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act2-4 ウィニングボールを君に3

「高校の時、プロ野球をやりたかったけど、今は、会社で親元の仕事を継ぐために、見習い職員をやっている。これから、僕の人生は再生が始まる。その時、この打ち上げたウィニングボールは良いことがありそうで、嬉しかった。だから、君にもらって欲しい」


 高校の時、他の誰もと同じく、伊藤エリカに惚れていたくせに。


 そのライバルだった私が振られたのを見て、他と同じく嘲笑していたくせに。


「僕は君のこと、とても興味を持っている。いきなり教育係の闇を暴いてくれた人だもの、うちとしてはとても助かった。あの時から、僕は君のこと注目してる」


 なんだか、私はその言葉にカチンと来た。


 高校の時、あんだけ目立った私のことを知ってて、嫌味を言ってるの?誰からにも注目されたし、誰からも叩かれた。だから、いまだに興味を持っているってわけ?イラっとした。なんて嫌味な、冷酷な男。


「このボールを君に。僕もこれから社会に出て、仲間や同僚、気のおける人と共に、良い思い出を作って行きたいんだ。君とも」


「は?」


 君?私?そういう私という個人を狙いに来ているところが、あの時のジャー島だって思っている証拠よね。だって、私なんて、噛みつき犬って言って、バカにした連中の仲間だもの。これ幸いと、私の弱味に付け込んで、何かを脅し取るつもりかも。


 金?それとも、この美貌の持ち主をいっときの慰めにでもするつもり?超美人だから、狙ってるのね?それがお前のやり方か。


「あ、いや」


 私がぎろっと睨んだら、その私にひるんだか、城市は押し黙った。さすが、気の弱い社長の孫だけある。


「い、いや、悪い意味はなく」


「悪い意味でないってのなら、私ならって、何ですか?」


「あ・・・え?あの、う、うん、君、なんか、怒ってる?今のところで、何。どの辺に怒ったの?」


「怒ってますよ、全部に」


 意図は分からないけど、絶対、何か企んでいそう。ひるむ城市を見ると、何か魂胆があるって思った。私の眉間と鼻によったしわの怒りで、彼を黙らせた。

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