6.裏100層 その6
「キリカのやつ頼んだ書類まだかよ」
イスカイア冒険者学校の校長室で校長のイクタスが椅子に座ったまま貧乏ゆすりをしていた
すると校長室の扉が開いて
「失礼します」
キリカの弟であるキリヤが校長室に入ってきた
「キリヤか、すまんがキリカを知らぬか頼んだ書類をまとめて持ってきてくれと頼んだのだが一向に来なくてな」
「姉さんならちょと塔に行ってくるねと言って出ていってしまいました」
「なっ、アイツ頼み事をすっぽかしてやがったか」
「なので姉さんに頼まれていた書類を用意したのでお持ちしました」
キリヤは持っていた書類を校長室のデスクに置いた
「はぁー、お前はもう少しキリカに厳しくした方がいいぞ」
「いえ、姉さんの言うことは絶対なので僕はそれに従うだけです」
「だーめだこりゃ」
イクタスはキリヤの姉あの甘やかしをやめさせることはできないと悟り頭を抱えた
「それでなんでキリカはいきなり塔に行ったんだ、理由を言ってたか?」
キリカの急な思い立ちの理由を聞くイクタス
「100層の風のゲートガーディアンの記録を取りたい仰っていました」
「唐突がすぎるだろう」
「姉さんですからね、何も不思議ではありません」
「不思議であってくれよ」
◯
無限の塔に100層風の間そこにキリカはいた
「さあさあ風の間のゲートガーディアンはどの程度なんでしょうかね〜他の100層のゲートガーディアンの記録は取れているのであとはここだけなんですよ〜」
キリカはめんどくさがり屋で優柔不断なところがあるが、自分のやりたいことには熱心なのである、そしてキリカの趣味は記録をとること、しかしそれは自分の取りたいもののみでありあまり興味のないことはサボりがちであるのだ、その代わり取りたいものに関してはすぐ動きいつもは見せない行動力を見せるのだ
今回はその行動力がイクタスの頼みはほったらかすと言う経緯にいたり現在100層風の間にいるのである
そしてキリカが風の間に入ってから間もなく、フロアの奥に透明な緑の羽の生え、肌の色も少し緑がかった70センチほどの子供の姿に似た精霊型のモンスターが現れた
「あら〜可愛らしいゲートガーディアンだな〜無機質な土のゲートガーディアンとは大違いだー」
そう感想を呟いているキリカにお構いなしに風の精霊は、出会い頭に風の刃を飛ばしてくる
「んにゃ!?」
キリカは咄嗟に体を捩り、風の刃を避ける
「出会い頭とは見た目に似合わず好戦的なモンスターですねー」
風の精霊は間髪入れずに次の刃を放つ、キリカはその刃に対し今度は避けるのではなく懐から取り出した小石を風の刃に当てる
小石が風の刃と衝突した瞬間バッチンと雷が発生し風の刃が消滅した
先ほどの風の刃を防がれたからか風の精霊は次に左右に円弧をえがく風の刃を放った
「刃の数をふたつに増やしたって同じですよー」
そしてキリカは懐から小石を2つ取り出し左右の刃両方に小石を当てる
左右の刃両方に小石が当たるとまたバッチンと雷が発生し風の刃は消滅する
「!」
風の精霊は面白くない、と言うかのように顔がむすっとした、その次の瞬間風の精霊がブレたようにキリカの目に映り、風の精霊は3体に分裂していた
「今度は刃を増やすじゃなくて、自分自身を増やしましたか〜」
3体に分裂した風の精霊はキリカを取り囲むように並ぶと3体同時に攻撃を仕掛けてくる
「さすがに3つ同時の攻撃を1人で防ぐことはー、出来ちゃうんですよね」
キリカは床に手を合わせ自らを囲む雷の柵を作り出しその柵に阻まれ3体が放った攻撃はキリカに届くことなく消滅する
「それじゃあ今度は私の番ですよー」
風の刃を防いだ時と同じように小石を取り出しキリカを取り囲む3体のうち後方の2体の風の精霊に向けて投げる、そして目の前の風の精霊に対し指で銃の形を作り出しバンと撃つ仕草をする
「誘雷」
キリカが撃つ仕草をしたと同時に目の前の風の精霊を雷撃が襲う、そしてそこから繋がるようにキリカが投げた小石に向かって雷撃が伸び、その近くにいた残りの2体の風の精霊を雷撃が襲う
「どうですか私の雷痺れますよね〜」
3体に分裂していた風の精霊はまた一つに集まる、そして風の精霊は怒り狂ったかのような顔をし出し周囲に風を呼び寄せる
その風は次第に大きくなっていき風の精霊を中心とした竜巻を造り出した
「これは攻撃こそ最大の防御ってやつですねーいや、防御こそ最大の攻撃でもいいですかねー」
そう言いながらキリカは顔を少し晒すと次の瞬間キリカの頬を竜巻から発生している目標の定まってない無数の風の刃の一つが切り裂き、血が垂れる
「いやー切れ味抜群ですね痛いです〜」
そうわ言っているがどこか余裕の含む彼女は一息つき目を瞑る
「さーて、どこがウィークポイントですかなー」
キリカは目を開くそして前を見る次に自分がどうすればいいのかの最適解を見るために
そしてキリカはまた一つ小石を竜巻の中に親指で弾くように飛ばす、風の刃には触れず小石は竜巻へと到達する
小石は竜巻の渦に飲み込まれ瞬く間に上へと舞い上がる、そしてその舞い上がった小石は風の精霊の上空まで行った、キリカはニッと笑った
「雷帝」
キリカが放った小石を上から叩きつけるかのように超強力ないかづちが風の精霊に直撃する
いかづちが落ちた後竜巻は静かに消え去り、いかづちの落ちたところには黒く焦げた床とそこには魔石が1つあるだけだった
「さーて残りの時間で今の戦いで得た情報をまとめましょうかねー」
キリカは魔石を拾った後持っていたノートに今の戦いの記録をまとめ始めるのだった




