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2人目

 イスカイア冒険者育成学校、狙撃場にて実技訓練が行われていた


 訓練の内容は、様々な大きさのディスクが発射されそれを撃ち抜く、その撃ち抜いたディスクの大きさ数により採点され、それにより成績すなわち狙撃科目の順位が決まる


 現在狙撃場では2名の者が実技試験をしている、狙撃手ランキング1位ヘイル、狙撃手ランキング37位スズヤの二人だ、狙撃科目の選択者は40名、スズヤは下から4番目の順位になる


 ブー!ブザーの音が鳴り響くそれと同時にディスクが左右の方向から飛んでくる、ヘイルとスズヤ互いに一つ目のディスクを撃ち抜く、続いて2.3.4.5と立て続けにディスクが飛んでくる、ヘイルは安定した狙撃で全て撃ち落とす、しかしスズヤは2.3射目を外し4射目は当てることができまた5射目を外した


 そのままディスクは飛ディスクび交う、時々元のサイズより小さい中、小サイズのディスクが出たり、2つ3つと同時に飛び交う時もある


 ブー!また、スタートの時と同じブザーがなり終了を合図する


 結果は、ヘイル、小ディスク5、中ディスク15、大ディスク30と全射的中、そしてスズヤは小ディスク1、中ディスク4、大ディスク7と良い結果とは言えなかった


 ちなみに平均は小ディスク1〜2、中ディスク6〜8、大ディスク20〜23となっている


 実技試験を終えて他の生徒が待機している場所までスズヤが戻ると一人の女子生徒がやってきた


「すごいじゃん、スズ!小ディスク撃ち抜けたね!」


 彼女はミハル、スズヤの幼馴染の少女である


「う、うん1つだけど撃ち抜くことができたよ、そ、それに大ディスクは前回より1つ減っちゃったけど中ディスクは2つ増えたからよかったよ」


 スズヤはおどおどしながら喋っているとそこへヘイルがやって来た


「お疲れ様スズヤ君、前回よりもいい結果になったね」


「あ、ありがとうございます…ヘイルさんは前回同様、全射的中、さ、さすがです…」


「ありがとね、でももっと精進しないとね」


「でも、ヘイルさんほどの実力なら色々なギルドから引くて数多何じゃないですか?」


 ミハルがそう聞くとヘイルは苦笑いしながら答える


「実お言うとそうなんだけど、僕自体がまだ納得する域に達してないから断ってるんだよね」


「何言ってるんですか〜、ヘイルさんがダメなら私たちはダメダメじゃあ足りないぐらいダメじゃないですか」


「そんなことないよ、ミハルちゃんもスズヤ君も確実に成長してるよ、それに僕自信狙撃の才能が人並み以上なのは自覚してるんだけど…」


「けど?」


「身体能力が人並み以下でね…」


「え?でも私たち狙撃手って後衛じゃないですか身体能力が悪くてもそんなに問題にならなくないですか?」


「そうもいかないよ、モンスターが前衛を抜けて来たら自分で対処しないといけないし、後ろから不意に襲われたりしたら前衛が対処するまでは自分たちでなんとかしないといけない、上の階層に行けば行くほどそうなる可能性も高くなるから、やっぱり最低でも人並み以上の身体能力は欲しいよね」


「なるほど〜じゃあたくさん筋トレですね!」


「フフ、そうだね」


「それじゃあヘイルさん私たちはこれから講義があるので」


 ヘイルと会話を終えるとミハルとスズヤがぺこりとお辞儀をして狙撃場から去っていく


「スズヤ君、もっと自信を持ってやればいいと思うよ君の狙撃技術なら本来はもっと当たるはずだから肩の力を抜いてリラックスすれば良いよ」


 去って行こうとするスズヤにヘイルが後ろからアドバイスを掛け、スズヤは振り向き無言で頷くようにして礼をして、その場をさっていった


「やっぱりヘイルさんって優しいよね、最後にアドバイスもくれたしさ」


「う、うん、そうだね、あっ」


 講義室へ向かう最中、スズヤは曲がり角で誰かとぶつかった


「ご、ごめんなさい、大丈夫、ですか」


「うむ、我も前方不注意だったすまぬな、うぬ!?貴公からただならぬ力が感じるとこの我が右腕が疼く!」


 スズヤがぶつかった相手は中々な癖を持っていた長く伸びた前髪で左目が隠れ、右手には包帯がぐるぐる巻きになっていた


「え、えっと…あの、す、すみません」


「ダメだよ、アレス知らない人を困らせちゃ」


 するとスズヤとぶつかった男と一緒にいた病弱そうな少女が男を宥める


「アレスが変なこと言ってすみませんでした、行くよアレス」


「いや、しかしこの者からは、って待ってよルル!」


 最後なのが素なのか、最初に喋っていた時より声のトーンが少し高くなり男は少女を追って行きその場から去って行った


「な、なんか、すごい人だったね、ミハル」


「あれ?スズ知らないのさっきの人、アレスって言って有名人だよ、あんまり良い意味の有名人じゃないけど、ヘンテコな喋り方と挙動それに総合順位も確か最下位だった気がするよ」


「そ、そうなんだ」


「まあ最下位なのはまともに試験を受けてないから、らしいけど」


 スズヤはなるほどと思いながらその場を後にしミハルと共に講義室に向かった


 この学園での講義の参加は自由参加になっておりその理由は、学年という概念がなく、人によっては何年も滞在してる者おり、それに入学タイミングも自由である事から同じ講義をなん度もやっているので、受けたいもののみ自由に受けるということになっている


 今回スズヤ達が受けている講義は、無限の塔の階層についてだった


「皆様が挑む無限の塔は、名前の通り無限に続く塔と意味をつけて名付けられています、ですがそれは最上階まで登り切った者達がいないという意味でもあります。その理由としては塔は登れば登るほどに塔のモンスターは強くなって行くからです。しかしその分モンスターが落とす魔石やフロアに隠された財宝もより高価なものになります」


 スズヤは講師の講義の内容をノートにメモしながら話を聞く


「現在知られている中での最も上まで登った記録はイスカイア、ダブリュリン両国の精鋭達がパーティを組んで挑んだ500層になります、ちなみに学園長はその時のメンバーの一人になります」


 おお、と周りから声が発せられる


「現役の方では415層が最高値ですね、さて、ランクの振り分けですがこれは、何層まで登ったかによります、最初はEランクから始まり10層からDランク、30層がCランク、50層までをB、75層をAそして100層を登り切ったものをSとして振り分けられる、ですがまだ上が存在します、それは300層を登った者達を指し、ss級に振り分けられます、現在では両国合わせて8人しかいません」


 講師は黒板に内容を書き続け話を続ける


「また、階層は5階層ごとにゲートガーディアンと呼ばれるモンスターがおりランクを上げる条件は決められた階層のゲートガーディアンを倒すことになります、それをどう判断するかは、塔の1層にある記憶の腕輪をつけることによって、記録されます。ある程度訓練した者達ならば10層まですなわちDランクまではそう難しくわありませんが各々各自の実力に適した階層で経験を積むのがよろしいでしょう、ですがそれも安全というわけではないです、塔には各階層にゲリラモンスターと言われる危険度の高いモンスターがいます、ゲリラモンスターは唐突に現れ、強さはその階層プラス50のゲートガーディアンと同等と考えてください」


 講師が塔の説明に一区切りつけると、それから少し雑談を混ぜた話をしたり質疑応答の時間を設ける、するとミハルが質問をする


「ゲリラモンスターを倒すと何かいい事ってあるんですか?」


「そうですね、ゲリラモンスターを倒すことによって落ちる魔石は通常の魔石より高純度のものとなります、なので倒せる自信があれば倒すのが良いでしょうが、それは各々の自己判断でお願いします、他に質問がある方がいらっしゃらなければこれで今回の講義は終了となります、それでは皆様お疲れ様です」


 そう言って講師は講義室を出て行った

 講師が出て行ってからしばらくして、スズヤとミハルも荷物を纏めて講義室を後にした


「これで今日はおしまいだね、明日は塔での実習だけど緊張するね〜」


「そ、そうだね、でも、ヘイルさんが、いるから、きっと大丈夫だよ…」


「確かに、ヘイルさんがいれば安心だね!」


 それから二人は家に向かい学園から帰って行った


            ◯


 翌日、無限の塔3層のとあるフロアにて狙撃科の実践実習が行われていた、内容はフロアに現れるゴブリンを倒すこと


「良いか、ゴブリンを狙うときはできるだけ頭を狙うんだ、理由は単純だ心臓を狙うより頭を狙った方が倒しやすいからだ、それは他のモンスターにも言える、というかモンスターによって心臓の位置が違ったり複数あったりするからわかりずらいが頭は見りゃ大体わかるからだな」


 狙撃科の講師がそう説明すると各自のゴブリン討伐が始まった


 ヘイルがライフルを構え、弾を発射する、その弾は確実にゴブリンの眉間を捉え1.2.3匹と一撃で確実に仕留めていく


「グギャ!」


 対してスズヤが撃った球はゴブリンの頭には当たらず腕に当たりゴブリンは、苦痛の叫びをし持っていた棍棒をおとした


 仕留め損ねたゴブリンをミハルが続いて撃ちその弾はゴブリンの頭には当たり、ゴブリンは倒れた


「惜しかったねスズ、でも腕に当たって無力化には成功してるからスズが倒したみたいなものだね」


「ありがとうミハル、でも、倒したのはミハルだよ」


「そうだけど、次はきっとスズが倒せるはずだよ」


 それからヘイルは次々と一発でゴブリンを仕留めスズヤは、一発ではなくともコツコツとゴブリンを倒していく


「その調子その調子、頑張ってスズ!」


 スズヤの事を気にしながらミハルも着実にゴブリンを倒して行く


「な、なんだあれぇ!!」


「ゴブリンじゃないぞ!」


 狙撃科の生徒が何かに気づき、声を上げた瞬間

 ドゴォン!という爆音と共に大きな振動と砂煙りが舞った、砂煙りが晴れるとそこには、不意に襲われ無惨にも潰された生徒の姿と血溜まり、そして人の何倍もある巨大な姿の鬼と豚が合わさった様なモンスターがいた


「うわぁーー!!」


 さっきまで一緒にいた生徒の無惨な姿を見た他の者が恐怖の叫び声を上げる


「ま、まさかこんな所にゲリラモンスターが現れるとは、あれはギガントオーク、硬い皮膚に覆われていることによりライフルの弾じゃ倒すことはできない、それに魔術への耐性もある、後衛だけしかいないこの状況は、まずい、全員!全力でこの場から退避しろ!!」


 狙撃科の講師がそう言うと、生徒達は慌ててその場から逃げ出したが一人の生徒が足をくじき倒れるとギガントオークはその生徒めがけて棍棒を振り翳す


 バァン!風を切り裂く様な銃声が響くと同時にギガントオークの頭が少し揺れる、そしてギガントオークは棍棒を振り下ろすのをやめ音のした方を睨みつける


「僕の、全力の魔術を加えた魔弾だったんだけどな…君!今のうちに逃げるんだ!」


 ヘイルがギガントオークの意識を引き受け、倒れた生徒は立ち上がりその場から全力で逃げ去っていく


 今この場に残っているのはヘイルだけとなった


(さて、どうしようかな逃げ切れる自信がないけど、倒せる自信はもっとないよ)


 ギガントオークはヘイルを獲物として狙い襲いかかってくる

 ヘイルは弾に魔力を込めた魔弾を放つがギガントオークはびくともせずにヘイルに向かって突き進む


 ここまでか、ヘイルはそう思った次の瞬間、パァン!ライフルの射撃音が聞こえオークは持っていた棍棒を手から落とした


「な、なんだ、何が起きた!?」


「だ、大丈夫ですか、ヘイルさん」


 そこにいたのはスズヤだった


「スズヤ君どうして戻ってきたんだ、このモンスターは僕たちじゃ無理だ」


「ヘイルさんには、死んでほしくないから…」


「なっ、君は、ありがとう二人でならなんとか逃げ切れるかな、っあ…」


 スズヤが合流した次の瞬間ヘイルの意識が遠のいていく


「ご、ごめんなさい、ヘイルさん、でも、これで、誰もいない、な、なら本気が出せる」


 ギガントオークは棍棒を拾い上げ次はスズヤに狙いを定める


 スズヤは、向かってくるギガントオークに対してライフルを向け弾を放つ、ギガントオークはどうせ効かぬと考え、突き進むが、次の瞬間ギガントオークに激痛が走る


「ウゴォー!!」


 目を抑えるギガントオーク、スズヤの弾はギガントオークの目に直撃した、しかしギガントオークの再生力は計り知れずすでに治癒が始まり治り始めていた


 ギガントオークは目に弾が飛んでくるのを警戒しつつスズヤへと向かい今度こそ棍棒を振り下ろし襲いかかった


 砂煙りが立ち上り、晴れたその場に映ったのはやられたスズヤの姿ではなくあらぬ方向に曲がったギガントオークの腕だった


 痛みよりも疑問が先に浮かび上がるギガントオーク、今自分に何が起きたのか理解が出来ていない


「ぼ、僕の勝ちです」


 そう言うとスズヤの拳がギガントオークの腹に減り込むとそこから破裂した様にギガントオークの腹に風穴が開いた


 そして、倒れたギガントオークから濃い赤に輝く魔石が出てきた


 彼は、他人からの目を気にしている、目立つ事を恐れている、戦闘中で動く相手の目を的確に撃ち抜く精密な射撃技術、そして巨大なモンスターの体に穴を開けるほどの強大な力、彼には常人離れした才能が宿っている

 だが過去のトラウマにより彼はそれを人に見られるのを恐れている


 彼は小心者である


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