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6:激化するゲーム対決

アドベンチャー部、最初の活動はゲーム対決。


既に幸と水香、アドレーヌと桐子の戦いは終わり、

残りの試合は、阿戸VS亜香子、京香VSかなた、

楓VS羽矢との戦いが控えていた。


得点はAチームとBチームで2:0。


次に行われる対決は、

新メンバーの阿戸VSコンピューターの天才、亜香子である。

勝負の行方は・・・!?


・・・・・・・


既に水香は追放され、桐子はダウンしてしまった。

二人とも白目を剥き顔から汗と涙と鼻水と唾液・・・

あらゆる体液を垂れ流し、ぐったりしている。


そんな二人を気にも留めず、勝負の続きが行われた。


キャラクターセレクト画面。

阿戸は「エメラ」というちょっとマニアックな火属性のキャラを選択。

阿戸曰く、「中距離キャラは扱いやすいし、見た目が好み」らしい。


「ねえねえ、亜香子ちゃんはどのキャラ使うの?」


「あたちは、『チェリー』を使わせてもらいまちゅ。」


亜香子は「チェリー」という遠距離攻撃に特化したキャラを選択した。

彼女もシフォンと同じく、「ファインド・シーカーズ」のキャラで、

作品シリーズの代表的な看板キャラクターだ。

トレジャーハンターの女の子・・・という設定である。

ちなみにチェリーとシフォンは義姉妹である。


「へぇー!チェリーちゃん使うんだ!

私もね、この子大好きなんだ!ツンデレで可愛いんだよ!!」


ロード画面が表示され、第三ラウンドが始まろうとしていた。


「GO!!!!」


試合開始のゴングが鳴り響く。

両者のキャラがフィールドに降り立つ。


「いくよ、亜香子ちゃん!『フレアロード』!!」


阿戸は、初っ端から中級の技を使う。

炎の槍を投げたり突き出したり振り回したりで、チェリーを襲う!

画面全体を埋め尽くす、ド派手な炎と爆炎のエフェクトは、

アドベンチャー部員を圧倒させる。

阿戸は様々なジャンルのゲーム好きのオタクでもあるので、

技のコマンド入力はお手の物だ。

素早く、華麗なコマンドで、エメラは優雅に舞う。


しかし、亜香子が操作するチェリーは、

遠距離からの射撃以外、反撃の兆候を見せない。

しばらくフィールド上で中距離VS遠距離のバトルが繰り広げられたが、

双方がフィールド外の異空間に投げ出されぬよう、

互いに譲れぬ互角の戦いが行われていた。

しかし、亜香子は精密な動きと動体視力、計算力、推理力で、

自身の攻撃と回避のパターン、フィールドの地形の法則、

そして阿戸の防御のバランスと攻撃パターンを計算していた。

CGのポリゴンの動きを一つ一つ、解析していく。


「亜香子ちゃん、なかなか凄いね!

遠距離の攻撃と緻密な回避で、うまく立ち回れてるよ!」


称賛する阿戸。しかし、亜香子の雰囲気が変わる・・・


「ふふ、阿戸たん、なかなかやりまちゅね。

でも、この技はどうでちゅか?」


今まで簡単なコマンドの基本遠距離攻撃「ソウルアロー」を

使って戦っていた亜香子だが、それは時間稼ぎに過ぎなかった。

全ては、阿戸の攻撃パターンを計算する為・・・

あえて目立った反撃をせず、攻撃回避に徹していたのだ。


「・・・『レグルスエッジ』!でちゅ!!」


亜香子がコマンド入力を始める。

本来「レグルスエッジ」は消費エネルギー量が激しい

諸刃の剣なのだが、亜香子は基本技を多く使うことで、

エネルギー消費を極力セーブしていたのだ。


↑↓↓↑→ABB→←・・・


わずか数秒。コマンド入力を行った事で、

チェリーの銃が銀色に輝く!

そして、銃口に巨大な剣の刃が現れた。

刃は、エメラ目掛けて猛スピードで撃ちだされる!


「危なっ!!」


阿戸の操作は、レグルスエッジを回避する!

大きな攻撃故、回避する隙を与えてしまった様だ。


「ふふふ、こっちでちゅよ!!」


いつの間にか、エメラの後ろにはチェリーがいた!

チェリーは近距離からソウルアローを打ち込み、

阿戸に少し大きめのダメージが入る。


「いてて、油断大敵だね!私だって負けないんだから!」


阿戸は炎の槍を使う中距離攻撃から遠距離攻撃に戦法をシフトする。

エメラの両方の掌から放たれる複数の炎弾がチェリーを襲うが、

亜香子は驚異的な動体視力で、炎弾を相殺する。

どの炎弾を先にかき消すべきか・・・

炎弾をかき消した次の炎弾の接近パターンは・・・

亜香子の脳内では、攻撃を回避し、次の攻撃を食らわせる為の、

驚異的な計算が行われていた。

そしてそれを瞬時に判断し、全ての炎弾をかき消す。


「またまた『レグルスエッジ』でちゅ!!」


再びレグルスエッジを撃つチェリー(亜香子)。

炎弾攻撃でMPを使い果たしたエメラ(阿戸)は、

回避しようとするが、エネルギー不足で攻撃をモロにくらってしまった。


「うわわ!」


焦る阿戸、レグルスエッジの能力で背後に回り込むチェリー。

そして、ソウルアローを打ち込み、阿戸のライフを一つ、

その勢いで異空間に放り込みもう一つ、

合計で一気に二つ消した。


「種明かしをしてあげまちゅ。

『レグルスエッジ』は、刺した先の空間に使用者を移動させる技でちゅ。

チェリーは銃のスロットに特殊なメダルを入れる事で、

そのメダルの能力をコピーできるキャラなのでちゅよ。」


「亜香子ちゃん、凄い・・・!

でも、私はまだまだ諦めないよ!」


亜香子の戦闘センス・・・もといゲームの腕に感心する阿戸。

しかし、彼女だって負けるわけにはいかない。


阿戸はエメラを操作し、ソウルアローをかわし、

地面に落ちている回復アイテムを奪取する。

そしてエメラのMPを最大まで回復させた。

エメラの最終奥義・・・最後の切り札こと必殺技を使う気だ!


「・・・これが私の、エメラのとっておき!

喰らえ、『恒星ノ使者プロミネンスインパクト』!!」


阿戸はコマンド入力で、エメラの最終奥義を発動した。

エメラの体から大量のエネルギーが迸り、

彼女が上にかざした掌に圧縮・・・縮小されていく演出。

そして、収縮したエネルギーは解放、放出され、

巨大な太陽の様な・・・恒星の如き灼熱のエネルギー弾が

神々しい姿を現した!ゲーム画面の二分の一程が、炎で埋め尽くされる。


「ふふ、まだまだ甘いでちゅね!!」


しかし、亜香子は先ほどまでセーブしたMPを再びわずかに回復させ、

チェリーの最終奥義を発動。

彼女の銃口にエネルギーが集まり、

巨大なボウガンの様なエネルギー体が具現化、生成される。

そしてそのボウガンには巨大なエネルギーの矢が装填されていた。

そして、その光の矢を放つ!!


ド派手なエフェクトのぶつかり合い!!

巨大な太陽と巨大な光の矢・・・

二つの大規模エネルギーが互いにぶつかり合う!!!


ギュギュギュギュイーン!!!!

『連打しろ!!!!!』

バババーン!!!


画面にごっついフォントが表示される!


阿戸と亜香子はボタンを連打する!!

ぶつかり合うエネルギー!!!!

絶対に互いに負けられぬ戦い!!


ドドドドドドドドドド・・・・・・


「「うおおおおおおおおおおーっ!!」」


バシュウウウウウウウン!!!

巨大な光に包まれたエネルギーの矢は、

エメラの特大炎弾を打ち破った!!!!

そのまま、エネルギーを残した矢がエメラを貫く!!!!!


ズキュウウウウウーン


「きゃあああああああああああああ・・・・」


エメラは敗北・・・

阿戸のゲームオーバー。

画面に表示される得点と、「AKAKO WIN!!!!!」の文字。

チェリーは決めポーズを決めていた。


「うおおおおおおーっ!!!」

部室内に歓声が響き渡る。


亜香子の勝利となった。


「あーあ、負けちゃった。

でも楽しかったよ!亜香子ちゃん、対戦ありがとう!

凄いプレーだったね!

まさか、あそこまで計算するなんて・・・」


礼を言う阿戸。亜香子と握手する。


「こちらこそありがとうでちゅ。

なかなか良いプレーでちたね。

またいつか戦うときは、よろちくお願いちまちゅ。」


「うん、よろしく!次は負けないよ!」


先程の幸VS水香と異なり、すっきりと勝負は終わった。

これで得点は2:1となった。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


続いてのバトルは、京香とかなたによるバトルであった。


「よう、かなた。ゲームでってのは少ししゃくだが、

アンタの実力、見せてもらおう。」


「いいよ。お手並み拝見といこうか。」


キャラクターセレクト。

京香は「妖魔脚のツバキ」という蹴り技で戦うスピード系キャラを選択。

かなたは攻守スピードがバランスよく設定された「審翔拳のエリー」を選んだ。


「おい、アキバ女。グズグズしてねぇでコマンドの紙持ってこいよ。

持ってんだろ?」


楓に攻略本を持ってこさせる京香。

一通り技や操作方法、コマンドを確認した後、決定キーを押す。


バトルスタート。

二人は攻防が激しく繰り広げられる接近戦を行っていた。


京香によるツバキの華麗なる「魔攻殲滅脚」!

邪悪なエネルギーを纏った蹴りがエリーを貫かんと突き出される!!

かなたによるエリーの貫通力の高い「審翔破煉砲」!!!

聖なる拳の連打が、ツバキのエネルギーを打ち払わんと繰り出される!!!!

ぶつかり合う拳と拳・・・

そしてとてつもないエネルギー。


「す、凄い・・・!!京香さんとかなたさん、

二人ともゲーム初心者のはずなのに、攻略本を読んだだけで

ここまで激しく、かつ互角に戦えるなんて・・・!!!」


阿戸はあまりの戦いの激しさに驚愕する。


このゲームは「直感バトル対戦アクションアドベンチャー格闘ゲーム」であり、

例えゲームが苦手でも、直感さえ冴えていればプロとも互角に戦えるという独自の魅力がある。

普段から喧嘩や試合で感覚を研ぎ澄ましている二人による・・・

互いに互角の勝負が行われていたように思われた。


が、京香は一瞬隙を見せてしまった。

汗でコントローラーが滑ったのだ。


「ちいっ!!しまった・・・!!!」


「とどめだッ!!!!『審帝魔殺魂』!!!!!」


ほんの一瞬の隙でも、戦場では命を落とす引き金となる・・・

それを京香は忘れていた。


ズドアアアアアアアアア・・・・


「勝者、戸谷かなた!!!」


ゲームのナレーションが再び勝者を宣言する。

部室内にファンファーレが響き渡った。


かなたは京香に声をかける。


「お手合わせありがとう、京香。

アンタのゲームセンス、初心者にしては悪くねえじゃねえか。

次は・・・サシでやろう。」


「こちらこそ、良いバトルだった。

だが、いくらアンタに称賛されても、

この負けはウチの負けだ。それは変わりはねェ。

この戦いで、自分の感覚がいかに未熟か分かったしな・・・

だが、次はより精進して、アンタを超えてやる。」


二人は称賛の意味を込めて、互いに拳をぶつけた。

彼女達の誇り高き戦いは、これからも続くのだろう。


これで得点はAチームとBチームで同点となった。


・・・・・・

・・・・


最後はAチームの秋葉楓、そしてBチームの田本羽矢の試合である。


試合前に、京香は楓にプレッシャーをかける。


「おう、底辺喪女。ウチ等のチームの命運はテメエの腕にかかってんだからな?

最後までちゃんとやれよ?このクソナードがよ。」


「あ・・・はい、大丈夫・・・なはず・・・です。」


「はあ?声小っちゃくて聞こえねえよ。それに大丈夫なはずって何だよ。

必ず勝つ気でやろうって意思はねェのかテメエは??あ?」


楓の髪の毛を掴む京香。


「は、はい・・・頑張ります。」


「ちっ。頑張るとかいう当たり前の事言われても納得できねえんだよ。

とっととコントローラー使いやがれ。クズが。」


京香は無理やり楓をパイプ椅子に座らせた。

羽矢は既に準備はできていたようである。


「じゃじゃじゃあ、かかか楓さん・・・はじめまし、始めましょうか・・・!」


ちなみに羽矢は滑舌が悪いにも関わらず、早口で喋る癖がある。

その時にたまに唾が飛ぶので、最高に汚らわしい。


「あっ、はい。よろしくお願いします・・・」


次の試合では、

楓は魔法少女・キューティーピュアこと「ピュアコスモス」というキャラを選択し、

羽矢はサイボーグガール「マッハチェイサー」を選択した。

ピュアコスモスは多彩な技で相手を牽制する系のキャラで、

マッハチェイサーは高速移動で敵を惑わすサイボーグ少女である。


「GO!!!!!」


試合開始!


楓が操作するピュアコスモスは「フラワーハリケーン」という技で、

光の渦を巻き起こす。


マッハチェイサーは避ける事しかできない。

・・・二人は無言で淡々と試合を行う。

部室内はしんと静まり返ってしまった。聞こえるのはゲームの効果音くらいだ。

突然今まで何も喋らなかった楓が、誰も聞いてないトリビアを語りだす。


「あっ・・・えっと・・・話していいかどうか分からないけど、

フラワーハリケーンはですね・・・

キュティピュアシリーズ第11作目のフラワーガール・キュティピュアの4話で、

星崎ツボミことピュアコスモスが初めて使った必殺技で・・・

花の精霊の力を借りて出した一撃必殺の奥義で、

悪の芽という邪悪なエネルギーを殲滅する力があるんですね・・・

害虫軍団「ムシバーム」の幹部ムシバーニャを倒したのも、

キュティピュア全員の力を合わせたパワーアップ版の

「フラワーハリケーンスペシャル」なんだ。

その時にピュアコスモスは力を失い、繭に封印されちゃうんだけど、

残りのキュティピュア達が力を合わせてコスモスを復活させるために

決意するシーンは作中屈指、いやキュティピュアシリーズでも感動する名シーンで、

その時のシーンを再現したムービーがこのクラシスΔにも収録されてるんだけど

で、その後コスモスはキュティピュア達が集めた繭から復活して、

その上絆の花の力でパワーアップするんだけど、

ムシバームの首領でゴキブリモチーフのラスボス、

「ドン・ザ・ブラックゴールド」の圧倒的な力で押されちゃうんだよね。

で、その時に使った技はフラワーハリケーンと、

ピュアコスモスの武器のコスモスカリバーを組み合わせた最強必殺技

「ハリケーンカリバー」なんだけど、その時の演出で、過去の回想が流れてくるんだけど、

この技を生み出すきっかけになった母親とお姉ちゃんとのお花見の思い出が、

一番大きな力になったみたいで、その思い出の力と仲間との絆の協力技で

ドン・ザ・ブラックゴールドの作った異空間である精神世界に入り込んで、

ブラックゴールドのコアを破壊し、ムシバームを壊滅させるんだけど、

その後の演出が本当に愛しくて、なんていうか、

凄くアニメファンの心を分かってるというかその演出が「おい。」


楓が早口でトリビアを語るのを阻止する京香。


「てめーの知識自慢がうるせえんだよ。さっき言ったこと忘れたのかよ?

ウチ等を勝利に導くんだろ!?ゴタゴタ抜かしてねェで手を動かせ、間抜けが!!!」


「あっ・・・はい。何でもないです・・・すみません・・・」


「ちっ・・・アドベンチャー部とやらはキモオタ揃いか?」


不満そうな京香。気まずくなる楓。

そのまま素早いコマンド捌きで攻撃を回避する羽矢。

グダグダな勝負はしばらく続いた。


・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・


結局、勝負は長引き、タイムアップで両者引き分け。

そしてAチームとBチームとの戦いの結果も同時に引き分けとなった。


「えーっと、今回は両チーム引き分けという結果に終わりました!

皆さん、今回の活動は楽しかったかな???」


「・・・・・・・・・・・」


細川先生が話しかけるが、全員ちょっと気まずそうだ。

主に楓が知識を披露した事とそれに京香がキレた事などで

空気が悪くなったせいだろう。


阿戸は、今回ゲーム対決をした亜香子の事が気になっていた。


「亜香子ちゃん、凄く不思議な子だなぁ・・・

とても頭がよさそうだな。

どんな子なんだろう?あの子の事、もっと知りたいなぁ。」


放課後、阿戸は亜香子と話してみる事に決めたのだった。

アドベンチャー部の活躍はまだまだ続く!

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