神刀と幼女、森に入る
アイフ視点
俺は精霊なので、相手の気分や感情が見える。
ラルテアが近づく騎士達は、かなり苛立っているようだった。
ラルテア、あいつら危ないよ。
「大丈夫よ。挨拶するだけだから」
ラルテアはそう言うけど、相手は一人じゃない。それに魂の輝きからして、ラルテアよりも強さは上だ。やはりダイセツザンとユエナが一緒にいないと不安ではある。
まあ、俺がいるから万が一ということはないけど。
ラルテアは結構先走りやすいところがあるから不安だ。まあ、それはユエナにも言えるけど。
「おい、お前。そこで止まれ!」
ここで先に向こうから声をかけてきた。
「今、この森は俺達騎士団が調査している。冒険者だろうが、入るなよ!」
「そうはいきません。こっちも森の調査に来ました!」
ラルテアは向こうと同じく、少し距離をおいて立ち止まった。
「私、ラルテアとユエナの、二人の冒険者が森に入ります。もちろんそちらの邪魔はしませんので、一言言っておきたくて!」
「ユエナだと?」
「あの諸悪の根源か!」
騎士達の苛立ちが一層強くなった。
「お前らのせいで栄えある騎士団が臆病者呼ばわりだ!」
「さっさと失せろ! ここでの任務も邪魔立てする気か!」
どうやら騎士達の苛立ちの原因はこちらにあるらしい。
でも今回の発端は間違いなく騎士側にあるんだから、こちらは全く悪くない。
やっぱり話しても損しかなかったね。ラルテア。
「同じ町を守った者同士で、小競り合う気はないから!」
「っ」
「私は挨拶しに来ただけです。では!」
ラルテアはもう踵を返して走る。
俺もラルテアを追った。
この子のこういうさっぱりしたところは好きだ。
ラルテア。たぶん森でも会ったら、また何かあるよ。
「その時はその時よ。別に戦うわけじゃないから、上手くスルーしましょ」
ラルテアはすぐにユエナと合流して、早速森の中に入る。
「よーし。それじゃあお仕事だー!」
「ちょっと待って、ユエナちゃん、速い!」
「だって早く終わらせないと町まで帰れないよ!」
ラルテアも俺も、ユエナの元気さには振り回されっぱなしだけど、まあ悪いわけではない。
むしろユエナの持つダイセツザンは、強い魂の輝きを持っているから、参考になる。
俺も早く、あれくらい強くなりたい。
俺がラルテアといっしょにいるのは、彼女となら俺も強くなれると思ったからだ。
実際その実感はあるし、こうしてダイセツザンという最高の目標とも出会えた。
この森からはラルテア以上の強い気配がたくさんあるが、ダイセツザンと一緒なら安全だろう。
きっとラルテアも俺も、この森で一皮剥けられる。
それを考えたらまあ、あんな騎士達なんて些細な問題か。
ラルテア、もっと速く走って!
「わかってる! だからユエナちゃん、もうちょっとゆっくりー!」
ラルテアが叫んだ途端、ユエナの前にラルテアと同じくらいの強さのモンスターが現れて瞬殺された。
「ラルテアお姉ちゃん。こいつらどう?」
「うーん。ターゲットじゃないわね。まだ最初の相手だし、このまま放置かな?」
「わかった!」




