12
季節は秋となり、夏の照りつける太陽は暖かい日差しに変わり、涼しくなってきた今日この頃。
今日は天気が良く快晴、さらに日曜という事もあって、微はお昼近くまで眠っていた。
ベッドから出てよたよたとお風呂場まで歩いて行く。
少し熱めのシャワーにうたれながら、完全に目を覚ます。
シャワーから上がって居間に行くと、流がいた。
「びっくりした」
「すまん。用があって来たんだ」
「なに?」
「入って来い」
流のその言葉を合図に、玄関にいたのか由乃が居間に入ってきた。
「は?」
「おはよう微。日曜だからって寝坊助...ちょっと何で帰らそうとするの?」
微は事情を聞く前に由乃を玄関まで押して帰らせようとした。
だが流がそれを止め、とりあえず居間にあるソファに座らせた。
「さっきそこで偶然会ってな。せっかくだからと招いたんだ」
「流、一応だがここは俺の家なんだが」
「友達なのだろう?なら良いではないか」
「友達じゃねぇ。友達かな?って思ってるだけで...」
「友達よ?微」
「お前も何で普通に入って来る」
「微の家に一度上がってみたかったからよ。まぁ微っぽい家よね、質素」
「ゴージャスだったら逆に引くだろお前」
微はとりあえず昼食を作ろうとキッチンへと向かった。
「あら微、ご飯作るの?」
「腹減ったしな」
「凄いじゃない。何を作ろうとしているの?」
「炒飯だけど」
「なるほど」
微は話しながらどんどん作業を進めて行く。
流はテレビを見て、由乃は微の作業をずっと見ている。
「気が散るから流んとこ行ってろ」
「微の料理してるところは貴重だもの。見ていたいわ」
「油跳ねても知らないからな」
微はそのまま料理を続けた。
由乃はずっと見ているかと思いきや、携帯を取り出して動画を撮り始めた。
それに気付いた微が機嫌を悪くした。
「おい何撮ってんだ」
「微」
「見りゃ分かる。何で撮ってんだって意味だ」
「こうして映像に残すと、後々見返せるじゃない」
「見返す必要あるか?」
微はそんな事を言っているうちに、炒飯が出来上がり、微は大きな皿に出来上がった炒飯を盛り付けて、居間のテーブルに置いた。
「美味しそうじゃないか」
「ちょっと待ってろ、今皿とスプーン人数分持って来る」
微はキッチンの方から皿とスプーンを三つ持って来てテーブルに置いた。
由乃は自分の前に置かれた皿とスプーンを見て意外そうな顔をした。
「なんだ、食わないのか?牧田」
「あ、いえ...いただきます」
「いらなかったなら食うな」
「いえ、驚いたわ。まさか食べさせてくれるなんて」
由乃のその言葉に微は気付き、拗ねたように言った。
「お前だけ食べないでいるのは...なんか変だろ...」
「そうね、ありがと微」
「ちっ...」
微はその後黙って食べた。
「美味しいわ微、とても美味しい」
「...あっそ」
由乃があまりにも真っ直ぐにそう言うものだから、微は少しだけ照れた。
炒飯を食べた終えた三人は、微の入れたコーヒーを飲みながら、流の言っていた用事についての話をした。
「というか、まさか用ってこいつを連れて来たって事じゃないだろうな?」
「まさか。それだけなら私はとっくに帰っていた」
「置いて帰るな一緒に帰れ」
「用っていのは、そろそろ母さんたちが帰って来るということだ」
流がそう言った瞬間、微はピクッと反応した。
(微の...母親?)
「そうか、それは...面倒だな。いつだ?」
「明後日。午前の便で帰ってくるらしい」
「そうか」
二人の会話を聞いていた由乃が、気になった事を訪ねてみた。
「微と先生のお母様は、どういった方なのですか?」
「何というか...疲れる人だな」
「俺らを生んだ人だとは思えないな」
微はすごく遠い目をしていたので、由乃はこれ以上聞かない方が良いと察し、黙って理解した。
だが、微と流をここまで言わせる母親という存在が、由乃はとても気になった。




