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「明日は防災訓練って事で学校で夜を明かしてもらうわけだが〜」


俯いて携帯を弄っていた微が担任のその言葉を聞いて、バッと顔を上げた。

ガタッという音が後ろでしたからか、由乃が微の方を振り向いた。


(何だと...?)

「微?」

「明日...帰れないのか?」

「そうよ?前々から言われてたわよ。...聞いてなかったのね?」

「マジか...休むか...」

「一ノ瀬先生が許すかしら?」

「流は意外とそういうのは寛容だから許す」


微が由乃を友達と認めてから数日。

微の態度がガラッと変わったわけではないが、ただの会話程度なら嫌な顔せずにしてくれる程に由乃を信頼し始めていた。


「じゃあ出ないの?」

「出てどうする...」

「修学旅行の事前演習も兼ねてるらしいわよ?それに楽しいイベントが用意されてるとかされてないとか」

「曖昧過ぎるな...。休もうかな」


そんな話し合いをしているうちに、担任の話が終わったので微は帰る事にした。

もちろん由乃は先に帰る微の後を追って一緒に帰る。


「微、本当に明日来ないの?」

「別に行く理由もないしな」

「そう...」


由乃は少し寂しそうに俯いた。

微はその顔を見て気まずくなった。


「というか、お前は女子の部屋に泊まるんだろ?ならほとんど別行動だろ」

「そうだけど...。私友達と夜まで一緒に。なんて一度も無かったから...」

「いや...俺だってないけどな」


そのまま分かれ道に差し掛かったので、二人はここで分かれた。



翌日、学校に行くとみんな今日のお泊り防災訓練について楽しそうだった。

防災訓練なんて名前だけで、ただの学校でのお泊まり会ということだ。


眠そうに微が教室に来ると、由乃が既に来ていた。

微に気付いて、由乃が話しかけて来た。


「おはよう微」

「おう...zZ」

「まだ眠いのね」


微はクスクスと笑った。


「それで?今日は帰っちゃうの?」

「当たり前だろ」

「相変わらずなのね」


微は気怠げに窓の外を見た。

外は少し曇っていて、良い天気とは言い難かった。


授業は順調に終わっていき、はやくも放課後になった。

微はコソコソと荷造りを終えて、帰ろうとした。

由乃もそれを見送ろうと校門前まで付いていった。


「あ、そうだわ微。良い情報があるわ」

「あ?」

「今から、大雨だから」

「は?」

「気を付けてね」


由乃はそう言って学校の中へと入っていった。

数分後、由乃の言う通り大雨が降って来た。


「ねぇ」

「ん?」

「タオル持ってないかしら?バスタオルみたいな大きいタオル」

「あるよ?でも濡れてもないのに、なんで必要なの?」

「これから必要になる子が来るからよ」


由乃はタオルを貰ってお礼を告げた。

そしてそのすぐあとに微がずぶ濡れで戻ってきた。


「おかえり微」

「くそっ...!」

「はい、イライラしない。今日は一緒に学校に泊まりましょうね」

「ちっ...」


微はバスタオルを広げて待つ由乃の所に行ってバスタオルをぶん取った。


「ありがと」

「私じゃなくて、あの子にお礼を言って洗って返しなさい」


微はバスタオルを貸してくれた女生徒にお礼を言ってからまた戻って来た。


「髪がまだ濡れてるわ。拭いてあげましょうか?」

「自分で出来る」


微は不貞腐れて教室から出ていった。

由乃はため息を吐いて窓の外を見た。外は大雨で、バケツをひっくり返す程に荒れていた。


一方微は廊下を散歩していると、流と鉢合わせた。


「りゅ...先生」

「和泉か...ちょうど良かった。用がある、来い」

「はい」


流は微に用があるといって、数学の先生だけが使える教室へと招かれた。

ついでに他の数学の先生はみんな帰った様で、各先生ごとの机に荷物は無かった。


「少し仕事を手伝ってくれ。簡単だから微にもすぐ出来る」

「そんな事だろうと思った。仕事ぐらい定時で終わらせられないのか?」

「終わらせたかったさ。授業があって出来なかったんだ。というか、何故微がこんな時間まで残っている」

「なんか学校に泊まらなきゃいけないらしい」

「なるほど、それが嫌でサボって帰ろうとしたが、この大雨に降られて帰って来たと言うことか」

「ああそうだよ」


微は舌打ちをしながらイラついてそう返事をした。

流はニヤニヤ笑って微を見たので、微は更に一層イラついた。


「さてと、仕事仕事。これホチキスで留めて行ってくれ」

「流、何でもっとはやく始めなかったんだ?」

「立て込んでたんだ。文句言わずに手伝え。どうせ暇だろう」

「はぁ...」


微は机の上に束になっているプリントたちを見てため息を吐いた。

流が請け負っているクラスは微たちのクラスを含めて4クラスある。1クラス40名ほどなので、ざっと160組冊子を作らなければいけない。


「これ...本当面倒だな」

「早く終わりたければ友達でも連れて来い。...牧田だったか?」

「あいつに頼るのは嫌なんだが...」

「おや、友達というところは否定しないのか?」

「つい最近、まぁ話し合いってわけじゃないが、その話になってな。まことに不本意ながら、あいつを信用する努力をしてみようかと思ってる所だ」

「回りくどいな。素直に友達だと言えば良い」

「俺の中のプライドが、認めるなと叫んでいる」


流がため息を吐きつつも微笑んだ。微に友達が出来て嬉しいみたいだ。


「じゃあ、その牧田を呼んで来い。三人でやれば作業も早く終わる」

「ちっ...」


微は準備室を出て自分のクラスへと由乃を呼びに行った。

教室に由乃はおらず、教室で駄弁っている生徒にどこにいるかを尋ねた。


「おい」

「は、はい...!」

「あの...あいつ...えっと...」

「牧田さん?」

「ああ、そうだそいつ。そいつどこに行った?」

「自販機じゃない?...え?名前覚えてないの?あんな一緒にいて?」

「うるさい...」


微は由乃を探しに自販機のある庭の方へと向かった。

続きます

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