4.裏100層 その4
無限の塔にあるいくつもの出入り口の一つから、スズヤ、ミハル、ヘイルの3人が出てきて会話をしていた
「100層ってどうしてゲートガーディアンのフロアが4種類あるんだろうね、しかもそれぞれ違う属性だし」
「そうだね、何かの区切りって意味でそうなってるのかもね100って言うのもちょうどいいしS級の条件もそこだし、でも実際のところは塔を造った人に聞かないとわからないけどね、そもそも造った人がいるのかもわからないけど」
「本当に謎ですよねー、それぞれ火、水、土、風で属性も別々で、各々適したところで挑んでくださいって配慮なのかな?」
「そ、そうかもね」
1層での自主練を終えた3人は100層について話していた
狙撃科では3層でのゲリラモンスターによる事もあり実践訓練をする時は1層で行うことを推奨されている。
1層はいわば完全に初心者や訓練用に適した環境となっており、出てくるモンスターも子供が武器を持てば倒せるほどでゲリラモンスターと出会ったと言う報告も過去を遡ってもなく、隠しフロアも強力なモンスターは存在しないため、気を付けておけば安全な層となっている、そのため得るものはほとんどないため、初心者がモンスターになれるためや、比較的安全に訓練を行うために利用される層となっている
「そう言えばスズヤ君、僕たちを助けてくれた人ってどんな人だったんだい、僕はスズヤ君がきてから敵からの一撃で気絶していたから助けてくれた人を見れてないからね、わからない状態じゃあもし次に会った時にお礼が言えないからね」
「え、あの、一瞬だったので、あまり覚えてなくて、た、ただ、背が高くて、すごく、ガタイのいい、男の人、でした」
「倒した後には、何も言わずに去っていったんだよね、すごいよねスズ世の中にはそんなに優しい人がいるんだから捨てたもんじゃないね、でもそんな人が運良く3層にいてよかったね」
「う、うん」
スズヤは咄嗟に存在しないひとの特徴を言って嘘がバレてないかドキドキしながらヘイルの顔を伺う
「そうか、もし僕たちを助けてくれた人が現れたら教えて欲しい、直接感謝を言いたいんだ」
「わ、わかりました」
ひとまず嘘がバレていないことに安心するスズヤ
ほっと一息ついて胸を触ると胸ポケットに入れていたはずの生徒手帳がないことに気づく
「どうしたのスズ?」
「生徒手帳を、落としたみたい、ちょっと、取ってくるよ」
そう言ってスズヤは来た場所を引き返し塔に戻って行く
「新しく再発行してもらえるからわざわざ探しに行かなくても大丈夫だよ、スズヤ君」
「だ、大丈夫です、大体落とした場所の、検討は、ついてるので」
そのままスズヤは塔の中に入っていった
「行っちゃった、でも1層なら大丈夫か、スズは心配性だから尚更警戒しながら行くだろうし」
「本当に大丈夫かな1人で」
「大丈夫ですよ、スズだって成長してるんですし1層なら危険はないはずです」
ミハルはスズヤは大丈夫だと確信を持ちながら塔から離れて帰っていった
◯
アミは無限塔1層を駆け回っていた
「あーどうしてこう言う時に限ってエリーもカレンちゃんもいないのかなー!」
時間は少し前に遡る
アミは暇を持て囃していた、いつもならエリーやカレンと一緒に行動してカフェや買い物をして街を歩いているのだが、今日は1人だった
「は〜あ〜エリーは休んでカレンちゃんはまた用事最近付き合い悪いな〜まいっか、たまには1人でお散歩でもするかな、どうせなら塔にいこっかな」
そうしてアミは1人で無限の塔に向かった
無限の塔についたアミは1層を歩き回っていた途中で出くわしたモンスターを何なく倒しながら当てもなく歩き回っていた
少し疲れたアミは休憩をしようと目についたフロアに入ったそこは見るものも何もないただの広間だった
休むにはちょうどいいと思ったアミはそこの壁にもたれ小休憩を取ろうとするとカチャと何かが開いたような音がした
アミはもたれた壁を見るとそこには小さな扉のようなものがありそこを開くとレバーがあった
好奇心旺盛なアミは早速そのレバーを下げた。ガチャとレバーを下げた音がするだけで何も起こらずレバーは元の位置に戻った
しかしアミは何かがあるはずだと思い部屋中を探し回ったすると反対側の壁を調べていると壁ともたれた時と同じようにまたカチャと音がし小さな扉が現れた
そしてその扉の中には同じようなレバーが存在した早速それを下げてみるがやはりガチャと音がするだけで何も起こらない
アミは思ったこれは同時に下げると何か起こるんだと
「エリー、はいないと、じゃあカレンちゃ、もいないんだった」
はぁ〜、とため息をつくアミ、こう言う時に限ってなぜ1人なのかと
だがアミは諦めない、行動力の高いアミは早速人を探すことにした、誰とでもすぐ仲良くなることのできるアミは正直誰でもいいから人を見つけようとした、なんならモンスターでもいいかとでも思ったくらいだ
しかし、無限の塔はかなり広い、イスカイア、ダブリュリンの2国を跨ぐ巨大な塔であり、実際中は外から見えるより不思議な力によりさらに広い
加えて1層は初心者や訓練用に使うものがほとんどなので滞在者が少ない、人を見つけるのはかなり困難である
「あーもう!誰も見つからないよー!!」
半ば諦めかけていたアミだったが少し離れたところからコツンと足音が聞こえた、それは聴力などの五感が優れているアミだから聞こえた音だった
「みーつーけーたー!!」
アミは足音のする方へと急速で向かい、そこを歩いていた者に飛びかかって
「えっ、え!?」
「きみ!!ちょっと手伝って!!」
そうしてアミに捕まったスズヤだった
◯
ネスは校舎を歩いていた、特に用があるわけでもなく、ただ歩きたいと思い歩いていた
「おーい!ネス!」
すると後ろからネスを呼ぶ声が聞こえた
「ハルトくん、どうしたの?と言うか今日は1人なんだね」
ネスを読んだのハルトだった
「そーなんだよ、クルツとキョウヤは2人ともどっか行ってよ、シズクはルルの看病で既に帰っててよ」
「それで今日は1人なんだね、で僕になんのよう?」
「ちょっと手合わせしてくれないか、1位の実力がどれだけのものか体感してみたくてよ」
「いいよ、僕も暇をしてたからねどこか訓練所借りる?」
「いや、どうせなら1層でやろうぜその方が人の目もないし気兼ねなくやれるそれにちょうどいいフロアを知ってるんだよな」
「え?ハルト君らしくないね、いつもなら人から目立つ場所でやるのに」
目立ちたがりのハルトがまさかの人目の少ないところを選び驚いたネス
「本来なら俺の輝きを皆んなに見せてやりたいがお前と手合わせをする場合はちょっと別でな、とまぁーそう言うわけだ1層に行こうぜ!」
「わかったよ、それじゃあ行こうか」
そうして1層に向かった2人だったが、ハルトの見つけたと言うフロアには辿り着かず、塔の中を2人は歩き続けていた
「ねえ、ハルト君」
「ど、どうした、ネス…」
「もしかしてだけど、迷ってる?」
額から汗を流す、ハルト
「な、何を言っているんだネス、この俺が迷うなんて、何を言ってるんだか」
早口になり明らかな、焦りを見せるハルト
「そろそろ目的の場所に着くはずだ、ってあれ?アミじゃねーか、それと誰だ?」
迷子になっていたハルトだったが角を曲がった先の奥にアミとハルトが知らない人物がいた
「本当だね、アミちゃんとあれはスズヤ君だね」
「スズヤ、知らないなまさか、アミの彼氏か!?まっさか〜…」
「いや、違うと思うけどな、スズヤ君には恋人かわからないけどミハルちゃんて言う幼馴染がいるからそれにスズヤ君は人見知りなところもあるからあまり恋人がいるとは思えないな」
「だよな!だよな!!アミに先を越されるなんてありえないよな、で、お前はあのスズヤってのと知り合いなのか」
「そう、ヘイルさんがよく面倒見てる子でね、それで僕も知り合ったんだ」
「なるほどな、お前ヘイルさんと仲良かったもんなてか、相変わらず顔広いよな、ネスって」
「そうかな、普通だと思うけど」
「お前の普通は、普通じゃないからなー、まぁいっか、あいつらの後をついていこうぜ、なんか面白そうだ」
そうして2人はアミとスズヤが入ったフロアに追いかけていった
◯
「それじゃあスズやん、そっちのレバーを『せーの』で下げてねー」
先ほど会ったばかりのスズヤをもうあだ名で呼ぶアミはスズヤに指示を出す
「え、あ、わかりました」
そして、互いに位置につくアミとスズヤ
「それじゃあ行くよ〜『せーの!』」
ガチャと同時に2つの音がなる、がしかし何も起こらない
「あれれ?」
「おーい、アミー、何してるんだー?」
アミ達がいるフロアにハルトとネスがやってきたすると突然、ゴッゴッゴッゴと石が擦れるような重たい鈍い音が鳴り出し、広間の奥の壁が動き出し、小さな部屋が現れた
「やっぱり私の考えは正解だったんだー同時にレバーを下げれば良かったんだ〜!って、あれ?ハルトにネスじゃんなんでここに?」
「いやいや、ネスと歩いてたらお前達を見つけたんだけどなんだ奥の部屋は?」
「そうそう隠しフロアを見つけたんだせっかくだしみんなで行こうよ〜」
「えっ、あの、僕は、これで失礼します」
帰ろうとするスズヤの腕をアミとハルト左右から捉えられる
「なーに言ってるの?スズやんも行くだよ〜」
「そうだぜスズヤ一緒に行くぞ」
「いや、僕は、て言うか、君は?」
そうして、半ば強制的に連れていかれるスズヤその後ろをついて行くネス
奥の部屋へと入った一同するとまたゴッゴッゴッゴッと音を立てて閉まる壁
するとガタンッと大きな振動そしてガッガッガッガッと小刻みに揺れ出した
「なんだ、動いているのかこの部屋?」
「そうじゃないのーなんか揺れてるし〜」
「こ、これって、大丈夫、なのかな…」
「きっと大丈夫だよハルト君とアミちゃん2人ともものすごく強いから」
そしてまたガタンッと大きな振動そしてゴッゴッゴッゴッと壁が動き出す
開いた扉の先は少し薄暗い遺跡のようなところだった




