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蒼炎之狼~覚醒編~  作者: LIAR
第1章 記憶喪失のおっさんと稲妻の剣
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誤算

「来い! 化け物!」


「ギャギャギャギャー!」



 前方から襲い掛かってくる三匹を横に一閃、まとめてなぎ倒した。


 そこに落下してきた先程の4本脚のニンジンを再度蹴り上げ、ニンジンを持って振り回している別のニンジンお化けにぶつける。



「ギャ? ギャー!」



 車を背にして前方から来る化け物達を相手していると、今度は背後から叫び声が。



「グギーィ!」


「てめえ! それに触るんじゃねえ!」



 飛び後ろ蹴りでそいつを吹っ飛ばし、俺はボンネット上に着地した。



「これは俺のだ! ……多分」



 5分後。

 次々と集まって来る化け物共だが、剣を振り回せば当たる。さほど速くない。そして、ほぼ一撃で死ぬ。



ちょっと……いや、かなり、退屈になってきた。



「おい……あの……ちょっ……ちょっと待て、てめえら! 弱すぎだろ!」


「ギャギャー!」


 しかし……この数は……




 辺りを見渡すと、全く数が減っていない気がする。

 緑の葉っぱが次々と揺れ、ボコボコと異形の姿を現していた。



 ちょっと……流石に、バテてきた。


 このままだと、ヤバい。延々と続けられたら、流石に……



「ハァ、ハァ、ハァ……」



――どれ程の時間が経ったろうか――


 尋常でない、夥しい数の死体、と呼べば良いのか……生ゴミの処理場みたいだ。


 しかも、全然、減っていない――



 体力を使い果たした俺は、ゼイゼイとその場にへたれ込んだ。



 ダメ、かも……死ぬ……な、恐らく……



 目が回る。力が入らん――



 大の字になってしまった。



 このまま、喰われるのかな……夢なら良いな……何にも思い出せないけど、最後に闘って死ねた……って、事で……良しとする、かな……




 嗚呼……




 空が……





 綺麗だ……







……あれ?






 え?






 襲って、来ない……





 周りを見ると、奴等はおかしな行動を一斉に始めていた。



「グギャ! ガブッ!」


「ギャ! ギャギャ」



 奴等は、一斉に共食いを始めやがった。



 なにこれ……



 何とも凄惨な光景だ。ニンジン共は一匹喰う毎に一回り大きくなっていく。

 でかくなったニンジンがまた別のニンジンに喰われ、更に巨大になっていった。



 おいおいおいおい……この展開は……

 キング◯ライムかてめえら……ん? キング◯ライムって何だ……ああ、ガキの頃にやったゲームの……



「う!? ううあっ! っくぅぁ……」



 突然、物凄い頭痛に襲われた。尋常でない激痛に、身をよじりながら頭を抱えた。


 何だ、これ……



 もしかして、何か思い出す展開か、この痛みは……



「ぐぁぁぁっ……ぁ……あれ」



 暫く動けずにいると、さっきまでの痛みが嘘のように消えた。



「え……何だ、痛みが……」



 そして結局何も変わっちゃいなかった。



 何だったんだ――傷口に塩を塗られたような、そんな気分――



 ふと、辺りが影に包まれた。そして、嫌な気配。



「グ……グルゥ……グ……」



 ま、さ、か……



 影を目で追っていく。




 そこには、身の丈10メートルはありそうな、巨木のような、そいつが立っていた。



「う……うわあああっ! !」


「グルァアアアアアアッ!」



 変わったのは、こいつの方だった。


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