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アスカの少年期・ビジョン、その① サタンの言い訳。












アスカの少年期の道のりは、孤独感漂う、さみしがりの、エゴの人一倍強い独善的な性質だった。


そのエゴを。最初に、へし折られたのは、少年鑑別所でだった。








「アスカはその時に異世界に意識があった。目の前で、大天使ミカエルと悪魔の頭領サタンが、激しく激昂し言い争っていた。


大天使ミカエルは、サタンに対して、人間を誘惑し堕落させることについてサタンを断罪しようとしていた。


しかしサタンは流暢に言い返していた、「我々は人間の自由意思に不介入だ、悪に近づき、誘惑に負け、堕落しているのは人間であり、我々の責任ではない!」



昭和40年代。日本は高度経済成長期、世界第二の経済大国となりつい20の年前は戦後の混乱期だったのが嘘のような大進撃だ。


幼稚園に通うアスカは、自分がなぜかみんなになじめない。みんな、よそよそしく思える。


アスカはよくケンカをした、自分はじゃれてるつもりでも、向こうは唐突なアクションのアスカに、どうリアクションしてよいかわからないのだ。


アスカはどうにかして友達と仲良くしたいのだが裏目に出て疎んじられたり、結局、誤解を招き入れ、それが歯がゆくて自業自得の怒りを相手にぶつけてしまう。


相手にしたら全く理不尽だ。


エゴが強すぎることも原因だ、自分の思いが強すぎて、相手にしたら押し付けがましいのだ。


本当は寂しがりやで繊細で傷つきやすい。


でしゃばりで、おっちょこちょいで、おせっかいの、せっかちで、学校へ通うようになっても、問題ばかり起こす。


トラブルメイカーだ!本当にどうしようもない子供だった。


アスカは母親と一才の時に別れた、母親は家を出ていったのだが、アスカには母親は死んだと、家族からは言ってあった。


アスカは母親の記憶がないので恋しい気持ちなどもない。


アスカは物心ついたときから。自分は他に故郷があり、いづれそこに帰るのだとロマンチックな幻想を抱いていた。


アスカは普段は出張にいって留守がちの父親が大好きだった、いつも父親が帰るのを待ちわびた。


アスカの家は駅前の旧遊廓街だったので、父親が電車で帰るときは駅まで迎えにいった、


電車が遅れても、ずっと待ち続けた、何時間も子供が夜に一人改札口で待っていると、迷子と間違えてか親切に声をかけてくれる女の人もいた。


アスカは夜の街は大好きだった、だから待つことは平気だった知らないことが色々ありそうで、好奇心をそそった、幸い父親はアスカを連れて夜の街によく出かけた。


パチンコに麻雀、映画館、ゲームセンター、エンドレスでエキサイティングな幻想を抱かさせた、


お陰でアスカは昼間、幼稚園から帰ると駅前のパチンコ店で、玉を拾い集めてキャラメルやチョコレートに交換する知恵を身につけた。


こうしたアスカのゴキブリのような逞しい知恵は中学二年の夏は新聞配達でビートルズのオリジナル盤LP レコードを全部揃えて、中学三年になると、中学校に隣接する朝市でバイトしてパチンコ代やタバコ代にするようになった。


アスカは何故か、悪というものに惹かれた、悪とは何だろう?それで中学二年の夏休みに、


三年生の不良グループのリーダーに自分から「悪いことを教えてください」と声をかけて不良グループの仲間入りをしたのだ。


アスカは中学三年になると、不良グループのリーダーになった、しかし。ただの不良じゃないというプライドがあった、アスカは中学二年からギターを独習してバンドをしていた。


自分はアーティストだという思い込みがあり、自分を安くはしなかった。


中学三年の二学期の終わりに少年鑑別所に投獄された、その時のショックは並大抵ではなかった。


少年鑑別所は最初の三日間は観察期間として独房に監禁される。


なんせ独房は狭い部屋に便所が剥き出しだし、鉄格子の独房に三日間入るなど、本当に泣きが入った、中学三年だ、こうしたところはまだ子供だ。


アスカは拘禁二日目にラブレターをもらった、女子の寮の通路がアスカの独房の前を通過するしかないので、中学二年の女の子が、アスカのバンドのファンだと書いてあった。


この少年鑑別所での体験はアスカの初めての挫折感として、国家権威の力を思い知らされたのだった。


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