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シネマ・シメリック  作者: ましゅひな
3/5

B

「魔女の家には行ってはいけない。」

その言葉を、大人から幾度と無く聞いた。

魔女の家なんて、噂に過ぎないと思った。

おとぎ話の世界だと思い、大人を信用しなかった。

でもまだ僕は子供。

好奇心旺盛な年頃だ。

そんな話を聞いたら、探検したくなるのが少年の性とも言うべきだろう。

と考えた人は僕より年上の人にも沢山居たようだが、誰も魔女の家を見つけることはできなかった。正確に言えば見つけて、中に入ったらしいのだ。でもそこから先の記憶が残っていないらしく、嘘では無いのかと疑われている。

まあ、見つけて無いのと一緒じゃないかな。


ということで、魔女の家探しに行くことにした。今日。

えっだめかな?

大丈夫。うちのお手伝いさんを連れていくから。

うちの裏にある山の中腹にあるって噂だよ。

何かあったらこの…なんか外でも家と連絡が取れるみたいな機械で助けを呼んでくれるでしょ。

なんだっけ。『スマホ』か。変な名前。

ということでしゅっぱーつ!


開始10分で道に迷う僕ってなんだろう。

何か怪しげな雰囲気がするよここ。

……あ!!!

この辺魔女いるって事じゃない?!

なんか…そんなイメージだし?

やる気が出た僕は更に捜索を続けることにした。

お手伝いさんの顔がどんどん曇っていくのは気にしない。


更に探すこと30分。

お手伝いさんとはぐれましたー。

家に戻る手段無くなりました。はい。

お手伝いさんが付いてきてるか見ずにひたすら走ってた僕が悪いのは知ってる。

うーーん。あの人もう年だしな。

こうなったら開き直るか。

魔女の家見つけるまで家帰らない!

見つけても帰れるかわかんない!

とにかく探そう。来た意味なくなる。


開始から1時間後。

何やら怪しげな家を見つけました。

いや絶対これ魔女の家だわ…

インターホンなんて無いよね、と門扉を触った。

すると────


「なに…これ……?」


えっ。壮絶な記憶が脳内に流れ込んでくる。

人間が魔女を忌み嫌う理由って…

魔女が噂程度にしか存在が知られていないのって…

今まで人里に降りてこなかったのって…


あまりに辛い記憶だったからか、僕の目からは涙がとめどなく流れ続けた。

止めようとしても止まらない。むしろ止めたらいけないような気がした。

止めたら魔女の思いを受け止めきれないような気がしたからだ。


勇気を出して、門を開ける。

「入りますよ。」


ノックしてからそう声をかけた。

魔女の家へ。


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