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無限の塔と実力隠しの生徒達  作者: クロウサ
序章

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6/19

6人目

 ダブリュリン冒険者育成機関、ここはイスカイア冒険者育成学校と対となる施設である

 その所長室で所長と思われる年は老いているがまだまだ現役と言わんばかりの筋骨隆々の肉体の男と、少し華奢に見えるが堂々とした立ち姿から強い自信を感じ取れる若い男が話していた


「注意すべきは上位人の者達、ネス、リカエラ、クズハ、それ以外にも、狙撃という分野だけなら歴代最強と言われているヘイルなど何かに特化した人物、以上が現在分かっている、イスカイア冒険者育成学校の実力者です」


「そうか、そうかご苦労、サクヤ!引き続き調査の方を頼むぞ、できれば上位者の弱点、苦手なものとかだな、後は1番の目玉に出そうな8人の人物を調べれるだけだな」


「しかし、所長そこまでする必要がありますか?」


「やっぱりよ勝負事には勝ってなんぼやろ、そのためには出来ることならなんでもする!それにあそこの学園長の負けて悔しがる姿を是非拝んでやりたいしな、ガッハハハ!」


「そ、そうですか、自分はこれで失礼します」


 声を大きく荒げて笑っている所長を前に、これはほぼ後者が理由だなと思いながら、サクヤと呼ばれた男は所長室を出ていくのであった


 サクヤが所長室を出てしばらく経ってから廊下で声をかけられた


「よう、サクヤ所長に報告しに行ってたのか?」


 声をかけてきたのは岩をも片手で潰せそうな大柄な男だった


「そうだ、ホドリック、君も仕事の報告か」


「あぁその通りだ、にしても今回の仕事は手応えがなかったぜ、イスカイアとの交流祭もいちいち相手の情報なんか調べなくてもこの俺、始末屋ホドリック1人で十分だけどな」


「確かに君の実力は相当なものだがあまり相手を舐めない方がいいぞ」


「さすがは養成施設のNo. 1のエリートくんだ真面目だねー、あの七光の不真面目野郎とは大違いだな」


 ホドリックがそう言った途端サクヤが冷たい目で睨みつける


「あいつを七光とバカにするんじゃない、君じゃ相手にならないぞ」


「あぁん?んだと、なんなら今ここでお前に俺の力見せつけてやろうか」


 2人の間に不穏な空気が流れ始める


「おやめなさい両者とも、この場で争い事をして誰が後片付けをするんですか、まさかあなた達が自分でするんですか」


 一触即発で勝負が始まりそうな雰囲気の2人の間に1人の女性が止めに入った


「っち仕方ねぇ、今回はやめといてやる、だが次は相手をしてやるよ、もちろん俺がお前を一方的にボコボコにするけどな」


 そう言い残すとホドリックはその場を後にして所長室へと向かっていった


「すまないノエル、君が止めてくれなかったら恐らくホドリックとやり合いになっていたよ」


「あなたは、落ち着いてるように見えて、意外に短気なんですから、特に彼のことが絡むと特に」


「すまないな、あまり親友をバカにされるのはいい気分になれなくてね」


「それは確かにそうね、私もアレク所長のことをバカにされたら怒りの感情で相手を消し炭にしてしまいそうだから」


「なんにせよ、君のおかげで無駄な争いをしないで済んだよ、ありがとう」


 ノエルに礼を言って頭を下げるサクヤ


「それじゃあ僕は失礼するよ」


「ええ、それじゃあサクヤ、彼にもよろしくね」


            ◯


 イスカイア冒険者育成学校の訓練所ではいつものようにハルトが無駄な動き多めでゴーレムを倒していた


「相変わらずハルト君てよくあんな動きでゴーレムを倒せるよね」


「それだけ才能があるってことだろ、だが動きの主張がうる()()()()〜とも思うけどな」


「相変わらずなのはクルツ君もだね」


 キョウヤとクルツがやり取りをしていると訓練を終えたハルトが2人のところまでやってきた


「お疲れハルト君、そういえばハルト君て交流祭って何か出場するんだっけ?」


 交流祭とはイスカイア王国とダブリュリン王国の育成者を養成する施設、イスカイア冒険者育成学校とダブリュリン冒険者育成機関での交流戦のことを言う

 魔法の練度を競うものや、狙撃技術や、単純な力比べなど様々な内容の競技を行い競い合う


「俺は、ブレイクウォールランに出るぞ、俺の輝きを邪魔する壁を壊せと言うことなんだろうな」


 ブレイクウォールランはスタートからゴールまでの間にある複数の壁を破壊してそのタイムを競う競技で壁はゴールに近づくに連れて硬度が上がっていく


「はは、でもハルト君には合ってる競技かもね」


「そう言う、キョウヤはなんかに出るのか?」


「僕は魔法速射に出るよ」


 魔法速射はスタートの合図に合わせて出てくる的を射抜く競技で、的を射抜いたタイムと的に記された点数のどこを撃ち抜いたかの合計で順位を決める


「なるほどな動くより魔法が得意なキョウヤならそれが合ってんな、んでクルツはどうなんだ」


「俺か〜、俺は何も出ないぜ、なんたってワースト2だからな」


 自信満々に言うことではないがクルツはワースト2というのを強調してハルトに言う


「お前の面倒臭がりの性格なら出場依頼があっても断りそうだからそりゃそうちゃ、そりゃそうか」


「そ言うこと、しょゆこと、しょうゆこと〜」


「でもクルツ君がやる気出したら結構いい結果になると思うだけどな」


「やだやだ、ハルトが言ってたけど俺は面倒臭がりやなの、キョウヤも知ってるだろ、まあまあ俺の事は置いといて他に誰がなんの競技に出るとかって聞いてるか」


 クルツは自分の事から話を避けるように他人はどうなのかと話を誘導する


「何に出るかは忘れたけど、アミとカレンが何かに出るって話してたな、確かどっちかはゴーレムラッシュだったかな」


 ゴーレムラッシュは次々と出てくるゴーレムを時間制限内に何体倒せるか競う競技で、出てくるゴーレムの強さは様々なので同時に出てくるゴーレムのどれを倒すかの順番選択も大事になってくる


「ランディ王子も交流祭に出るって言ってたよ何に出るかは秘密だって言われたけど、後は総合順位10位以内の人は基本的に何かしらには出るだろうね」


「結構知り合いが多く出るのね」


「みたいだね」


「まっ、なんにせよ俺は出ないから応援だけだな、それじゃあ俺は今日これから予定があるからここいらであがるとするぜ、んじゃまた」


「なんだ、もう帰んのか、またなクルツ」


「お疲れ様クルツ君」


 2人が挨拶をするとクルツは2人に背を向けたまま手を上げて訓練所を出ていった


            ◯


 無限の塔95層、ゲートガーディアンのいるフロアに続く道そこには胴に穴の空いたモンスターの死体が複数倒れ落ちていた


 そしてゲートガーディアンのいるフロアには今2人の男がいた、1人はダブリュリン冒険者育成機関のサクヤ、彼はもう1人の男が、ゲートガーディアンと戦っているのを眺めていた


 そしてゲートガーディアンと戦っているもう1人の男はイスカイア冒険者育成学校、総合ワースト2であるクルツだった


「珍しいなクルツ、君が自らゲートガーディアンと戦うとは」


「まー、久々にしっかりと体は動かしておきたいしね」


 クルツはゲートガーディアンと戦いながらサクヤと話している、いや戦うと言うには一方的な、争い、先ほどから雷を纏った龍の姿のゲートガーディアンの攻撃はクルツにかすりもせず、クルツはただ避けるのみ


「んじゃそろそろ終わらせるか」


 先ほどまで避けることのみに集中していたクルツが攻撃の構えをし出し、ゲートガーディアンの突進攻撃を避け体の下に潜り込む


「白白 《ハクハク》!!」


 クルツから放たれる強力な掌底、それを喰らったゲートガーディアンは大きく上へと吹き飛ばされる、そして体の中から風船が割れたように掌底を喰らった場所が破裂していた

 結果はクルツの圧勝だった、そもそもが相手になっていなかった


「にしても流石の体術だな、けど魔法を使えばもっと強いのにな」


「やだやだ、魔法を使ったら兄貴とかぶちまうだろ、それに兄貴の魔法は()()()()に強いんだけど」


「今のは、結構無理がないか?まあ、そう言うところも問題ないと」


 納得いかなかったのかクルツは目を細めてサクヤの方を見る


「それで、どんな奴がなんの競技に出るかってのはどれくらいわかったんだ?」


 サクヤが聞くとクルツは自分が仕入れた情報を伝える


「なるほど、引き続き調べれる範囲で調べてくれ」


「へいへい、けどよそこまで調べる必要あんのかー」


「イスカイアに圧勝してイスカイアの学校長が悔しがる姿が見たいんだってよ」


「ほとんどあの人の私怨てわけか、そんでそれを()()するのが俺の情報ってか」


「そう言うわけだ、少し調子が戻ってきたか」


 納得をしたように頷くクルツ


「それで表の方は置いといて()に出そうな者たちのピックアップはできてるのか」


「いーや、まだだな、これと言ってこいつは確実って言う奴はねー、ネスとかはそっちにも出そうな実力ではあるけど」


「了解、順当に行けば総合順位が上の者たちから出るって感じか」


(まぁ、俺のイスカイアでの友人にちらほら力を持った者がいるけどそりゃ当日のお楽しみの方がいいだろ)


「それでクルツは何かに出るのか?イスカイア側としてだけど」


「出るわけないだろ、お前が一番知ってるだろ俺が面倒臭がり屋だってよ」


「そうだな、そして気分屋でもあることもな」


「にっひ」


 口角を上げて笑うクルツであった


            ◯


 彼は不真面目な生徒である、実技も筆記もてきとうに行い、結果はしたから2番目だがその不真面目は彼本来の性格である、しかし彼には隠していることがある彼は本当は隣国のものだと言うことを、素性を隠し内情を探っている

 そして彼の本来の力は他者を引きつけない強力な武術、それは巨大なモンスターでさえ一撃で鎮めるほど、そして兄譲りの魔法、そんな本来の力を隠して彼は学校生活を送っている


 彼はスパイである



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