幼女、ご飯を食べに行く
帰り道はすっごく長かった。
でもそれだけ、ラルテアお姉ちゃんとたくさん話をした。
「へえ。ラルテアお姉ちゃんもツーギの町に来たばかりなんだ」
「10日とちょっと、ってところね。でもいろんなところに顔出したから、もう自分の庭も同然だよ。皆良い人ばかりだしね!」
「私も暮らせるかな?」
「もちろんよ。お姉ちゃんがいろいろ教えてあげる。任せなさい!」
「ありがとー!」
町に戻ったら、門近くの素材センターで紙とお金を交換する!
「むう、ランクアップの印もあるな。それじゃあこの鉄のバッジもつける。受付嬢にギルドカードと一緒にわたすんだぞ」
「はい!」
ランクが上がれば、英雄に近づく!
なんだかやる気が出てきた! それに!
「お金がいっぱい!」
「ユエナちゃんたくさん倒したからねー」
「ラルテアお姉ちゃんはそれくらい?」
「5体だって多い方よ! ユエナちゃんが倒しすぎなの!」
「えへへ。じゃあ今は私がいっぱいお金持ってるから、ラルテアお姉ちゃんにご飯ごちそうしてあげる!」
「ありがとう! でも奢るのはよして。お金は大事。ユエナちゃんにはまだまだいろんなものが必要だから、まだ使わないで取っといて!」
「例えば?」
「きれいな服」
「あるの!」
「もちろん。しかも戦いにも向いた高級品がね。そんなにお金があっても、すぐ全部無くなっちゃうんだから」
私は大きなお財布をジャラジャラさせてみる。
「これが無くなるのかあ」
「ま、ものは使いようってことよ。それに、私安くて美味しい店知ってるから、そこ行こう!」
「うん!」
たくさん動いてお腹減った。今ならいっぱいお金持ってるから、うんといっぱい食べれるよね!
ラルテアお姉ちゃんについていった先には、きれいなお店があった。
「たのもー!」
「出てけ、今準備中だ!」
ひい、怖い!
「そんな固いこと言わないでよ。同じ獣人族の仲でしょー?」
ラルテアお姉ちゃんは全然怖気づくことなく、お金を一枚出してカウンターに乗せる。
「ちっ。そういう獣人族は決まって悪いやつなんだ」
「私は違うのー! それに今回は連れもつれてきてるんだから、悪口叩かない!」
私もそろそろと入ると、お店にいたのはネズミ耳のおじさんだった。あと、ヤギ角耳お姉ちゃんもいて掃除してる。お胸おっきい。
「なんだ、チッサーナ族か?」
「そういうわけでもないらしいんだよねー。でも今パーティ組んでるの。この子超強いんだから!」
ラルテアお姉ちゃんはそう言うと、私に手招きした。
「さ、おいで。カウンター座らせてあげる」
「うん」
「不要だ。ユエナはそれくらい一人で座れる」
神刀様の言う通りに、ぴょんととびはねておしりを椅子にのっけた。そしてラルテアお姉ちゃんを真似て、お金を出す。
「ん? 料理代か?」
「ユエナちゃん。さっき私が出したのはね。時間じゃないけどご飯食べさせてっていうチップなの。文句言う人はこれ出せば大抵黙るし、さっき私が出した分で足りてるの」
「そっかー」
「もちろん、チップで黙らないやつからはさっさと逃げるか、もしくは殴って黙らせるかね。マスター、この子のこのお金でなにか適当に持ってきて。軽いやつ」
「ちっ。わかったよ」
マスターおじさんは私が出したお金を取って、背中を向けた。するとヤギお姉ちゃんもおじさんの方へ行く。
「ロッピー、来たよー」
「いらっしゃい、ラルテアちゃん。この時間でその太っ腹、もしかして噂のスタンピード帰り?」
「ええ。もう片付いたわよ。ほぼ全部このユエナちゃんが倒しちゃった」
どや顔だー。
そしておじさんとお姉さんが私を見る。
「そうだぞ。その者ら。町に近づく不届きモンスターはほぼ全て、このダイセツザンと我が主、ユエナが倒したのだ」
「え?」
「ん?」
「ひょっとして、今刀が喋った?」
「そう! ユエナちゃんって喋る刀持ってるの。神刀様なんだってー!」
「えー!」
照れる。ヤギお姉ちゃんロッピーさんが驚いてくれた。
そしてマスターおじさんは、なにかゴソゴソしてる。あ、サイン色紙とネームペン持ってきた。
「サインしてくれ。今のうちにもらっておこう」
「えー!」
驚く私。
「うむ。ユエナ。我の名前も書いてやってくれ」
「うーん。私神刀様の名前書けない」
「なん、だと?」
「あ、私が教えてあげるよ」
その後、私達はさっき私が活躍した話で盛り上がった。
そして、ご飯は本当に美味しかった!
また食べたい!
「また来てくれよな」
「当然! しばらくは通ってあげてもいいよー」
「ごちそうさまでした!」
「また来てねえー」
美味しいものいっぱい食べれた! 満腹!
ラルテアお姉ちゃんに連れてきてもらって良かった!




