表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼炎之狼~覚醒編~  作者: LIAR
第4章 女子高生と神隠しの社
33/44

世界のカラクリ

 あたしは、眼を開けた。



「キャアッ!」



 アリサの顔が至近距離で瞳を閉じていたので、思わず声が出てしまった。



「あ、終わった?」


「な、何してんのよ!」


「ビックリするかなって」


「したわよ!」



 トモ君は、ずっと顔をしかめたまま、あたしを睨んでいた。



「トモ君?」


「……何でだ。何で、覚醒しない」


「ねえ、その覚醒って、どうなったら覚醒なの?」


 

 あたしの言葉に、アリサの表情が曇った。



「思い出すのよ。全て。

 今までも、何度かチャンスはあったんだ。

 でも、ちゃやかは全く動じないというか……心が、止まってるみたいで……」


「アリサお姉ちゃん、解ってたな?

 こんな事しても覚醒しないって」


「うん。ごめん……トモ君なら、何とかしてくれるかと思って」



 何で、アリサが謝るのか、私には解らなかった。



「すいません、力不足で……あ、冬弥さんの所にはもう行ったんですか?」



 とーやさん? って、誰?



「もう、何度も連れてったよ」


「分身と本体、どっちだって?」 


「本体だって言ってた」



 何の話だか全く解らないけど、どうやらあたしのせいで、二人が悩んでいる事は間違いないようだ。


 分身? 本体? 一体、何の話?


 トモ君は、大きなため息を一つ吐いて、ソファーにもたれかかった。



「――となると、アリサお姉ちゃんがこの世界に来たのはいつ?」


「百年……かな。その位前よ。

 初めは景羅って子のサポートに付いていたんだけど、冬弥さんがバトンタッチして、次は中学生として、この世界に入り込んだわ。

 最初はリンさんの分身をサポートしていたんだけど、高校生になってからは、ちゃやかの事を護るように、リンさんから言われてさ」



 百年前……そんなに生きてるの?

 百年前で、中学生? どういう事?



「ねぇ、アリサ。百年って……この世界に入り込んだっていうのはどういう事なの?」


「ちゃやかには、信じられなかも知れないけど……この世界はとても数が多いの。沢山の宇宙が存在していてね。

そして、この世界は″物理世界″と呼ばれるジャンルに属する世界で、魔法をバンバン使える様には出来ていないの。

上手く言えないんだけど、仕組みが違っててさ」


「魔法?」


「そう。さっきモスドナルドでトモ君がやってみせた、光の矢を飛ばしたり、ああいうのを引っくるめて魔法って呼んでる。″マナ″っていうパワーを使って、自然界にある火を作り出したり、水を出したり、精霊や神様を召喚したり、様々な種類があるんだ」


「ここでは逆に、この世界の人達には、物理攻撃以外は殆ど魔法が干渉しないから、妖魔だけに攻撃が当たる。

マナも少ないから此処じゃ何度も出来ないけど、ああやって思いっきり使える時もあるんだ」


「何度も、この辺りの説明はしたのよ。ちゃやかが覚えていないだけでね」


「どういう事? 初耳だよ、こんな話」


「それをこれから説明するね。

 この世界にリンさんの分身が転生した時に、アルファにその事を感付かれてしまったのね。

 転生した理由は、この世界の神々をアルファの支配から蒼の一族側に抜け出して貰う為。要は外交よ。

 アルファってのはさっき、ペンダントで見たでしょ? 初めの魔族よ。

 あいつ、リンさんを目の敵にしてるのよ。

 彼女はあたし達″覚醒者″のリーダー的存在だからね。

 アルファは今まで散々痛い目に遭わされてるからね、リンさんには。フフッ」



ここでトモ君が口を挟んだ。


「ある星にいた神様連中を、みーんなリンさんファンクラブみたいな状況にしちゃった時は笑えた。

 相当泡食ったんじゃないかなアルファの野郎。あははっ。

 そして、アルファは考えた。

 この世界に転生してきた蒼の一族を、生け捕りにする作戦を実行したんだ」


「約百年前に、この星に何が起きたかというと、およそ三年から五年の周期で、この世界が″リピート″する様になったの」


「リピート? 繰り返すって事?」


「そう。アルファはどこからかパワーを蓄えてきては、この世界の時空間をねじ曲げて逆行させて、繰り返しを強要してる。

 リン先輩の力をこれ以上強くさせない為に、世界に散らばってる蒼炎の一族を、覚醒させない作戦を思い付いたのよ。正気の沙汰じゃないわ」


「たった一人の魂を拘束する為に、世界中が″同じ日々″を繰り返す。これが此処の世界の真実だ。信じられるかい?

 アルファはそんな恐ろしい事を平気でやれる神、いや、悪魔なんだよ」



 そんな……想像出来ない、そんな事が、出来るの?



「ちょっと、話が凄すぎて……」


「俺達は誰も、この辺のエリアに入り込めなくなってしまった。

 僕達、蒼の一族はアルファの魔法の影響を″受けない″んだ。蒼炎之狼の最期の力で。

 あいつもそう。俺達の魔法は、アルファに止めを刺せるほど効かない」


「ちょっと待って。じゃあ、どうやって倒すの?」



 トモ君は、悲しい顔をした。



「それは……まだよく解らない。

 でも、きっとあいつを倒せる日が来るって、信じてる」


「終わりのない、戦いなの?」


「いや。そんな事はないと思うよ。

 きっと、リンさんが方法を見つけ出してくれると思ってる。

 そうでなけりゃ、アルファがこれだけリンさんに執着するのも納得する。

 あいつは、僕達を怖れてるって事さ」


「そっか……そうなると、良いね」


「ちゃやか……」



 アリサが悲しい顔をした。

 でも他人事みたいな言葉しか出てこない。

 だって、あたしに何が出来るっていうの?

 


「問題は山積みだった。

 蒼の一族は基本的に長寿の人や、簡単に死ねない人が多くてね。

 そうなるとアルファの手下達には俺達の存在はすぐにバレてしまう。

 いくら巧妙に入り込んでも、ループされるとね、影響を受けない僕達は同じ行動が取れない。覚醒者に成りうる″候補者″も、あいつらはすぐにループで見つけ出す。

 だから、アリサお姉ちゃんは凄いよ。

 百年もループに付き合いながら、何度もさやかお姉ちゃんの覚醒にチャレンジしてたんだろ?

 もう何人もの覚醒者がこの世界に入り込んでは消され、を繰り返して……意を決して僕もこの世界に挑戦したんだけど、ループの″次元の繋ぎ目″を見つけ出して入り込んだは良いものの、″世界の狭間″に取り残されてしまって、一年も孤独を味わった。

 もう誰も入り込めないって思ったよ」


「世界の狭間って?」


「言葉にするのは難しい。

 この世界は何重にも重なってるっていうのかな、何ていうか、同じテレビだけどチャンネルが違う、みたいな世界に入り込んじゃったんだ。

 だから誰にも俺の姿は見えないし、干渉することも出来なかった」


「そして、遂にこの日がやって来た訳ね」


「うん。僕の兄貴のマサトが″転生″でこの世界に入り込む事を望んで、赤ん坊からやり直す事を決心したんだ。

 アルファ達にバレる前に覚醒しなければならないというリスクを背負って暴走したんだよ。

 僕、居ても立ってもいられずこの世界に入り込んだけど……逆に助けられちまった」


「そうね。そのマサト君は、やってくれたわ」


「何を?」



あたしも思わず口を挟んでしまった。



「覚醒よ。アルファに気付かれる前に覚醒してくれた。

 そして、急に一族が現れた事に焦ったアルファは、再び世界をループさせた。でも今回は間に合わなかった。リンさんが覚醒した。

 だからトモ君がこの世界に″入れた″のも、アルファが想定外のループをした事が原因だと思うの」


「うんうん。そして今、兄貴達はアルファの追っ手から逃げている途中だと思う。

 此の世界の狭間を転々としながら、脱出を試みている最中だと思う」


「マサト君は凄かったわよぉ。

 リンを覚醒させて、ついでにちゃやかまで覚醒させようとしたからね。

 あたしの面目丸潰れよ。キャハッ。

 それで遂にアルファに見つかっちゃった。

 つい昨日の話だけど。

 ループが始まる直前に、マサト君はリンさんを追って、ペンダントを使って消えたの」


「この、ペンダントを?」


「そう。リンさんが一族の為に作った便利グッズよ」


「僕達は蒼炎の紋章って呼んでる。通信も可能なんだけど、今は物理世界にいるからあまり使えないんだ。

 アルファにも見付かる可能性があるから」


「そうなんだ……ねぇ」


「ん? どしたん、ちゃやかぁ」


「何だか……ごめんね」


「あ、謝らないでよぉ、大丈夫だから」


「これから、あたし、どうしたらいいの?」



 沈黙が続いた。ボックスのインターホンが鳴り、残り五分前となった時、トモ君は言った。



「よし、次は冬弥さんの所に行こう!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ