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蒼炎之狼~覚醒編~  作者: LIAR
第2章 森の狩人と近衛騎士
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calling

 身構えた俺を嘲笑うコレル。


 身体中から嫌な汗が吹き出し、まとわりつく様な、今まで生きてきて感じたことの無い不快感と恐怖が襲う。


 嫌な臭いが漂ってきた。獣の様な、それと何かが腐ったような異臭。


 間違いなく、″目の前に居る者(コレル)″から発せられているものだった。



「フフフ……紋章を、見せるんだ」


「コレル!」



 いや、違う。コレルじゃない。

 コレルの姿をした″得体の知れない者(化け物)″だ……



「そんなに怯える事もなかろう。もうよい。

 妾は話し合いにきたのだぞ? フフフ……そんな物でどうにかできる相手だと? 無礼な奴め。フフフ……」



 鉄槌を握っていた自分に気づいた。



 こいつ……信じたくはないが、死霊ゴーストの類いか……やれるのか? こいつを……

 皆は? ……クソッ何で結界内エリアに――



「どうやって此処に入ったんだ! 一体テメェは何者だ!」


「ああ、結界の事か。フフ……まだ霊や魔物の様な低俗なものだとお思いか? 

 フフフ……″主人″に逆らう下僕バカなぞ居らぬ。妾は貴様ら人間共(下等生物)とは住む世界が違うのだよ」


「質問に答えろ! 何なんだお前は!」


「フフフ、解らぬということはさぞや恐ろしかろう」



 どう考えても精霊、ではないよな。

 妖精……いや、まさかジェイク達の言う通りなのか?



「妖魔、なのか?」


「フフフ……そんな風に呼ばれ、忌み嫌われていた事もあったかのう。だが、そんなものはとうの昔にこの世界から逃げおおせたわ」



 妖魔じゃなかったら、何だってんだよ……



「ジェイク! カミラ! ウォレス!」


「呼んでも無駄だ。私の絶品料理はさぞ満足だったろう」


「クッ……何食わせやがった!」


「安心しな。私は貴様等兄弟にしか興味はない」



 兄弟、だと……こいつ、トモの事を……この野郎が!



「そうかい、テメェがトモを……弟をどこにやった! 返答次第じゃぶっ殺す!」



 怒りが溢れてくる……尋常じゃない怒りが!


 化け物は、まるで上等な葡萄酒ワインを飲み干したのような、恍惚の笑みを浮かべた。


「うぅぅん、素晴らしいぃ……流石、蒼き血脈は素晴らしい怒気に満ちている……八つ裂きにされてもこれ程の……本当に素晴らしい」



 嬉しそうに笑うコレルの表情は最早、人と呼ぶにはあまりにもかけ離れた狂喜の表情をしていた。



「ごちゃごちゃと訳わかんねぇ事言ってんじゃねぇぞ化け物! 弟はどこだ!」


 化け物は、首を傾げた。


「ん? なぁんだ。貴様本当に何も知らないのか。

 私も探していたのだが」


「何ぃ? 私もって何だよ。

 弟と俺と、一体お前は何が狙いなんだ!」


「勘違いするな雑魚め。貴様に答える義理はない。

 が、一つだけ答えてやるとするなら、二人(兄弟)まとめて塵に還してやろうと思っていたのだがなぁ。残念だ」



 御託は聞き飽きた。もう限界だ!



「ぅらああああっ!」



 鉄槌ハンマーを振りかざしたその時。



『――ダメだ! 兄ちゃん! 戦っちゃダメだ!』



 直接頭に、けたたましい声が響いた。

 同時に胸元から、熱い鼓動のようなものを感じる。


 誰よりも聞き覚えのある声。



「なっ」


『兄貴、返事はいいから黙って聞いてくれ。今戦ったら兄貴の仲間が死ぬだけだ! 仲間は奴に憑依されてる!』


 憑依だと?


「何だ? どうした。かかって来んのか?」



 コレルは右手の指をクイクイとして挑発してくる。



『挑発に乗っちゃダメだ! 大丈夫、アイツは今の兄貴に手が出せない』


「ど、どういう」


『黙って!』



辺りを見渡すも、コレルと俺だけだった。



「ん? どうした。何をしている。助けなら来ぬぞ」


『――後でちゃんと説明するから、今は俺の言うことを信じてくれ。

″ここの世界システム″じゃ、奴も俺達も、互いに手が出せない!』



 頭に響くトモの声はとても焦っている様子だ。

 そして、どうしたらいいのか判らない今、俺はトモの言葉に従う事しか出来ないと悟った。



 わかったよ、トモ。指示をくれ。



『ありがとう! さっすが兄貴マサト、話が早い。

 よし、俺の合図であの白銀の紋章(ペンダント)を奴に向けてくれ!』



白銀の紋章(ペンダント)を? ……ったくどいつもこいつも、ペンダント(これ)が何だってんだ。

 わかった。やってやる!



 俺は鉄槌ハンマーを放り投げた。



「フフ……妾は聞き分けの良い人間は嫌いじゃない。やっと命令に従う気になったか」



 俺は、化け物を見据えた。



『よし、今だ!』



 鎧の隙間から胸元に手を入れると、勢いよくペンダントを取り出した。

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