神刀と幼女、ミノタの群れと戦う
幼女視点
「ガモー!」
「ギモー!」
「ぐもー!」
モンスターの群れが私達を目指して、テンション上げて走り寄ってくる!
私もいつでも戦えるように、神刀様を握りしめる!
「へ、あいつら全員皆殺しだ」
「レイス、魔法の準備は十分か?」
「数は多いが、所詮ミノタだ。一捻りにしてやる」
他の冒険者もやる気だ!
「く、あんなにいるのかよ」
「やべえよ、やべえよ」
「騎士団のやつら、俺達を盾代わりにしやがって」
でも、弱気になってる人もいる!
私は、弱気にはならない!
「ユエナちゃん。ここは力を合わせましょう。お互いに見失わないように戦うわよ?」
「うーん、うん!」
「何その間」
「ラルテアお姉ちゃん。私、この戦いで英雄になる!」
「そうね。でも、忘れないで。生きて帰ることが、英雄になる条件だからね」
「うん!」
「お前ら、そろそろ戦いの時だ。魔法使いは初撃の準備、弓使いも矢をつがえろ!」
ゼンダーおじさんの声が響く。それに合わせて皆動く。
「初撃を放ったら、俺達も走り出すぞ。用意はいいか!」
ミノタの群れはどんどん近づいてきて、姿もはっきりしてくる。
人型の牛みたいな、小さいやつら。ラルテアお姉ちゃんの肩までしか大きさがない。
でも、皆棍棒を持ったり、剣を持ったりしている。あいつらが、こっちにやってくる。町に向かってくる。
ここで全員、食い止めるんだ。ここには、私と神刀様がいるんだから、できる!
「今だ、放てー!」
ゼンダーおじさんの号令で、モンスターの群れに魔法と矢がとんでいった。
その直後に、皆走り出す。
「おおおおおー!」
私も、走らなきゃ!
「神刀様、行きます!」
「うむ。存分にやれ、ユエナよ!」
「はい!」
私は最初から全力で行った!
「え、はやっ」
「おおー!」
「ユエナちゃーん、離れないでえええー!」
ラルテアお姉ちゃんの声を聞きながら、一番最初にモンスターに斬りかかる!
相手は小さいし遅い。あっちの攻撃が来る前に、神刀様が両断する!
よし、倒した! と思う!
手応えは十分。でもその間にも、左右にいたモンスターが私に攻撃してくる!
「えーい!」
私はその相手の動きよりも速く斬りかかり、移動する!
モンスターは多いけど、神刀様の敵じゃなかった。
私はモンスターを切り続け、その間も足を止めずに次の相手を求め続ける!
モンスターはいっぱいいるけど、皆私の動きについていけてない!
やっぱり、倒せる!
「うりゃあー!」
私は一心不乱にモンスターを倒し続けた。
群れの中に入って、割るように突き進む!
「びもー!」
あ、中に、ひときわ大きなモンスターがいた!
そいつも、やっつける!
「えーい!」
斬ったら、すぐにそいつを抜き去る。
私はすっごく速いけど、でも止まったらやられる!
この戦いが終わるまで、私は走り続けるんだ!
モールト視点
冒険者共とモンスターの群れとの戦いが始まった。
さて、やつらはどこまで粘れるか。頃合いを見てこちらも突撃しよう。
ミノタは初見のモンスターだが、なんでも牛のパワーを持った戦士タイプらしい。
知能はゴブリン程度だが、その力は大の大人を超える。それがあれだけいれば、冒険者程度が相手では2、3分もしない内に瓦解するだろう。
「モールト騎士団長。冒険者達は何分もつと思う?」
だがズラズルーリに話しかけられ、気分を害する。
この男がいなければ、モンスターを前にして日和見などという無様は晒さずに済んだというのに。
「さあ。ですが、彼らもモンスター退治の専門家です。それなりにもつのではないかと」
「ふふ。では賭けようか。俺はあと一分もしない内にあいつらは逃げ出すと思う。それより後か、前か、団長はどっちだと思う?」
「ふむ。流石に冒険者も意地があるでしょう。一分以上はもつかと」
「大変です、モールト団長!」
「どうした、何があった」
「どうも戦況は、冒険者側の有利に動いているようです。モンスター達の減りが早いようで」
「何?」
俺とズラズルーリは同時に慌てた。
見ると、確かに冒険者達は押していっているように見える。まさかこのまま勝つのか? そんな。
ふと俺の頭に、神刀使いとゼンダーの顔が浮かんだ。
まさか、予想以上の強さだとでもいうのか。あいつらは。もしくは、このどちらかが。
いかん。すぐに近づいて確かめねば。
「待機は終わりだ。俺達も戦う!」
「はっ」
「全員突撃!」
「おおー!」
「な、モールト騎士団長、俺も行くのか?」
「戦う者だけ進めばいいのです。はー!」
「く、ちくしょう、こんなはずは!」
冒険者共、止まれ! それは俺の手柄だ!




