神刀と幼女、モンスターの大群を目にする
幼女視点
しばらく騎士団の後をついていくと、やがて移動が止まった。
「どうしたんだろう?」
「移動が止まったっていうことは、ここで休憩か、それかお目当てのモンスターの大群を見つけたのね」
「そっか!」
ラルテアお姉ちゃん、頭良い!
「アイフも敵が近いって言ってるわ。そろそろ気を引き締めましょう」
「うん!」
そして少し待っていると、先頭にいたゼンダーおじさんが私達を見た!
「お前ら、どうやらこの先にミノタの群れがいるようだ!」
本当だ、ラルテアお姉ちゃんの言う通り!
「そしてこれから戦うために陣形を作るんだが、俺達の立ち位置は騎士団の前になった!」
ざわざわ。周りの冒険者達がざわめき出した!
「今から俺達は騎士団の前にひとかたまりになって待機し、一番に接敵する!」
「よおし、これで手柄をたてられるぜ!」
「騎士団様は腰抜けかあ!」
「はっはっは!」
ん、そうか。騎士団の人達は?
「お前ら、これから戦いの準備にかかる。騎士団の前に回って、接近するミノタ共の迎撃に備えろ!」
「あ、あの!」
「ん、なんだ、ユエナ!」
「騎士団の人達は、一緒に戦わないんですか?」
「騎士団は攻撃開始の合図が出るまで待機だそうだ。なお、合図の笛の音が鳴ったら俺達は騎士団に道を開けるように。いいな!」
一緒に戦うんじゃないの?
「ユエナ。これはチャンスだ」
「神刀様?」
「騎士団達が動かない分、我らの活躍のチャンスが増える。折角先頭を任されたのだ。全力で暴れるぞ」
「うん!」
「むしろ全てユエナが倒す勢いでやるのだ」
「わかった、神刀様!」
「もう、神刀様ったら。ユエナちゃん。無理は禁物よ?」
「うん。ラルテアお姉ちゃん!」
よーし、頑張るぞー!
「おいゼンダーさん。何か戦術とかはないのかい?」
「ない。ただこれだけは念頭におけ。無理はするな。その身が危うくなったら即座に後退しろ。また傷を負った仲間がいればかばえ。いいな」
「はっ。つまり好きにやれってこったな。聞いたかお前ら。腰抜け騎士団なんかかばってやる必要はねえ。俺達はもうミノタ共を倒しに行こうぜー!」
「おー!」
冒険者達はそう言って、ぞろぞろ歩いていく。
「その言葉は、しっかりと相手を見てから言うんだな」
騎士団の前に移動したら、もうモンスターの群れの姿が見えた。
ぞろぞろ、いっぱいこっちに歩いてくる。
「ひっ」
「ミノタごときが、あんなに」
勢いづいていた冒険者達が、すぐに落ち着いていった。
「確か敵の数は300といったな。対してこちらの冒険者数はおよそ100。数の差では負けている。それなりの腕があろうと、この数の差では楽観視できまい」
たしかに。神刀様の言う通りみたい。
「騎士団は動かずとも、味方であることには変わりない。退避できる場所が作られているだけありがたいということだ」
ゼンダーおじさんは冷静にそう言った。
「神刀様。私でもあれには勝てない?」
「いや、我の力があればユエナ一人でも戦えるだろう。もちろん最大限サポートするぞ」
「よし、じゃあもう行こう!」
「ダメよ、ユエナちゃん!」
早速走り出そうとしたところで、ラルテアお姉ちゃんに引き止められる。
「さすがに一人じゃ心配よ。あの数を相手に、何かあったらどうするの!」
「でも」
「ここは他の冒険者達とも足踏みをそろえましょう。大丈夫、皆荒くれ者ばかりだけど、それでも実力はあるし、頼りになるって!」
「ユエナ。これは集団依頼でもある。単独行動は慎め」
ゼンダーおじさんにも言われたあ。
「うー、はい」
「なに。焦らなくても敵は逃げない。十分距離を詰めたら、俺が号令を出す。戦闘はその時だ」
ゼンダーおじさんはそう言って敵の群れを見つめ続けた。
なんか余裕そう。かっこいい。
私もこんな、余裕のある大人にならなきゃ!




