすぐで出来るからもうちょっと待っててね」

「...ん」


微はそう言って髪を乾かしにまた洗面台に戻っていった。

戻って来る頃にはテーブルに朝ごはんは並べてあって、由乃と微は向かい合って座ってご飯を食べ始めた。


「「いただきます」」


声が揃った事に微は若干恥ずかしそうにしながら、目玉焼きを一口食べた。

由乃は感想が気になって微の顔を心配そうに見つめる。


「...美味いから、そんな顔で見て来るな」

「あ...ごめんなさい。でも本当に美味しい?お世辞じゃない?」

「世辞を言えるタイプじゃないって知ってるだろ」

「良かった...」


由乃は安心して自分の分の朝ごはんを食べ始めた。


「そういえば微、今日は何か予定はあるの?」

「特に無い」

「それなら、私とどこか出かけましょう?」

「寒いから嫌だ」

「厚着すれば良いでしょう?」

「厚着しても寒いものは寒いだろ」

「微、ね?お願い...?」

「...分かったよ。分かったからその顔やめろウザい」

「ふふっ!ありがとっ」


由乃はまた嬉しそうに笑ったので、微は意味不明と言いたげな顔をして残っていた一口大のパンを口の中に放り込んだ。


(『寒いから嫌だ』...ね)


由乃は心の中でそう思った。

少し前までの微なら、


『お前となんか出かけたくない』


とか言いそうなものなのに。

微の中では由乃は意外と中心に近い位置にいるのかもしれない。

そう感じた由乃はまた笑みがこぼれたが、微にはバレなかった。


「言っておくが、どこに行くかは全部お前が決めろよ。俺は付いていくだけだからな」

「ええ、大体の目処はついてるから大丈夫よ」

「あっそ。...どうでも良いが服はどうするんだ?一応寝巻きは俺のを貸したわけだが、制服だろ?」

「だから一旦私の家に寄るわ」

「........」

「そんな面倒くさそうな顔しなくても...」


寄る場所が一つ増えただけでこの態度である。


すぐに出かけるわけでもないので少し微の家でゆっくりした。


「にしても、さすが男の子ね。この服ブカブカだわ」

「何でも良いって言ったのお前だろ」

「文句じゃないわ、感想よ」

「あっそ」


由乃は寝巻として微に服を借りていた。下はスウェット、上は伸びて首元が緩くなったシャツなのだが、女子の肩幅では肩からずり落ちる程だった。


「肩、またずり落ちてるぞ」

「直してもまた落ちるのよ。もうこのままにしてるわ」


由乃はそう言って綺麗な肌を晒したままテレビをボーッと見続けた。

微もその隣で見ていたが、ブランケットのような物を由乃に投げつけた。


「わっ...!どうしたの急に?」

「肩、出過ぎだ。目に付く」

「昨日この格好で隣に座ってたのだけれど...」

「とりあえずそれ羽織っとけ」

「...もしかして微、ちょっと恥ずかしい?」

「は?」

「同い年の女の子の肩がはだけてるの見るのが、恥ずかしかったり?」

「余計なこと言ってると出先について行ってやらないぞ」

「ごめんなさい、少しからかってみただけなの」


由乃はすぐに謝ってブランケットを羽織った。

その後制服に着替えて、街へ出かける前に由乃の家に向かった。

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