〜side yu〜誠の話2
誠は言うか言うまいか3日間考えた結果、言わないことに決めた。
妹に秘密を作ることで、ささやかな優越感を彼は得た。
誠と礼は双子で、誠が兄で礼が妹だった。
2人は顔も趣味も性格も似ていなかったし、言動が一致するようなこともほとんどなかった。
似ているところといえば、肌の色が白いところくらいだった。
それでも誠は妹の礼を特別に思っていたし、礼は兄の誠を信頼していた。
誠にとって礼は、身体の半分だった。
誠が秘密を持ったのは、14歳になる年のことだった。
すでに妹に言えないものを彼はいくつか持っていたけど、それらはどれもネガティブなものばかりだった。
誠は男で礼が女の子であることが、それらの原因のほとんどだった。
しかし今回の秘密は非常にポジティブなもので、それをあえて隠すことで誠は高揚した。
楽しい秘密を持つのは、これが初めてだった。
「ねぇ、誠、実は隠していたことがあるのよ」
と礼は言った。
寒い日のことだった。
クリスマスが終わり、街は正月の装いに変わっていた。
「なに?礼がこっそり父さんに時計を買ってもらったことなら知っているよ」
「いやだ誠、知っていたの?でもそれではないのよ」
礼はいかにも楽しそうに言った。
「なんだい?」
と誠は訊いた。
12・31決闘会まで1週間を切って、彼は緊張していた。
「実は私、魔法少女なのよ」
礼は子供のころに気に入っていたアニメの魔法戦士のポーズをとった。
「それでね、大晦日の日にちょっとした魔法の闘いをするのよ。どう?かっこいいでしょう?」
と礼は言った。
「かっこいいかもしれないけど、命がけなのでは?」
と誠は言った。
「そうよ。だけどこういうことに命をかけるのって誰でも憧れるものじゃない?どうせ安い命よ」
「安いかもしれないけど、俺は礼が死んだら嫌だよ」
「もちろん、私だって誠が死ぬのは嫌よ。だけどそんなのささいなことよ。そうでしょう?」
「そうだね。俺の中の君がいなくなり、君の中の俺が戻ってくる。それだけだね」
「そういうことよ。だけど私は自殺志願者ではないわよ。死なないように充分に気をつけるわよ、もちろん。痛いのは嫌だもの」
誠は頷いた。
「ところで礼は誰と闘うんだい?」
と誠は訊いた。
「名前を知らない魔法少年よ」




