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アスカ、少年院編

「なんや貴様らは!」 アスカは、叫んだ!駅前通りの老舗の旅館の大広間を貸しきった賭博場に、突如侵入してきた刑事たち十数人。一斉家宅捜査「ガサ」だ。


アスカはミュージシャンから転身し、渡世人となっていた。


発端はこうだ、アスカが中学二年生の時に、不良グループの仲間入りした時の、リーダーの三年生、中田は、その後ヤクザになっていた。


博徒の渡世人だ、ミュージシャンをクビになって偶然、中田と再会したアスカは、中田の紹介で、地元の博徒組織、大門会に籍をおき、渡世人として生きることにした。


しかし博徒は、博打打ちが生業だ、ある日、地元で有名な親分による「総長博打」か行われたが、


当局による捜査により事前に情報が漏洩し、アスカは親分からの信頼が厚く、大金を預かっていて、その責任者として、賭博開帳罪の現行犯として、当局に逮捕された。


18才のアスカは再び少年鑑別所に勾留され、審判を待つ身となった。


「どうせ年少行だろ?」隣り合わせの便所越しにアスカは「トシ」に淡々と言った。一緒にパクられた舎弟の「トシ」は、自費で買える御菓子が買えずに、アスカの菓子を便所の窓越しに、


紐に吊り下げてもらい、振り子の反動で揺らしながら水平までなったところで受け取りキャッチして内密に食べていた。


二人はよく便所越しに会話をした「どうせ年少ならば一緒がいいですね」とトシ


トシは不安がっていた、アスカも内心不安だったが、トシを元気付けるためには強気を装おっていた。


中田も一緒逮捕されたが二十歳になっていたので警察署に勾留されていた。


結局、トシは中等少年院に、アスカは特別少年院に別々に送致された、中田は二十歳になっていたので逆に執行猶予がついて釈放された。


アスカは特別少年院の独房で、隣に移送されてきた男から、いい情報を聞いた、京都に医療少年院があり。


そこの独房では一日中、本が読み放題だと?「本当かいや?」と疑いながらも、好奇心の強いアスカは、仮病をつかいとっとと医療少年院に転送された。


好奇心旺盛なアスカは楽しみにしていたが、実際に行ってみると一筋縄ではいかなかった、独房に入るまでに一ヶ月かかったし特別少年院に比べて圧倒的に飯が不味かった、非常に貧弱だった、しかし食べれば腹の中では一緒だ。


麦飯だけでも食べておけば死ぬことはない、それよりも、アスカには少年院の在庫の図書から、毎日好きなだけ借りて本を読むことに夢中になった。


アスカは、不良少年のくせに読書家だ、16才のある日、アスカは自宅でシンナーをしながら、山岡荘八の「織田信長」全三巻を読んでいたところに。


アスカの尊敬する兄貴分の、浅田が魚市場の白長靴スタイルで上がり込んできて「お前変わってるな~シンナーしながら読書してるやつは始めて見たぞ!」と驚いていたが。


アスカは小学生の時に、父親から誕生日に、最新版のオールカラーの百科事典(全24刊)をプレゼントされてから。


とにかく夢中になって読んだ、小学生のくせに毎日読むうちに徹夜になることもあった。百科事典により、世界のあらゆることに興味を持つようになったが。


何故か反比例して学校の授業には興味がなくなり、通信簿は2と3ばかりになった。


中学になり初めて図書館で借りた本は、武者ノ小路実篤の「愛と死」だったのが、今は笑えるのだが、中学一年生にはテーマが重すぎて不理解だったのだ(笑)


さて少年院の独房は中庭の角にあるせいで、陽当たりが悪く、また窓も収容者の保安のために、自傷しないように半透明のプラスチックだったので、陽当たりの角度といい、行き場のない囚われの身に、


アメリカの黒人作家・ジェイムス・ボールドウィンの作品、「ジョバンニの部屋」のゲイのカップルの、どこまでも救いのない状況や、彼らの部屋の陽当たりの加減が、この独房の陽当たりに、そっくりなことに影響されてしまい、すっかりこの作品が好きになってしまった。


作者は、一目みれば、私のシチュエーションがどんなものか知っている、私の心情さえも理解できるのだ、すっかりそう思い込んでしまい感激したものだった。


さて私の最愛なる、父は九州から毎月、面会と差し入れに来てくれたが、私はその時は、もうかまわないでくれ、という態度を示したが、今思えば本当に申し訳ないばかりだ。


母親からは、あんたみたいな子供は私の子供ではないと手紙が一通あった。

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