神刀と幼女、英雄への道を見据える
幼女視点
耳をいっぱーい切り取ーる。
神刀さーまで切り取ーる。
サクッと取って、いーっこ。
サクッと切って、にーこ。
「さーん、しーい。ごー」
ううっ、多すぎるう。
袋はあるけど、それを持つのも大変だ。
私の片手は常に神刀様で埋まってるから。
でも、頑張って取る!
これが、冒険者のお仕事だもん!
「この分だと夜までかかりそうだな」
「あうっ」
が、頑張る。だって、これもお仕事だもん!
「ユエナよ、ここは適当なところで切り上げていいのではないか?」
「え、だって」
「ユエナはもう、疲れているのだ。それに、お金ならまた稼げる。こんな地道な労働を続けるより、一発逆転的な仕事を選んだ方が良い」
「そ、そうなの?」
「そうなのだ。だから、ユエナよ。この小銭稼ぎは適当なところで切り上げて、それなりのお金だけもらってOKにしよう」
「うーん。うん、わかった!」
「ユエナちゃん、私達の仕事は命がけなんだから、その対価であるお金を無駄にしないでね!」
「あう、ラルテアお姉ちゃん」
「でも、確かに倒したミノタが多すぎるのも現実。ひとまずできるだけやりましょう。全部取るのも確かに大変だし。臭いもひどいしね」
「うん!」
「ああ、ユエナよ。あの大きかったやつの耳はきちんと拾っておこう。もしかしたら他のより高いかもしれん。もちろんわかるように分けておこう。一緒くたに勘定されてしまってはたまらんからな」
「うん、神刀様!」
私は頑張ってラルテアお姉ちゃんと一緒に耳を拾った!
そして騎士達も他の冒険者も帰った後、私とラルテアお姉ちゃんは袋いっぱいの耳をゼンダーおじさんのところに持っていった。
「おじさん、耳持ってきた!」
「ああ。それで終わりじゃ、ないだろうなあ」
「まだあるけど、もうつかれたからこれだけでいいと思う!」
「私の持ってるこの分もユエナちゃんの分です。私のはこっち」
「ああ。わかった。おい、集計頼む」
「はい!」
「はい!」
「あ、あとこれ、なんか大きい耳です」
私は大きかったモンスターの耳を、ゼンダーおじさんに渡した。
「これはミノタウの耳だな」
「これがミノタウか」
「強さ的には3ランク上位のやつなんだが、お前の敵じゃなかったようだな」
「うん!」
「これだけ強ければ、4ランクへのランクアップも良いだろう」
「本当!」
「ああ。本来ランクは数をこなして条件を満たすが、お前のこの討伐数は普通の依頼数十回分だ。この手柄は鑑みるべきだろう」
「やったあ!」
ゼンダーおじさんに認められた!
「だが、ランクアップしたからって焦るなよ。お前はまだ経験が足りてないんだ。まだ1ランクや2ランクの依頼を受けていてもいいんだからな。これだけミノタを倒せばしばらく金にも困らないだろう」
「はい!」
「さて、じゃあ俺も数えるか。しばらく待ってろ」
「はい!」
ゼンダーおじさん達はちまちま耳の数を数え始めた!
「おじさん、私も手伝う!」
「いい。これもギルドの仕事なんだ。早く帰りたいだろうが、待ってろ」
「はい!」
暇!
「よし。ミノタの耳138個と、ミノタウの耳3つだな。そして、ランクアップを認める印も入れて、この紙を素材センターで渡してこい」
「はい!」
「蓋を開けてみればあっけなかったが、ひとまず、よく生き残った。それだけで上出来ってもんだ」
「うん」
生きてないと、英雄にはなれない。
でも、それだけでも英雄にはなれない!
「あの、ゼンダーおじさん!」
「ん、なんだ」
「どうすれば、英雄になれますか!」
「ふむ、そうだな」
ゼンダーおじさんは言った。
「英雄ってのは、なるものじゃない。呼ばれるものだ」
「はい!」
「ひとまず、冒険者のランクを上げていけ。それで強いモンスターを倒したら、それを宣伝する。吟遊詩人の歌を聞いたことはあるか?」
「はい!」
なんか誰かさんが失恋したとか、失敗して一文無しになったとか、そういうやつ!
「その歌でお前の名前を言われたら、まあまあ英雄だろう」
嫌だ!
「他の道はないですか!」
「そうだな。じゃあ、高い身分のやつから指名依頼を受けろ。目指すは王様だな。それを成し遂げたら、英雄により近づくだろう」
「おお!」
なんとなくイメージできる!
「ゼンダーおじさん、ありがとう!」
まずは、王様と知り合いになる、だ!




